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1巻

1-3

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「お? これは使えそうだな」

 森の中ということもあって、外にもたくさんの素材が落ちているし、どれだけ要求しても別に誰も困らない。俺がこの森を選んだ理由のひとつがまさにこれ――クラフトスキルを使用する際に必要となる素材の豊富さだった。
 というわけで、指定された量の木片と鉄を調達。
 時間にしておよそ十五分。
 いいペースできているな。
 集めた素材の数々を寝室に定めた部屋へと運び、先ほどと同じ手順でクラフトスキルを発動させてみる。
 今度はさっきのように単調な作業とはいかない。
【修繕】は元になる物があるため、いくらか手間がはぶけるが……一から新しく作り出すとなると話は別だ。
 具体的な完成形を頭の中でイメージする。
 それを用意した素材で具現化していくのだが、慣れるまでこの工程がなかなか難しい。工芸職人クラフトマンを目指す者ならば最初にぶち当たる壁だ。
 ――けど、ここを乗り越えたら、これ以上ないくらい便利なスキルが使用可能になる。あとは経験を積んでいくと、そこまで難しく感じない。まあ、ようは場数を踏めばいいのだ。
 頭の中に思い浮かべたイメージをクラフトスキルによって徐々に鮮明化させていくと、先ほどのドアの時と同じように、素材が光に包まれる。
 ここまでくれば、あともうひと息。
 仕上げに魔力を注ぎ込めば――ベッドの完成だ。

「よし……こんなもんかな」

 部屋全体はボロボロのままだが、クラフトスキルを使用して作りあげたベッドは新品同然。
 なので、明らかに周りからは浮いているが……まあ、今後周囲を直していけばそれも解消されるだろう。

「スタートとしては上出来だ」

 シーツなどは後日ベルガン村で調達することにして、とりあえず雨風をしのげて横になれる空間が手に入った。
 ベッド作りを終えると、なんだか腹が減ってきた。
 ふと窓の外を見ると、すでに空はオレンジ色に染まっていた。

「もうこんな時間か」

 ちょっと休憩したら、周辺を散策してみようかと思っていたけど……それは明日に持ち越しになりそうだ。
 今日のところはこれでお仕事終了とするか。

「ルディ、晩ご飯の準備をするから手伝ってくれないか?」
「キーッ!」

 俺の仕事が終わるまで待っていたルディを呼び、早速準備開始。
 まず外へ出て焚火たきびの用意をする。
 ここまでまだモンスターに襲われていないし、そもそも目撃情報がないってアトキンスさんは言っていたけど、用心するに越したことはない。
 焚火ができると、次はリュックの中にある食料へと手を伸ばす。
 長距離移動と作業の連続で疲れたから、今日は簡単な夕食にしてさっさと寝ちゃおうかな。
 ちなみに、このリュックは空間魔法を応用して作られた逸品いっぴんで、結構値が張る。その分、見た目以上に多くの荷物を収納できる、今ちまたで流行しつつある便利グッズだ。
 さて、肝心の食事だが……今日はパンと干し肉のサンドウィッチでいいかな。 
 近くには小川もあったし、あそこで魚が捕れないかどうか明日チェックしに行こう。
 ……なんか、魔法がなくても十分やっていけそうな気がしてきた。
 とはいえ、やっぱり魔法は使ってみたい。
 せっかく神杖リスティックがあるんだ、せめて、火や水くらいは自在に操れるようになりたいなぁ……時間を見て鍛錬していこう。
 将来的にはこの山小屋を自分好みの工房に改装できたらいいなと思いつつ、俺は黙々と夕食の準備に取りかかるのだった。




