工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する

鈴木竜一

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第174話 不思議な島

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 船旅を終えてとうとう翡翠島へ到着した俺たち。
 すでに港では俺たちを歓迎する島の人たちでにぎわっていた。

 ラキームさんには帰る際に使い魔を通して連絡をすると伝えておくと、彼はそのままハバートへと引き返していった。

 改めて、俺は島民たちとの再会を喜び合う。
 それから、初めてこの島を訪れるみんなを紹介していった。

 さすがに女性ばかりということに疑問を持たれたりもしたが、ザクセンさんのようにかつて世話になった方の娘さんと説明を挟んだらみんな妙に納得していた。

「どこも考えることは一緒か……」
「まあ、ウィルム殿であればあの数でも問題はあるまい」
「あとは順番だな。年齢的にソニルは下の方だから他の子たちより遅れそうだが……」

 何やら話し合いを始めた島民たち。
 とりあえず重要な案件があると話して、村へと向かうことになった。

 その道中、初めて翡翠島を訪れたレメット、アキノ、リディア、ミミューの四人は忙しなく顔を動かして島の様子を観察。
 目に留まったのはやはり動植物の固有種であった。

「大陸では見かけない植物や生き物ばかりですね」
「やはり環境が違うのだろうな」
「確かに……ちょっと蒸し暑いですぅ」
「大丈夫ですか、リディアさん」

 初めての翡翠島に驚きと好奇心が入り混じった感情で話す四人。
 ちなみに、村の近くには砂浜もあって海水浴ができる。
 それは事前に伝えてあって、全員ハバートのお店で水着を購入して持ち込んでいた。四人には俺がザクセンさんと話し合いをしている間に海を満喫してもらうとして、俺自身もあとで時間ができたらそっちで羽を伸ばすとしよう。

 というわけで、村に到着すると同時に別行動となった。

「よく来てくれたな、ウィルム」
「ご無沙汰しております、ザクセンさん」

 女性陣を見送った後、ザクセンさんが笑顔で俺のもとへとやってくる。
 ……なんだか、以前会った時よりも痩せたかなというのが再会時の第一印象であった。

 ザクセンさんといえば豪快で細かいことは気にしないタイプの人だが、やはり大陸側と本格的に交渉を始めるとなったら心労が出てくるのだろう。

 その交渉の中心にいるのはガウリー大臣とフリード様だ。

 どちらも俺とかかわりの深い人物であり、誠実な人間性はよく理解している。
 
 それでも、やはり不安はあるのだろうな。
 今回の話し合い……やはり議題は大陸側との交渉になるのか。
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