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第40話 深夜の捕獲作戦
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「たださえ薄気味悪かったダンジョンが夜になるとよりその色が濃くなるな」
岩壁にヒカリコケムシが張りつき、淡い幻想的な光に包まれている夜のダンジョン。その光景は幻想的でこそあるが、いつどこからモンスターが飛び出してくるかわからないという不安も相まって、優志の足は昼間に入った時よりもずっと動きが鈍くなっている。
一方、すでに何度もダンジョンへ潜っているエミリーの足取りは昼間と大差がなかった。相手が獰猛だと聞いて心配していたが、よくよく考えたらダイヤモンドウルフやフレイムコングを相手に臆することなく戦って勝利を収めてきたエミリーなら、単体の一角牛相手に遅れを取ることはないだろう。
「ユージ殿、そう怖がらなくても、私がいるから大丈夫だ」
本来ならずっと年上で男の優志が言うべきセリフである。
しかし、回復する術はあっても戦う術を持たない優志にとって、情けないと思いつつ暗闇のダンジョンに物怖じしないエミリーの姿は最高に頼もしく映った。
「――て、さすがにこのままじゃまずいよな。ダズにお願いして剣術でも教えてもらおう」
「ん? 何か言ったか?」
「いや、なんでも」
適当に誤魔化してさらに奥へと進もうとするが、
「ユージ殿、こっちだ」
「え?」
エミリーの指さす方向は冒険者が魔鉱石採掘へと向かう正規ルートを外れた道であった。
「そっちにいるのか?」
「ダズ殿に教えてもらったのだ」
あのダズの情報となれば信頼度は高い。
優志はエミリーの指示に従い、正規ルートを外れて細い道へと入って行く。少し歩きづらいが、めげずに歩き続けていくと視線の先にポッと光が浮かんだ。
「あれは――出口か?」
「そのようだ」
自然と足早にはるふたり。
光が広がると共に狭い道から解放された直後、
「おお……」
そこは外でこそあるが、四方を高い岩壁に囲まれているため、まだダンジョンの中にいると錯覚しそうになる空間であった。
足元はまるで緑色のカーペットを敷き詰めたように背の低い草が生い茂っており、青白い月明かりに照らされて輝いているように見えた。四方に岩壁こそあるが、その場所自体はかなり広く、どことなく牧歌的な空気が漂ってくる。
「牧場で牛を放牧するにはもってこいの場所だな」
一角牛が優志のいた世界でいうところの牛だとすれば、この場所はまさに生息場所としてうってつけだ。
その優志の見立ては正しかったようで、
「いたぞ。お目当ての一角牛だ」
早くもターゲットを視認するエミリー。
優志も追ってその場所へ視線を移す。
そこには優志の知る「牛」がいた――あれが一角牛らしい。
群を成すという習性の通り、ざっと見回してみただけでも10頭以上の姿が確認できる。
一角牛の体はホルスタイン牛に似た白と黒の斑模様もしており、瞳を爛々と赤色に輝かせながらのんびりと草を食べていた。
特筆すべきはやはり名前にもある角だ。
ドリルのような螺旋状の角は頭蓋骨が変化してできた代物らしく、雄雌両方に存在が確認できる。だが、ダズが言ったように個体によって角の大きさが違っており、角の小さな個体は体つきもどこか小柄なようだ。
「群れの中に何匹か小さな個体がいるな」
「小さな個体が雌だというのが定説ではあるが……」
近場にあった大きめの岩に身を潜めたふたりは静かに一角牛の生態を観察していた。
ダズの話では、一角牛は仲間想いのモンスターであり、群れの1匹が窮地に陥ると全員で助けに向かうほどだと言う。
なので、不用意に手を出してしまうとあそこにいるすべての一角牛を相手にしなければならなくなる。そうなると、さすがのエミリーでも苦戦は必至となるため、出来る限りそのような事態は避けたい。
「こりゃ1匹だけに狙いを定めて生け捕りというのは難しそうだな」
