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第160話 ラストンとの再会

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「うちを辞めてから随分と羽振りがよくなっているようじゃねぇか。お得意様のご令嬢方を引き連れていい身分だな」

 笑いながら語るラストンだが……その濁った瞳の奥にはまったく別の感情が隠れていた。
 バーネット商会の業績悪化――それは積もり積もって存続できるか否かの瀬戸際まで追い込まれているという。もともと強引なやり口で同業者からは煙たがられていたこともあり、この機に乗じて勢力を削ぐ動きが活発化しているとも聞いていた。

「おまえがいなくなってからのうちはそりゃもう大変な事態で――」
「それは自業自得というものではありませんか?」

 ラストンの話を遮るように割り込んだのはレメットだった。

「あなたや商会代表の不誠実な対応が招いた事態であり、ウィルムさんは関係ありません。そもそも、バーネット商会が不当に解雇したのがそもそもの原因ではありませんか?」

 レメットはそう捲し立てた。
 あのおとなしい彼女にここまで言わせるなんて……いや、バーネット商会のやり方には前々から鬱憤溜まっているって感じだったけど、こんな正面から堂々と言い放つほどだったとは驚きだ。

 さすがのラストンも、レメットからの正論攻めに言葉を失う。
 おまけに周りにいるかつての顧客たちからも頷かれ、同意されたことでラストンのプライドは大きく傷ついたようだ。

「い、言ってくれるじゃないですか。――でもねぇ、ここはあなたが貴族でいられる場所じゃないんですよ」

 そう言うと、ラストンはパチンと指を鳴らす。
 すると、バーネット商会の建物から続々と人相の悪い大男たちが出てきた。

「俺をコケにしやがって……たかが工芸職人《クラフトマン》ごときが!」
「その工芸職人《クラフトマン》たちの作品がなければ、おまえたち商会は存在自体が危ぶまれるのだぞ?」

 レメットを援護するように放たれたアキノの言葉。
 これをきっかけに、

「そうだよ! ウィルムたちのような職人がいなくちゃ物を売れないのに!」
「わ、私もそう思います!」
「利益ばかりを追求しているから、信頼を失うんです!」

 ソニル、リディア、ミミューが追撃。
 
「ぐぅ……」

 心当たりがありまくるラストンは何も言い返せなかった。
 そんなヤツが次に取る行動は……大体予想できるな。

「うるせぇ! おまえらさえいなければバーネット商会は以前のように繁盛するんだ!」

 逆ギレからの実力行使だった。

「やっちまえ!」

 王都のど真ん中でケンカ騒ぎを起こすのは相当なリスクだが、もはやそのような判断さえつかないほど焦っているのか。
 おまけに、ヤツは俺たちとの実力差をまったく考慮していない。
 とりあえず、落ち着いて話し合いをするためにも……邪魔するヤツには一刻も早く退場してもらおうか。
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