[幕間] 冒険者パーティー【月光げっこう



 大陸南東部にあるアドン渓谷けいこく
 そこは別名迷宮渓谷と呼ばれており、あちこちにダンジョンの入口がある。その規模は大陸最大と言われており、多くの冒険者たちが隠された秘宝を求めて探索を行っていた。
 中でも有名なのが【月光】というSランク冒険者パーティー。
 大陸でも屈指の実力者が顔を揃え、現段階における迷宮渓谷のダンジョン最深部まで調査の手を伸ばしている。
 そんな猛者がつどう【月光】のリーダーはエリ・タチバナという極東国出身の女性だ。
 長い黒髪を後ろでたばねたポニーテール。
 右目は眼帯で覆われた、いわゆる隻眼せきがんの冒険者であった。
 彼女の扱う武器はむちであり、これはウィルムのクラフトスキルを用いて威力が強化されている特注品だった。
 この装備により、元々強かったエリの戦闘力はさらに上昇。

氷鞭アイス・ウィップ!」

 今も、まるでヘビのごとくしなやかな動きでダンジョンにひそむ甲虫型モンスターを一瞬にして氷漬けにしてしまった。

「やったぜ!」 
「さすがは姐御あねごだ!」
「あのキングヘラクロスをたった一撃で倒すなんて!」

 エリの活躍に沸き立つパーティーメンバー。
 ――だが、にぎやかで明るい雰囲気とは裏腹に、エリ自身は内心イラついていた。


 事の発端は数日前に遡る。
 エリが贔屓にしていた工芸職人クラフトマンのウィルムが、勤めていた商会をクビになり、近々後任が来ると伝えに来たことから始まった。
 それだけでもエリにとっては十分ショックな出来事であったが、最大の問題はその後任を務めるラストンの実力があまりにもひどすぎるという点だった。
 優秀なウィルムのあとを継ぐ工芸職人クラフトマンであるなら、最低でも同等か、あるいは彼を超える実力者でなければならない。しかし当のラストンは、ヘラヘラするばかりで未熟とすら呼べなかった。
 そもそも、ウィルムは交渉のために危険なダンジョンへ自ら足を運ぶほどの熱心さがあったが、ラストンは「靴が汚れるから」という理由で一歩も入ろうとはしなかった。
 ウィルムのようなタイプは例外中の例外だとしても、せめてコンタクトを取るためにダンジョンへ潜ろうとする気概きがいだけでも見せてくれたら印象は変わったのだろうが、ラストンはそのような素振りさえ見せなかった。
 そのため、バーネット商会への信用は大幅に下落。
 これを機に関係を断ち切ろうとエリは密かに考えたが、武器を定期的に仕入れる必要があるため、大陸最大手であるバーネット商会との関係を完全にシャットアウトするのはためらわれた。


 悩むエリのもとへ、ひとりの少女が駆け寄っていく。

「お疲れ様です、母上。タオルとドリンクを持ってまいりました」
「ああ。すまない、アキノ」

 笑顔でエリにタオルとドリンクを手渡したのは、彼女のひとり娘であるアキノ・タチバナ。
 母親譲りの黒髪を後ろでまとめたポニーテールがよく似合い、父親似の赤い瞳は吸い込まれそうな輝きを放っている。
 その実力はまだまだ未熟――というのは、あくまでも大陸屈指の冒険者である母親のエリの評価であり、十七歳という年齢を考慮したらしろは十分。周りの仲間も、彼女が後継者になることを期待していた。
 そんなアキノはウィルムととても仲がよかった。
 ほとんどパーティー公認といった仲で、エリは日頃からウィルムにアキノを嫁にもらってくれないかと持ちかけるつもりでもいたのだ。
 こうした事情も、彼女が商会への信用をなくす理由に大きく関係していた。
 その後、【月光】の面々はエリの倒したキングヘラクロスを素材としてギルドに売り払うべく解体を始めた――が、その時、仲間の冒険者の男が慌てた様子で駆け寄ってくる。

「姉御! 大変だ!」
「ドラン? おまえには地上での仕事を与えていたはずだが?」
「じ、実は、姐御に急な来客でして」
「客だと?」
「へ、へい。アヴェルガ家の使いって者でして」
「アヴェルガ家だと?」