「そうだな――あ」
何かを発見したエミリーが声をあげる。
「どうした?」
「あそこに1匹だけ群れから離れた一角牛がいる。大きさからして、雌である可能性が高い小柄なものだ」
エミリーの言う通り、優志たちから8mほど離れた位置に1匹だけポツンと孤立している一角牛がいた。おまけに、月明かりが雲によって遮られ、辺りは薄暗くなっている。
「絶好のチャンスだな」
早速エミリーは鞘から剣を引き抜く。
闇夜によって視界はかなり限定されているが、相手の一角牛の巨体は少し闇に目を慣らせば捉えられる。
もちろん、生け捕りを目的としているため倒すのではなくあくまでも弱らせるためだ。その後で、ダズから譲り受けたモンスターを昏睡状態にさせる薬を使ってしかし、群れから離れているとはいえ、あの一角牛が仲間に助けを求めれば一目散に逃げ出さなくてはならない。
うまくいくかどうかは半ば賭けではあったが、
「エミリーの早業ならいけるはずだ」
優志はエミリーの腕を信じ、この場を任せることにした。
「頼むぞ」
期待を背負ったエミリーは静かに、だが着実に一角牛との距離を詰めていく。黙々と食事に夢中となっている一角牛は、エミリーの接近に気づいた様子はなかった。
チャキ。
剣の柄を持つ手に力が入り、腰を落とした。
仕掛ける。
優志が息を呑んだ瞬間、ザッと力強く大地を蹴ったエミリー。
その剣先は真っ直ぐ一角牛に向かって飛んで行く――が、
ギィン!!
鈍い金属音が夜空に響き渡った。
明らかに一角牛への攻撃によって生じた音ではない――何者かが金属製の道具を使ってエミリーの剣を弾き飛ばしたのだ。
「ぐっ!?」
手首に強い衝撃を受けたエミリーは慌てて飛び退き、手放した剣を拾って構え直した。
「あのエミリーの一撃を弾き返すなんて……」
信じがたい光景に我が目を疑う優志。
だが、エミリーの一撃を弾き返した者は――一角牛を守るように、今も悠然とふたりの前に立ちはだかっていた。
やがて雲が晴れ、淡い月明かりが捕獲を阻止した者の姿をあらわにする。
その正体は、
「! お、女の子!?」
美弦と同じ年くらいの少女だった。
岩壁にヒカリコケムシが張りつき、淡い幻想的な光に包まれている夜のダンジョン。その光景は幻想的でこそあるが、いつどこからモンスターが飛び出してくるかわからないという不安も相まって、優志の足は昼間に入った時よりもずっと動きが鈍くなっている。
一方、すでに何度もダンジョンへ潜っているエミリーの足取りは昼間と大差がなかった。相手が獰猛だと聞いて心配していたが、よくよく考えたらダイヤモンドウルフやフレイムコングを相手に臆することなく戦って勝利を収めてきたエミリーなら、単体の一角牛相手に遅れを取ることはないだろう。
「ユージ殿、そう怖がらなくても、私がいるから大丈夫だ」
本来ならずっと年上で男の優志が言うべきセリフである。
しかし、回復する術はあっても戦う術を持たない優志にとって、情けないと思いつつ暗闇のダンジョンに物怖じしないエミリーの姿は最高に頼もしく映った。
「――て、さすがにこのままじゃまずいよな。ダズにお願いして剣術でも教えてもらおう」
「ん? 何か言ったか?」
「いや、なんでも」
適当に誤魔化してさらに奥へと進もうとするが、
「ユージ殿、こっちだ」
「え?」
エミリーの指さす方向は冒険者が魔鉱石採掘へと向かう正規ルートを外れた道であった。
「そっちにいるのか?」
「ダズ殿に教えてもらったのだ」
あのダズの情報となれば信頼度は高い。
優志はエミリーの指示に従い、正規ルートを外れて細い道へと入って行く。少し歩きづらいが、めげずに歩き続けていくと視線の先にポッと光が浮かんだ。
「あれは――出口か?」
「そのようだ」
自然と足早にはるふたり。
光が広がると共に狭い道から解放された直後、
「おお……」
そこは外でこそあるが、四方を高い岩壁に囲まれているため、まだダンジョンの中にいると錯覚しそうになる空間であった。
