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第19話 新しい仲間
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ジュリクの活躍により、モンスターは一瞬のうちに討伐された。
星屑迷宮に生息するのはアレより数倍の強さだから、彼女にとっては準備運動くらいの感覚だったんだろうな。
最初はジュリクの安否を気にしていた若い冒険者たちであったが、彼女が《鋼の牙》に所属する冒険者であると知ると、一気に見る目が変わっていった。
「あ、あの《鋼の牙》の……」
「さすがは一流パーティーのメンバーだ……」
「俺たちよりも若いのにあんなに強いなんて……」
憧憬の眼差しを送る若い冒険者たち。
気持ちは分からなくもない。
それくらい、戦っている時のジュリクは華麗だった。あの巨大なモンスターと対峙している際も、戦っているというよりまるで優雅なダンスを踊っている感じに映ったのだ。それが若者たちを魅了したらしい。
一方、負傷した人たちを助けるために魔草を配ろうとリーシャのもとへ。
「お留守番お疲れ様、リーシャ」
「はりしゅ!」
ダンジョン内は危険なのでお留守番を頼んでおいたのだが、やっぱり寂しかったようで、俺を見つけるとすぐに駆け寄ってきた。
それでも、彼女はキチンと仕事をこなしていたのだ。
「おお! これだけの魔草を育ててくれたのか!」
「えっへん!」
胸を張ってドヤ顔を披露するリーシャの頭をワシワシと撫でながら、俺は頑張った彼女を褒めちぎった。それから、治癒効果のある魔草をロアムたちにも協力してもらいながら負傷した冒険者たちへと配っていく。
多くの冒険者は代金を払おうとしたが、俺はそのすべてを断った。
「い、いいんですか!?」
聖院で治療すればとんでもない代金をふっかけられるのに、それが無料と聞いたものだからみんな一斉に怪しみだしてしまった。
しかし、ここで頼りになったのがロアムとジュリクだ。
大陸にその名を轟かせるストックウェル商会の御曹司に、トップクラスの実力を誇る冒険者パーティーの主力メンバーが間に入ってくれたおかげで、次第に若者たちの心は傾き、ついにひとりが魔草を口にする。
すると、
「っ! ほ、本当だ! 体の痛みが取れていく!」
このひと言がきっかけとなり、次々と冒険者たちが魔草を食べ始める。そして口々に回復したと俺のもとまでやってきてわざわざ報告してくれた。
その様子をニコニコしながら眺めるロアム。その横ではジュリクが相変わらず無表情のまま立っている――けど、雰囲気からして喜んでいるっぽいな。
とはいえ、今回の成功はふたりのおかげでもある。
俺がひとりでやっていたら、あとから救出した冒険者たちは下手をすると手遅れになっていたかもしれない。
「ありがとう、ふたりとも」
「僕は何もしていませんよ」
「私もです」
ふたりは謙遜しているが、貢献度は高い。
「そういえば、ジュリクはこれからどうするんだ?」
「ハリスさんの家の近くにテントを設営しようと思っています」
「なら、一緒に帰ろうか」
「そうしていただけると助かります」
ロアムに続いてジュリクも合流することになるとはなぁ。
賑やかになるのは俺としても嬉しい。
それにしても、どちらも訪問治療に訪れていた組織だな。
他にもいくつかあるんだけど、まさかもう増えたりなんて……さすがにないか。
星屑迷宮に生息するのはアレより数倍の強さだから、彼女にとっては準備運動くらいの感覚だったんだろうな。
最初はジュリクの安否を気にしていた若い冒険者たちであったが、彼女が《鋼の牙》に所属する冒険者であると知ると、一気に見る目が変わっていった。
「あ、あの《鋼の牙》の……」
「さすがは一流パーティーのメンバーだ……」
「俺たちよりも若いのにあんなに強いなんて……」
憧憬の眼差しを送る若い冒険者たち。
気持ちは分からなくもない。
それくらい、戦っている時のジュリクは華麗だった。あの巨大なモンスターと対峙している際も、戦っているというよりまるで優雅なダンスを踊っている感じに映ったのだ。それが若者たちを魅了したらしい。
一方、負傷した人たちを助けるために魔草を配ろうとリーシャのもとへ。
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それでも、彼女はキチンと仕事をこなしていたのだ。
「おお! これだけの魔草を育ててくれたのか!」
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「い、いいんですか!?」
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しかし、ここで頼りになったのがロアムとジュリクだ。
大陸にその名を轟かせるストックウェル商会の御曹司に、トップクラスの実力を誇る冒険者パーティーの主力メンバーが間に入ってくれたおかげで、次第に若者たちの心は傾き、ついにひとりが魔草を口にする。
すると、
「っ! ほ、本当だ! 体の痛みが取れていく!」
このひと言がきっかけとなり、次々と冒険者たちが魔草を食べ始める。そして口々に回復したと俺のもとまでやってきてわざわざ報告してくれた。
その様子をニコニコしながら眺めるロアム。その横ではジュリクが相変わらず無表情のまま立っている――けど、雰囲気からして喜んでいるっぽいな。
とはいえ、今回の成功はふたりのおかげでもある。
俺がひとりでやっていたら、あとから救出した冒険者たちは下手をすると手遅れになっていたかもしれない。
「ありがとう、ふたりとも」
「僕は何もしていませんよ」
「私もです」
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「ハリスさんの家の近くにテントを設営しようと思っています」
「なら、一緒に帰ろうか」
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