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第125話 思わぬ難題
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セラノスで起きている事態――その全容は未だに見えてこない。
黒幕は巧妙かつ何重にもトラップを仕掛け、尻尾を掴むどころか影さえ踏ませずに逃げ回っており、今もどこかで暗躍を続けているはずだ。
ティオグは俺たちに黒幕の正体を追ってもらいたいと依頼した。
国の治安を守る目的で結成された新生国防組織としては、そのために動くのがごく自然な流れなのだろうけど……そこはまだできて日の浅い集団。団結力は乏しい。
とはいえ、その道でトップを行く者たちの集まりともなれば、こういった事態で何が一番大事なのかそれぞれが重々承知している。
なので、互いに協力体制をとり、情報のやりとりを密にして黒幕を捕らえようという意見で一致し、初顔合わせは終了した。
王聖六将の他、騎士団や魔法兵団、さらにミネットが代表を務める商会も動きだし、すべてを明るみに引っ張りだそうと躍起になっているらしいから、時間の問題だろう。
当然、俺もテイマーたちの育成に力を入れつつ、そちらも進めていきたいのだが……ここで思わぬ問題が発生した。
「まずいな……うちが狭すぎる」
王都の真ん中を流れる運河のほとりに建てられた木造の小屋。
ここまでまったりと暮らすはずだったが、新たにクウタとタマが加わったことでさすがに手狭となってきた。一応、タマもクウタと同じように小さな虎(というより見た目は完全に普通の子猫)へと変身できるのだが、それでも動きづらい。
「旦那ぁ、さすがに新しい家を建ててもらった方がいいんじゃないっすか?」
「屈辱的ではあるが、私もクロスと同じ意見だ」
「ひと言余計なんだよ、おめぇは!」
相変わらず騒がしいクロスとシロンだが……戦闘以外で意見が一致するということは、やはり相当ヤバい状況なのだろうなと妙に納得させられてしまう。
クウタやタマは自分たちが外で寝ればいいと提案してくれたが、雨風の強い日もあるだろうし、俺としてはみんなと一緒にひとつ屋根の下で生活をするというのが理想だ。
どうしたものかと悩んでいたら、
「お困りのようですわね」
背後から女性の声――これは、
「ミネットか?」
「はい。あなたの一番弟子のミネットですわ」
一番でしかはともかく、彼女ならいい相談相手となってくれそうだ。
早速、俺は住居について抱えている悩みを話した。
「なるほど……確かに、他の王聖六将の方に比べたら規模は小さいですが、それでもこの小屋に全員で寝泊まりは限界がありますわね」
「家賃が格安の借家とかないかな?」
「先生ほどの立場の方であれば、借家といわず一軒家を新しく建てられてはいかがでしょう。先日こちらへお見えになったダレンさんはすでに土地を決めて建設に取りかかっているようですわよ」
「えっ? そうなの? しかしお金がなぁ……」
「それくらいなら国が立て替えると思いますわ」
「ほ、本当か!?」
って、それ前にも言われた気がする。
「よろしければ、わたくしの商会が仲介役になりましょうか? もちろん、手数料はなし」
「さすがにタダ働きさせるわけには……」
「今のわたくしがあるのは先生のおかげなのですから。これも恩返しの一環ですわ」
「ミネット……」
嬉しいことを言ってくれる。
――と言っても、いずれはキチンとかかった費用を返済できるよう、ここは出世払いという形にしておこう。
先生という立場で出世払いというのも情けない話ではあるんだけどね。
黒幕は巧妙かつ何重にもトラップを仕掛け、尻尾を掴むどころか影さえ踏ませずに逃げ回っており、今もどこかで暗躍を続けているはずだ。
ティオグは俺たちに黒幕の正体を追ってもらいたいと依頼した。
国の治安を守る目的で結成された新生国防組織としては、そのために動くのがごく自然な流れなのだろうけど……そこはまだできて日の浅い集団。団結力は乏しい。
とはいえ、その道でトップを行く者たちの集まりともなれば、こういった事態で何が一番大事なのかそれぞれが重々承知している。
なので、互いに協力体制をとり、情報のやりとりを密にして黒幕を捕らえようという意見で一致し、初顔合わせは終了した。
王聖六将の他、騎士団や魔法兵団、さらにミネットが代表を務める商会も動きだし、すべてを明るみに引っ張りだそうと躍起になっているらしいから、時間の問題だろう。
当然、俺もテイマーたちの育成に力を入れつつ、そちらも進めていきたいのだが……ここで思わぬ問題が発生した。
「まずいな……うちが狭すぎる」
王都の真ん中を流れる運河のほとりに建てられた木造の小屋。
ここまでまったりと暮らすはずだったが、新たにクウタとタマが加わったことでさすがに手狭となってきた。一応、タマもクウタと同じように小さな虎(というより見た目は完全に普通の子猫)へと変身できるのだが、それでも動きづらい。
「旦那ぁ、さすがに新しい家を建ててもらった方がいいんじゃないっすか?」
「屈辱的ではあるが、私もクロスと同じ意見だ」
「ひと言余計なんだよ、おめぇは!」
相変わらず騒がしいクロスとシロンだが……戦闘以外で意見が一致するということは、やはり相当ヤバい状況なのだろうなと妙に納得させられてしまう。
クウタやタマは自分たちが外で寝ればいいと提案してくれたが、雨風の強い日もあるだろうし、俺としてはみんなと一緒にひとつ屋根の下で生活をするというのが理想だ。
どうしたものかと悩んでいたら、
「お困りのようですわね」
背後から女性の声――これは、
「ミネットか?」
「はい。あなたの一番弟子のミネットですわ」
一番でしかはともかく、彼女ならいい相談相手となってくれそうだ。
早速、俺は住居について抱えている悩みを話した。
「なるほど……確かに、他の王聖六将の方に比べたら規模は小さいですが、それでもこの小屋に全員で寝泊まりは限界がありますわね」
「家賃が格安の借家とかないかな?」
「先生ほどの立場の方であれば、借家といわず一軒家を新しく建てられてはいかがでしょう。先日こちらへお見えになったダレンさんはすでに土地を決めて建設に取りかかっているようですわよ」
「えっ? そうなの? しかしお金がなぁ……」
「それくらいなら国が立て替えると思いますわ」
「ほ、本当か!?」
って、それ前にも言われた気がする。
「よろしければ、わたくしの商会が仲介役になりましょうか? もちろん、手数料はなし」
「さすがにタダ働きさせるわけには……」
「今のわたくしがあるのは先生のおかげなのですから。これも恩返しの一環ですわ」
「ミネット……」
嬉しいことを言ってくれる。
――と言っても、いずれはキチンとかかった費用を返済できるよう、ここは出世払いという形にしておこう。
先生という立場で出世払いというのも情けない話ではあるんだけどね。
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