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第158話 スクートの提案

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 サーデル王国の騎士スクート。
 彼は信頼できそうな人物だったので、俺たちはここまでやってきた事情を説明した。国家間の争いごとになる可能性もあるため、そう易々とは信じてもらえないだろうから、根気よく協力してもらえるよう説得しなくてはと想定していたのだが、

「なんという……貴重な情報をありがとうございます。危険も多く、さぞ不安だったことでしょう」

 どうやらスクートには思うところがあったらしく、俺たちの話を信じてくれた。

「俺たちの話を信じてくれるんですか?」
「えぇ、信じます。……実は、我が騎士団でも似たような噂が立っているのです。外部の方からまったく同じような内容が出てきて少し困惑していますよ」

 スクートの話では、ここ最近の治安悪化に一部騎士団の者が関与しているのではないかという噂がまことしやかに流れていたらしい。そんな中、以前からの付き合いがあるバーネット商会が怪しいのではという話が出てきているという。

「バーネット商会代表のご子息であるラストン殿が、騎士団の詰め所で何度か目撃されているのですが……彼が訪れた日に、王都で暴力事件が発生しているという共通点に騎士団長が気づいたんです」
「ラストンが来た日に……」

 ……関与しているのはほぼ間違いないだろうな。
 ラストンは「怪しまれないように日にちを変える」とかって悪知恵を働かせるタイプじゃない。思慮深さはなく思いつきで行動し、失敗したら他人のせいにして責任逃れをする。典型的なダメ二世って性格だ。

 商会の経営が傾いた大きな原因のひとつはそれだろう。
 今回の件も、恐らく大きな利益を生みだすために誰も手をつけていないダンジョンを標的に定めたことが原因だろう。
 国境をまたぐダンジョンは利益分配が難しく、両国の信頼関係が何よりも重要視される。片方の国の領地にお宝が集中していてそちらに冒険者が殺到してしまい、国同士の仲が険悪になって戦争に発展したケースも耳にした。

 ただ、サーデル王都の様子を見る限り、メルキスとサーデルは互いに仲良くやっていけるだろうと俺は判断した。もちろん、最終的な判断はガウリー大臣が下すのであくまでもイメージだけって話だが。

 それでも敵対関係となるよりは絶対に仲良くしておいた方がお互いのためにいい。
 その障害となっているバーネット商会をどうにかしてサーデルから追い払わないといけないな。

「あなた方はこれからどうするつもりですか?」
「商会のある場所へ向かおうと思います」
「っ! 直接対決というわけですか!?」
「できれば避けたいところですが……ヤツらが正直にこれまでの流れを離してくれるとは思いませんので、少し荒れそうです」
「ならば、騎士団も加勢します」

 スクートは強い眼差しを向けながらそう提案する。
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