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第149話 サーデル入り
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作戦決行当日。
俺たちは例のダンジョンを通ってサーデル入りを果たす。すでに国境付近は警備が厳重となっているらしく、正攻法での突破は困難となっていたため止むを得ない判断となったが……あとできちんと説明をしておかなくちゃな。
国境にもなっているファルト川を渡って静かにサーデル入りをする俺たち。
近くの森に身を隠すと、今後のルートを地図で確認していく。
「王都はまだ遠いな。国境近辺には兵士が揃っているらしいから、少し迂回するけど西側から近づくルートで行こう」
「商会は王都に?」
「それは間違いないだろうな」
入国後の作戦立案については俺とアキノが中心となり、他のみんなにはアイディアを出してもらう。
とはいえ、今回は俺の元職場と対立する可能性が極めて高いので、向こうの手の内を知る俺自身がキーとなるだろう。
これまでの経験から言って、商会代表とその息子であるラストンは王都にいる。ヤツらが大臣とつながっているというなら、城から距離も近く、何より華やかな場所から出たくないという見栄っ張りな性格もあって王都以外の選択肢は目に見えていないはずだ。
ガウリー大臣曰く、サーデル王都の規模はメルキス王都と大差ないという。
となれば、かなり大きな都市……そう簡単にこちらの居所は把握されないだろう。
楽観視はできないが、前回の人魚族の国に比べたら難易度自体は低い。
あっちはそもそも完全アウェーだったしな。
味方がいないという点についてはサーデルも同じだけど、援軍が到着しやすい距離にあるのはありがたい。――もっとも、援軍が到着する前に何かあってはよくないのだが。
というわけで、何をやるにもまずは「見つからない」ということが前提にある。
特にバーネット商会の関係者に俺の顔は知られているので、派手な動きはできない。あと、ラストンが引き継ぎの挨拶に訪れた際、居合わせたレメットやアキノの顔もきっと覚えているはず。
取引先の情報を覚える気はサラサラなかったようだが、美人の顔と名前だけは妙に覚えのよかった男だからな。
「よし。それじゃあ、まずはこのオーレンという名前の村を目的地にして進んでいこう」
俺はみんなにそう提案し、情報を共有。
どんなに飛ばしても一日で王都に到着するのは難しいので、細心の注意を払いながらゆっくりと進む方を選択――だが、すでにダンジョン絡みでよからぬ情報を吹き込まれているサーデル側が、いつ動きだすか不透明な状況だ。
さすがにすぐメルキスへ総攻撃を仕掛けるなんて無茶はやらないだろう。
国家の規模でいえばサーデルが劣る。
奇襲を仕掛けたとしても、長期戦に持ち込まれたら圧倒的に不利だからな。商会が武器や食糧などを提供してバックアップすると見られるが、それにも限界がある。
焦らず、それでも可能な限り速く。
難しい判断を迫られる中、俺たちはサーデル王都へ向けて出発した。
俺たちは例のダンジョンを通ってサーデル入りを果たす。すでに国境付近は警備が厳重となっているらしく、正攻法での突破は困難となっていたため止むを得ない判断となったが……あとできちんと説明をしておかなくちゃな。
国境にもなっているファルト川を渡って静かにサーデル入りをする俺たち。
近くの森に身を隠すと、今後のルートを地図で確認していく。
「王都はまだ遠いな。国境近辺には兵士が揃っているらしいから、少し迂回するけど西側から近づくルートで行こう」
「商会は王都に?」
「それは間違いないだろうな」
入国後の作戦立案については俺とアキノが中心となり、他のみんなにはアイディアを出してもらう。
とはいえ、今回は俺の元職場と対立する可能性が極めて高いので、向こうの手の内を知る俺自身がキーとなるだろう。
これまでの経験から言って、商会代表とその息子であるラストンは王都にいる。ヤツらが大臣とつながっているというなら、城から距離も近く、何より華やかな場所から出たくないという見栄っ張りな性格もあって王都以外の選択肢は目に見えていないはずだ。
ガウリー大臣曰く、サーデル王都の規模はメルキス王都と大差ないという。
となれば、かなり大きな都市……そう簡単にこちらの居所は把握されないだろう。
楽観視はできないが、前回の人魚族の国に比べたら難易度自体は低い。
あっちはそもそも完全アウェーだったしな。
味方がいないという点についてはサーデルも同じだけど、援軍が到着しやすい距離にあるのはありがたい。――もっとも、援軍が到着する前に何かあってはよくないのだが。
というわけで、何をやるにもまずは「見つからない」ということが前提にある。
特にバーネット商会の関係者に俺の顔は知られているので、派手な動きはできない。あと、ラストンが引き継ぎの挨拶に訪れた際、居合わせたレメットやアキノの顔もきっと覚えているはず。
取引先の情報を覚える気はサラサラなかったようだが、美人の顔と名前だけは妙に覚えのよかった男だからな。
「よし。それじゃあ、まずはこのオーレンという名前の村を目的地にして進んでいこう」
俺はみんなにそう提案し、情報を共有。
どんなに飛ばしても一日で王都に到着するのは難しいので、細心の注意を払いながらゆっくりと進む方を選択――だが、すでにダンジョン絡みでよからぬ情報を吹き込まれているサーデル側が、いつ動きだすか不透明な状況だ。
さすがにすぐメルキスへ総攻撃を仕掛けるなんて無茶はやらないだろう。
国家の規模でいえばサーデルが劣る。
奇襲を仕掛けたとしても、長期戦に持ち込まれたら圧倒的に不利だからな。商会が武器や食糧などを提供してバックアップすると見られるが、それにも限界がある。
焦らず、それでも可能な限り速く。
難しい判断を迫られる中、俺たちはサーデル王都へ向けて出発した。
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