 その名はよく知っている。
 この迷宮渓谷のあるロデル地方を治める大貴族だ。
 しかし、なぜそのような大貴族が、自分にコンタクトを取ってきたのか――それが分からなかった。

「なぜアヴェルガ家が私に?」
「そ、それが、どうもバーネット商会をクビになったウィルムの件について話がしたいと」
「何っ!?」

 ウィルムのことだというなら、無視はできない。
 無愛想でぶっきらぼうなだけでなく、戦闘力が非常に高いエリを敬遠けいえんする商人もいる中、工芸職人クラフトマンでもあるウィルムは真摯にエリと向き合った。
 最初は気にも留めていなかったが、次第にウィルムの仕事に対する姿勢に関心を持ったエリは、自分の武器である鞭に付与効果のある強化加工を施すように依頼する。
 これに対し、ウィルムは迅速じんそくかつ完璧な仕事をした。
 氷を自在に操れる力を得たエリは、それから活躍の場が広がり、気がつけばリーダーを務めるパーティーは大陸でも有数の実力者が揃う巨大組織となっていた。
 エリはウィルムに深い恩があった。
 そんな彼について、アヴェルガ家は話があると出向いてきたのだ。

「連中は今どこにいる?」
「ギ、ギルドで待っているみたいです」
「……今すぐに行く」

 アヴェルガ家がウィルム絡みで自分たちとの接触を試みた。
 その事実を思い浮かべた時、エリの表情が険しくなる。

「私に声をかけてきたということは……当然、《彼ら》にもコンタクトを取っているというわけか」

 ウィルムが常連客として接していた大物は他にもいる。
 彼自身は顧客情報を漏らさなかったが、その客たちが自ら「ウィルムと接点がある」と話しているのをエリは何度か耳にしていた。
 確証はないが――恐らく、アヴェルガ家は他の影響力が強い大物たちにも声をかけているだろう。

「ふっ……のんびりとティータイムを楽しんでいる余裕はなさそうだな」

 エリは小さく笑い、アヴェルガ家の使いが待つギルドへと向かった。





 第三章 専属契約



 翌朝。
 近くの小川で顔を洗い、朝食の支度したくを始める。
 今日のテーマは小屋をもうちょっと豪勢にすること。昨日は寝るために必要な物をササッと揃えた程度で終わったけど、今日は工房となる部屋作りとか、とにかくいろいろと着手していきたい。
 それと、午後になったら近くの小川へ魚を捕りに行こう。
 昨日チラッとだけ見たが、結構いいサイズが泳いでいたんだよなぁ。それに、小川からもう少し歩いたところには湖もあった。あとで釣竿を作り、それからルアーやワームなんかも用意しておこう。
 それから、畑も作りたい。クラフトスキルで作った物を町へ売りに行くことはあっても、それは最小限にとどめ、ここでのんびり自給自足ができたら最高だ。
 そのためには野菜だけじゃなく、家畜も飼育したいところだ。まずはにわとりあたりかな。
 ただ、野菜や家畜は購入するための資金が必要になってくる。それを稼ぐためにも、クラフトスキルを存分に発揮できる工房作りを最優先とすべきか。
 うーん……労働環境最悪なバーネット商会から解き放たれたはずなのに、忙しさは変わらないな。まあ、質で言えばこっちの方がずっといいんだけど。

「まずは床を強化していくか」

 一部が抜け落ちていた床。
 新しく作り直すほどの損傷はないが、放置しておくのは危険。
 こういう時は、クラフトスキルに宿る三つの能力のうちのひとつ――【強化】を使うべきだろう。
 ただ、【強化】を行うには素材を追加しなければならない。


 それを確保するために外へ出ると、何やら遠くからこちらへと迫ってくる気配を感じ取る。

「……なんだ?」

 それはだんだんと近づいてきているようだった。
 ルディもさっきから妙に騒がしいし……まさか山賊のたぐいか?

