99 / 106
第99話 立て直し
しおりを挟む
出世のために結果を求め、窮地に陥ったラターシャ。
そんな彼女を救うため、俺は必死に手を伸ばす。
――が、このタイミングでは到底間に合わない。
もうダメかとあきらめかけた、まさにその時だった。
「はあっ!」
背後から聞こえる少女の声。
これは……アミーラか?
そう思った直後、突風が俺を襲う。魔力を含んだこいつはアミーラが魔法によって生みだしたものだろう。おまけにこれはただの風ではなく、目には見えない刃となってムカデ型モンスターを襲撃する。
「ジャスティンさん、早くラターシャさんを!」
「おう!」
これはあくまでも威嚇。
致命傷を与えるには至っていない。
アミーラは俺にラターシャを救うための時間を作ってくれたのだ。
「立てるか、ラターシャ!」
「あっ……うっ……」
初めて巨大モンスターを前にした恐怖心と、とんでもない失態をやらかしてしまったという羞恥心が心の中でごちゃ混ぜになり、ラターシャはパニック状態となっていた。
「しっかりしろ! こんなところで終わっていいのか!」
「っ!」
檄を飛ばすと、ラターシャの瞳に光が戻る。
やらかしてしまったという事実はもう消せないが、ここから立ち直ることはできる。彼女はまだ若いんだし、失った物を取り返すには十分すぎるほどの時間があった。
それに彼女自身も気づいたのだろう。
「まだ上を目指す気持ちが残っているなら、立ち上がってこの場から離れるんだ。それで仕切り直そう」
「は、はい……」
ラターシャは俺の差し出した手を握り締める。そして、アミーラの魔法でモンスターが怯んでいる隙に撤退し、ゲイリーやエリナのもとへと戻ってきた。
「ったく、無茶しやがって!」
「心配したんですよ!」
「ごめんなさい……」
反省しきりのラターシャ。
声色や表情から、心底悔いていると察したゲイリーもエリナはそれ以上何も言わず、この場を切り抜けることに全力を注ごうと気持ちを切り替えた。
アミーラの強力魔法で早期決着としてもいいが、場所が場所だけにあまり派手な魔法は使えない。ジュエル・リザードを倒した時は周囲に魔鉱石が確認できなかったので思い切りのいい攻撃ができたが、今は状況が違うからな。
下手に魔法を使って、周囲の魔鉱石に悪影響が出てしまうと、せっかくの鉱産資源が台無しになってしまう。
ここはやはり、俺たち騎士の出番だろう。
「ジャスティン!」
「分かっているさ、ゲイリー。聖剣の力で突破口を開く」
「よし! 援護は俺たちに任せろ!」
「やっちゃってください、先輩!」
ムカデ型モンスター討伐のため、俺たちは一斉に行動を開始した。
そんな彼女を救うため、俺は必死に手を伸ばす。
――が、このタイミングでは到底間に合わない。
もうダメかとあきらめかけた、まさにその時だった。
「はあっ!」
背後から聞こえる少女の声。
これは……アミーラか?
そう思った直後、突風が俺を襲う。魔力を含んだこいつはアミーラが魔法によって生みだしたものだろう。おまけにこれはただの風ではなく、目には見えない刃となってムカデ型モンスターを襲撃する。
「ジャスティンさん、早くラターシャさんを!」
「おう!」
これはあくまでも威嚇。
致命傷を与えるには至っていない。
アミーラは俺にラターシャを救うための時間を作ってくれたのだ。
「立てるか、ラターシャ!」
「あっ……うっ……」
初めて巨大モンスターを前にした恐怖心と、とんでもない失態をやらかしてしまったという羞恥心が心の中でごちゃ混ぜになり、ラターシャはパニック状態となっていた。
「しっかりしろ! こんなところで終わっていいのか!」
「っ!」
檄を飛ばすと、ラターシャの瞳に光が戻る。
やらかしてしまったという事実はもう消せないが、ここから立ち直ることはできる。彼女はまだ若いんだし、失った物を取り返すには十分すぎるほどの時間があった。
それに彼女自身も気づいたのだろう。
「まだ上を目指す気持ちが残っているなら、立ち上がってこの場から離れるんだ。それで仕切り直そう」
「は、はい……」
ラターシャは俺の差し出した手を握り締める。そして、アミーラの魔法でモンスターが怯んでいる隙に撤退し、ゲイリーやエリナのもとへと戻ってきた。
「ったく、無茶しやがって!」
「心配したんですよ!」
「ごめんなさい……」
反省しきりのラターシャ。
声色や表情から、心底悔いていると察したゲイリーもエリナはそれ以上何も言わず、この場を切り抜けることに全力を注ごうと気持ちを切り替えた。
アミーラの強力魔法で早期決着としてもいいが、場所が場所だけにあまり派手な魔法は使えない。ジュエル・リザードを倒した時は周囲に魔鉱石が確認できなかったので思い切りのいい攻撃ができたが、今は状況が違うからな。
下手に魔法を使って、周囲の魔鉱石に悪影響が出てしまうと、せっかくの鉱産資源が台無しになってしまう。
ここはやはり、俺たち騎士の出番だろう。
「ジャスティン!」
「分かっているさ、ゲイリー。聖剣の力で突破口を開く」
「よし! 援護は俺たちに任せろ!」
「やっちゃってください、先輩!」
ムカデ型モンスター討伐のため、俺たちは一斉に行動を開始した。
応援ありがとうございます!
216
お気に入りに追加
1,826
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる