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第87話 クウタの意地
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ノエリーたちが巨大蛙型モンスターを厄介な存在とさせている魔法文字の効果を消滅させるため、魔法陣探しに乗りだす。
その間、俺とエリザベッタ、そしてクウタでなんとか時間稼ぎをしなくちゃいけない。
とはいえ……あまり長い時間は無理そうだ。
何せ、ヤツは魔法文字の効果で神獣であるクウタの攻撃さえ無効化してしまうのだ。そんな防御力を持った相手に、俺やエリザベッタ――生身の人間の攻撃など、痛くもかゆくもないだろう。
だから、致命傷を与えることにこだわらず、とにかく「動きを封じる」を念頭に置いて行動しようとした――が、
「バーツさん……ここは僕に任せてくれませんか?」
「えっ?」
「必ずあのモンスターを倒してみせます」
クウタの闘志に火がついていた。
きっと、さっきの攻撃を防がれたのがよほど堪えたのだろう。神獣としてのプライドか、このままやられっぱなしでは終われないという強い気持ちが口調に込められていた。
「よし……行ってこい、クウタ」
「はい!」
俺はクウタの闘志に賭けてみる。
「次は……一切の遠慮なく本気で挑みます」
そう告げると、クウタは大きく翼を広げた。その翼はすべて燃え盛る真っ赤な炎。さすがは不死鳥《フェニックス》と呼ばれるだけはある。
ここまでならさっきまでと同じ状況――だが、クウタの本気はここからが凄かった。
ゴォッ!
そんな音を立てて、クウタの全身を覆う炎がさらに勢いを増した。
「す、凄いわね……」
クウタの本気を前に、エリザベッタは茫然と立ち尽くす――が、それは俺も同じだった。
まだノエリーたちが子どもの頃……俺が教会でテイマーとしての教えを説いている時、クウタはまだどこにでもいる普通の鳥型モンスターであった。
それから、エヴェリンの件もあって、俺は一時的にテイマーを廃業していた。その際、クウタとも契約を解除し、一度はお互い別の道を進んだわけだが……クウタは再び俺のパートナー魔獣になろうと自主的に鍛錬を続け、ついに神獣という領域へとたどり着いたのだ。
もともと戦闘向きの魔獣じゃなかったから、神獣へと進化するのはとてつもない努力が必要だったろう。
そのクウタは、全身の炎を天井に張りつく蛙型モンスターへ向けて放つ。
先ほどよりも数倍は威力がありそうだ――が、当然、モンスターはそのまま黙って攻撃を受けるはずがない。たとえ耐性があったとしてもわざわざ当たろうとは思わないだろう。
蛙型モンスターは天井から離れ、地上へと移動。
クウタが放つ渾身の炎はかわされてしまった――と、思いきや、炎はモンスターの動きに合わせて炎が曲がり、地上へと逃げた相手に直撃する。
「「おお!」」
俺とエリザベッタの声がピッタリと重なった。
あんな器用な攻撃まで可能とは……さすがは神獣だ。
――けど、問題はここから。
さっきも攻撃を当てることはできたが、結局そのまま効果なしに終わったのだ。
果たして、クウタの意地はあのモンスターにどれほどのダメージを与えられるのか……その結果は――
その間、俺とエリザベッタ、そしてクウタでなんとか時間稼ぎをしなくちゃいけない。
とはいえ……あまり長い時間は無理そうだ。
何せ、ヤツは魔法文字の効果で神獣であるクウタの攻撃さえ無効化してしまうのだ。そんな防御力を持った相手に、俺やエリザベッタ――生身の人間の攻撃など、痛くもかゆくもないだろう。
だから、致命傷を与えることにこだわらず、とにかく「動きを封じる」を念頭に置いて行動しようとした――が、
「バーツさん……ここは僕に任せてくれませんか?」
「えっ?」
「必ずあのモンスターを倒してみせます」
クウタの闘志に火がついていた。
きっと、さっきの攻撃を防がれたのがよほど堪えたのだろう。神獣としてのプライドか、このままやられっぱなしでは終われないという強い気持ちが口調に込められていた。
「よし……行ってこい、クウタ」
「はい!」
俺はクウタの闘志に賭けてみる。
「次は……一切の遠慮なく本気で挑みます」
そう告げると、クウタは大きく翼を広げた。その翼はすべて燃え盛る真っ赤な炎。さすがは不死鳥《フェニックス》と呼ばれるだけはある。
ここまでならさっきまでと同じ状況――だが、クウタの本気はここからが凄かった。
ゴォッ!
そんな音を立てて、クウタの全身を覆う炎がさらに勢いを増した。
「す、凄いわね……」
クウタの本気を前に、エリザベッタは茫然と立ち尽くす――が、それは俺も同じだった。
まだノエリーたちが子どもの頃……俺が教会でテイマーとしての教えを説いている時、クウタはまだどこにでもいる普通の鳥型モンスターであった。
それから、エヴェリンの件もあって、俺は一時的にテイマーを廃業していた。その際、クウタとも契約を解除し、一度はお互い別の道を進んだわけだが……クウタは再び俺のパートナー魔獣になろうと自主的に鍛錬を続け、ついに神獣という領域へとたどり着いたのだ。
もともと戦闘向きの魔獣じゃなかったから、神獣へと進化するのはとてつもない努力が必要だったろう。
そのクウタは、全身の炎を天井に張りつく蛙型モンスターへ向けて放つ。
先ほどよりも数倍は威力がありそうだ――が、当然、モンスターはそのまま黙って攻撃を受けるはずがない。たとえ耐性があったとしてもわざわざ当たろうとは思わないだろう。
蛙型モンスターは天井から離れ、地上へと移動。
クウタが放つ渾身の炎はかわされてしまった――と、思いきや、炎はモンスターの動きに合わせて炎が曲がり、地上へと逃げた相手に直撃する。
「「おお!」」
俺とエリザベッタの声がピッタリと重なった。
あんな器用な攻撃まで可能とは……さすがは神獣だ。
――けど、問題はここから。
さっきも攻撃を当てることはできたが、結局そのまま効果なしに終わったのだ。
果たして、クウタの意地はあのモンスターにどれほどのダメージを与えられるのか……その結果は――
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