「アトキンスさんからはその手の輩は居座っていないという報告を受けているけど……」

 あの人が嘘をつくとは思えないから、ひょっとすると割と最近になって住み着いた者である可能性もある。
 俺は料理するために持ってきていた鉄製のなべと石と木片を、クラフトスキルによって鉄剣へと変えて備えた。
 ――もっとも、きちんとした剣術を学んできたわけではなくて、ほとんど独学だ。こんなことなら、もっと早く魔法の鍛錬をしておくべきだったと今さら後悔しているよ。
 緊張しながら、近づいてくる者たちの正体を探ろうとした――その時、

「ようやく見つけましたよ、ウィルムさん!」

 どこかで聞いた少女の声が、俺の名を呼ぶ。
 視線を向けると、この手つかずの大自然には合わない、素人しろうとでも高価と分かるドレス調の服を着た少女が元気に手を振りながら近づいてきた。
 この子は――

「レメット様!?」

 大陸でも三指に入る大貴族のアヴェルガ家ご令嬢――レメット・アヴェルガ様だった。さらにその後ろからは、彼女専属のメイドさんたちが総勢五人ついてくる。

「ど、どうしてここに!?」
「それはこちらのセリフですよ」

 俺が駆け寄ると、レメット様はいきなりそう告げた。

「大陸内でも影響力の強い大物たちを常連客とする超一流の工芸職人クラフトマンのあなたが、どうしてバーネット商会をクビになって、こんな山の中でひっそりと暮らすことになるんですか!?」
「い、いや、それは……」

 アヴェルガ家の当主であるフリード様には引き継ぎの挨拶をしつつ、諸々もろもろの事情を説明しておいたが……どうもそれだけでは納得がいかなかったようだ。
 だからって、まさかこの森にまでやってくるとは夢にも思わなかったよ。

「も、申し訳ありません。このたびは多大なご迷惑をおかけして」
「そういうことを言っているのではありません。――ただ、なぜこんな山奥を選択したのですか? ガウリー大臣にも話を聞きましたが、メルキスの王都に店を構えようとは考えなかったのですか?」
「で、できれば、静かにひっそりと暮らせたらと思いまして」
「……残念ですが、ひっそりと暮らすにはあなたが抱えている常連客のレベルがとんでもなく高すぎます。もちろん、我がアヴェルガ家も含めてですが」

 確かに……アヴェルガ家当主であるフリード・アヴェルガ様以外も、非常に影響力のある人たちだ。まあ、だからこそ、バーネット代表は俺の常連を息子のラストンへ引き継がせたのだ。

「ともかく、あなたがバーネット商会から去ったと聞いて、お父様と話し合いを重ねた結果――私たちアヴェルガ家はある決断を下したのです」
「け、決断?」

 なんだか、だんだんと話がおかしな方向へ進んでいる気がするんだけど……?
 俺の不安をよそに、レメット様は高らかに宣言した。

「私たちアヴェルガ家はバーネット商会との取引をやめ、今後はウィルムさんと専属契約を結ぶ方向で考えています」
「えぇっ!?」

 せ、専属契約だって!?

「で、ですが、俺はもうバーネット商会には――」
「バーネット商会などどうでもいいのです。前々からそうですが、私たちアヴェルガ家は、あなたがバーネット商会の人間だから仕事を依頼していたのではないのですよ?」
「えっ……?」
「あなただからです。お父様も言っていましたよ。いい仕事をする工芸職人クラフトマンのウィルムさんがいるから、バーネット商会に仕事を依頼する、と。だから、まったく逆なんですよ」

