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第154話 拍子抜け?

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 サーデル王国の王都。
 俺たちは真実を見極めるためにそこへ潜入を試みる。
 状況が状況だけに厳戒態勢が敷かれており、中へ入るのにもひと苦労だと想定していたのだが……

「ようこそ、サーデル王都へ!」
「あっ、ど、どうも」

 こちらの正体を明かしてはいないとはいえ、とてもフレンドリーな態度で門番を務める兵士に迎え入れられた。荷物検査も申告だけで通してくれるようなので、特に策を練らずそのまま通過。身を隠していたミミューたちが見つかることはなかった。

 さて、肝心の王都だが――雰囲気はとても明るかった。
 メルキスほどの規模ではないが、とても活気がある。行き交う人々の多くは笑顔で、日常生活の充実ぶりがうかがえた。サーデルは大国とは呼べるほどの領地を持っているわけではないが、国民の生活満足度は高そうだな。昨日立ち寄った村もいい雰囲気だったし。
 
 正直、拍子抜けしてしまった。

 もっとこう、あちこちに兵士がいて、張り詰めた気配が充満し、長居したくないという空気だと思っていたからだ。たぶん、クーデターの起きた人魚族の国にいた経験があったからそう思うんだろうな。

 ただ、こんなにも穏やかで平和な暮らしをしている人々も見たら、サーデルとメルキスの関係悪化は何が何でも避けなければならない。
 同時に、争うを起こそうとしているのが一部の人間だけという可能性が強まってきたので、そこをついて最悪の事態を回避できないかどうか探ってみようという考えに至る。

 とにかく、冷静に物事を考えられる場所と時間が必要だ。

「まずはここでの拠点を探すとするか」
「ならば、やはり宿屋でしょうか」
「それがベストかな」

 御者を務める俺の横に座るアキノがそう提案し、俺も乗っかる。
 ちなみに、王都内へ入る検問の際は夫婦という間柄で通すことになっていた。これもアキノからの強い要望によるものだが……何やら事前にリディアから聞いていたようで、ふたりがコソコソと話している場面を見てたんだよなぁ。

 まあ、それはさておき、とりあえず宿探しを本格的に始めていこう。
 王都だけあり、宿の数は多い。
 それだけ利用者がいるということだろう。

 中央通りから少し離れた路地裏の小さな宿屋に目を付けた俺たちは、早速馬車をとめて中へと入る。
 睨んだ通り、店の雰囲気に問題はないが客入りはそれほどでもなかった。

「ウィルム殿の言う通りでしたね」
「宿選びにもコツがあるんだけど、王都では露骨にあくどい商売ができないからそもそも変な店が少ない。さっきの中央通りの賑やかさを見れば、ここは特にその特徴が出ていると思ったんだよ」

ここなら行動しやすいだろう。
荷物を部屋へ運んだら、早速作戦会議だ。
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