足元はまるで緑色のカーペットを敷き詰めたように背の低い草が生い茂っており、青白い月明かりに照らされて輝いているように見えた。四方に岩壁こそあるが、その場所自体はかなり広く、どことなく牧歌的な空気が漂ってくる。
「牧場で牛を放牧するにはもってこいの場所だな」
一角牛が優志のいた世界でいうところの牛だとすれば、この場所はまさに生息場所としてうってつけだ。
その優志の見立ては正しかったようで、
「いたぞ。お目当ての一角牛だ」
早くもターゲットを視認するエミリー。
優志も追ってその場所へ視線を移す。
そこには優志の知る「牛」がいた――あれが一角牛らしい。
群を成すという習性の通り、ざっと見回してみただけでも10頭以上の姿が確認できる。
一角牛の体はホルスタイン牛に似た白と黒の斑模様もしており、瞳を爛々と赤色に輝かせながらのんびりと草を食べていた。
特筆すべきはやはり名前にもある角だ。
ドリルのような螺旋状の角は頭蓋骨が変化してできた代物らしく、雄雌両方に存在が確認できる。だが、ダズが言ったように個体によって角の大きさが違っており、角の小さな個体は体つきもどこか小柄なようだ。
「群れの中に何匹か小さな個体がいるな」
「小さな個体が雌だというのが定説ではあるが……」
近場にあった大きめの岩に身を潜めたふたりは静かに一角牛の生態を観察していた。
ダズの話では、一角牛は仲間想いのモンスターであり、群れの1匹が窮地に陥ると全員で助けに向かうほどだと言う。
なので、不用意に手を出してしまうとあそこにいるすべての一角牛を相手にしなければならなくなる。そうなると、さすがのエミリーでも苦戦は必至となるため、出来る限りそのような事態は避けたい。
「こりゃ1匹だけに狙いを定めて生け捕りというのは難しそうだな」
「そうだな――あ」
何かを発見したエミリーが声をあげる。
「どうした?」
「あそこに1匹だけ群れから離れた一角牛がいる。大きさからして、雌である可能性が高い小柄なものだ」
エミリーの言う通り、優志たちから8mほど離れた位置に1匹だけポツンと孤立している一角牛がいた。おまけに、月明かりが雲によって遮られ、辺りは薄暗くなっている。
「絶好のチャンスだな」
早速エミリーは鞘から剣を引き抜く。
闇夜によって視界はかなり限定されているが、相手の一角牛の巨体は少し闇に目を慣らせば捉えられる。
もちろん、生け捕りを目的としているため倒すのではなくあくまでも弱らせるためだ。その後で、ダズから譲り受けたモンスターを昏睡状態にさせる薬を使ってしかし、群れから離れているとはいえ、あの一角牛が仲間に助けを求めれば一目散に逃げ出さなくてはならない。
うまくいくかどうかは半ば賭けではあったが、
「エミリーの早業ならいけるはずだ」
優志はエミリーの腕を信じ、この場を任せることにした。
「頼むぞ」
期待を背負ったエミリーは静かに、だが着実に一角牛との距離を詰めていく。黙々と食事に夢中となっている一角牛は、エミリーの接近に気づいた様子はなかった。
チャキ。
剣の柄を持つ手に力が入り、腰を落とした。
仕掛ける。
優志が息を呑んだ瞬間、ザッと力強く大地を蹴ったエミリー。
その剣先は真っ直ぐ一角牛に向かって飛んで行く――が、
ギィン!!
鈍い金属音が夜空に響き渡った。
明らかに一角牛への攻撃によって生じた音ではない――何者かが金属製の道具を使ってエミリーの剣を弾き飛ばしたのだ。
「ぐっ!?」
手首に強い衝撃を受けたエミリーは慌てて飛び退き、手放した剣を拾って構え直した。
「あのエミリーの一撃を弾き返すなんて……」
信じがたい光景に我が目を疑う優志。
だが、エミリーの一撃を弾き返した者は――一角牛を守るように、今も悠然とふたりの前に立ちはだかっていた。
やがて雲が晴れ、淡い月明かりが捕獲を阻止した者の姿をあらわにする。
その正体は、
「! お、女の子!?」
美弦と同じ年くらいの少女だった。
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