 そうだったのか……俺はてっきり、大陸でも最大手のバーネット商会にいる人間だから仕事を依頼されていると思っていたけど――どうやら、それは違ったみたいだ。

「私たちとしては、これからも末永いお付き合いをお願いしたいのですが?」
「……よ、よろしくお願いします」

 俺は深々と、力いっぱい頭を下げた。
 こうすることでしか、感謝の気持ちを表現できなかったのだ。
 ゼロからのスタートとなった俺の新生活。
 しかし、どうやらゼロだと思っていたのは俺だけだったようだ。


 ◇ ◇ ◇


 ――といったわけで、クビになったことで解消したと思っていたアヴェルガ家との契約は、俺個人との専属契約という形で続行することとなった。
 本音を言わせてもらえばありがたいし、俺のことをそこまで思っていてくれたと嬉しくもあった――が、どうもそれだけでは済まなそうだ。
 というのも、レメット様と一緒に来ていたメイドさんたちが、何やら慌ただしく動き回っているのだ。
 何事かと思って見ていると、彼女たちはテントの設営を始めていた。

「テントでの寝食……これこそ、山での生活の醍醐味だいごみです!」

 瞳を輝かせながら語るレメット様。
 そういえば、憧れの職業に「冒険者」って答えていたことがあったな。まあ、さすがにフリード様が許さないだろうけど。

「申し訳ありません、ウィルム様」

 テンション爆上がりのレメット様に圧倒されていると、一緒についてきたメイドたちのまとめ役を務めるアニエスさんがそう言って頭を下げた。
 腰まで伸びた長い紫色の髪と、右目の下にある泣きぼくろが特徴的な美人――彼女とも面識がある。
 アヴェルガ家には何度も顔を出したが、よく応対してくれたのがアニエスさんだった。レメット様の専属メイド長を任されていることからも、厚い信頼を寄せられているのが分かる。
 そういった事情から、アニエスさんとは顔を合わせる機会が多く、次第に仕事とは関係のない世間話をする間柄になった。年齢的にも年上なので(一歳上)、俺としては優しくて美人なお姉さんという感覚で接している。

「お嬢様は商会をクビになったウィルム様をずっと心配しておられましたから、こうして新しく生活拠点を見つけてホッと安心しているのです」
「それに加えて、ずっとやってみたかった冒険者生活っぽいことができて、めちゃくちゃ上機嫌ですね」
「はい。……あとから来たバーネット商会の親子にもかなりの不快感があったようですし」
「あぁ……」

 きっと、ラストンがジロジロといやらしい視線を送っていたんだろうな。前職場でもそれが女性商人たちの間で散々話題になっていたし。

「まあ、何はともあれ、アヴェルガ家の後ろ盾があるというのは、これから工芸職人クラフトマンをしていくうえで非常に重要かと」
「確かにそれはありますけど……俺としては、そこまで必死になって金儲けをしようとは思っていないんですよね」
「そうなのですか? 私はてっきり、わざとクビになるように仕向けたのかと。そしてゆくゆくは、クラフトスキルを駆使して世界を牛耳ぎゅうじろうと画策かくさくしての独立かと思っていましたが?」
「…………」

 この人は俺をなんだと思っているのか。
 とはいえ、アニエスさんが突拍子とっぴょうしもないことを言いだすのは今に始まったことじゃない。これもまた、彼女なりのユーモアってヤツだ。

「そんなつもりは毛頭ありませんよ」
「しかし、あなたの抱えていた顧客といえば、その道の超大物ばかりとうかがっていますが?」
「えっ?」
「すいません。旦那様が調べていたようでしたので、つい」

 いや、「つい」って……いや、そもそも常連のお客さん自身が情報を提供したって可能性もなくはないな。それくらいアヴェルガ家は顔が広いし。

「とにかく、俺はここでのんびりとセカンドライフを楽しみたいだけです」
「それならばよかったです」

 ニコッと微笑ほほえむアニエスさん。
 ……黙っていれば凄い美人なんだけどなぁ。
 なんだか照れ臭くなってきたので、話題を変えるとするか。


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