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第94話 もうひとりの後輩
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新たに発見された魔鉱石の鉱脈。
それを自分の目で確かめたいというドイル様。
まあ、これについては理解できるし、ゲイリーも予想はしていた――が、まさか公爵家のご令嬢であるアリッサ様でついてくるとは夢にも思っていないだろうな。
まだ完璧に安全が確保されたわけではないが、規格外の強さを誇るアミーラもいるし、緊急事態の対応もこなせるだろう。何より……期待に瞳を輝かせているドイル様とアリッサ様に「NO」と言える勇気が俺になかった。
しかし、初めて会った時もそう思ったのだが、アリッサ様は大人しそうに見えて意外と行動的だな。モンスターが出た鉱山とか普通は頼まれても行きたがらない場所だ。
出発の準備を進めていると、俺のもとへブラーフさんとマリエッタさんがやってくる。
「ジャスティン様、道中お気をつけて」
「心配ありませんよ。俺たちがついていますから」
「私も大丈夫だとは思っていますが……何せお相手はあの公爵家であるマクリード家のご令嬢です。その身に万一のことがあったら……」
言い終える前に震え上がるブラーフさん。
……プレッシャーだなぁ。
「念のため、湖からアスレティカさんを召喚して同行してもらいましょうか?」
「どのみちあの大きな体じゃ坑道内に入れないので意味ないですよ」
ついにはマリエッタさんまでよく分からないことを言いだした。
まあ、公爵家のお嬢様に何かあったらまずいっていうのは分かるけど……彼女の護衛の人たちも同行するって話になっているから問題ないんじゃないか?
――で、今度はその護衛騎士さんが俺のところへやってきた。
「お世話になります、ジャスティン殿」
「っ! 君は……」
挨拶に来たのはピンク色のショートカットヘアーが印象的な若い女性。
「ひょっとして、ラターシャか?」
「えぇっ! 私のこと覚えていてくれたんですか!」
「もちろんだ。君は俺が聖騎士になって初めてできた後輩だからね」
懐かしいな。
ラターシャはエリナより先に後輩として行動をともにしていた時期がある。数年前に彼女は異動となり、それから顔を合わせていなかったが、まさか公爵家の護衛騎士になっていたとは驚きだ。
「腕は鈍っていないだろうな?」
「何年も公爵家に仕えているのですよ? むしろ磨きがかかって先輩を超えちゃっているかもしれません」
「そいつは頼もしいな」
久しぶりに再会した元祖後輩と会話を楽しんでいると、
「…………」
背後から凄い圧を感じる。
これは間違いなくエリナから発せられているな。
……どうやら、余計な火種が増えてしまったみたいだ。
それを自分の目で確かめたいというドイル様。
まあ、これについては理解できるし、ゲイリーも予想はしていた――が、まさか公爵家のご令嬢であるアリッサ様でついてくるとは夢にも思っていないだろうな。
まだ完璧に安全が確保されたわけではないが、規格外の強さを誇るアミーラもいるし、緊急事態の対応もこなせるだろう。何より……期待に瞳を輝かせているドイル様とアリッサ様に「NO」と言える勇気が俺になかった。
しかし、初めて会った時もそう思ったのだが、アリッサ様は大人しそうに見えて意外と行動的だな。モンスターが出た鉱山とか普通は頼まれても行きたがらない場所だ。
出発の準備を進めていると、俺のもとへブラーフさんとマリエッタさんがやってくる。
「ジャスティン様、道中お気をつけて」
「心配ありませんよ。俺たちがついていますから」
「私も大丈夫だとは思っていますが……何せお相手はあの公爵家であるマクリード家のご令嬢です。その身に万一のことがあったら……」
言い終える前に震え上がるブラーフさん。
……プレッシャーだなぁ。
「念のため、湖からアスレティカさんを召喚して同行してもらいましょうか?」
「どのみちあの大きな体じゃ坑道内に入れないので意味ないですよ」
ついにはマリエッタさんまでよく分からないことを言いだした。
まあ、公爵家のお嬢様に何かあったらまずいっていうのは分かるけど……彼女の護衛の人たちも同行するって話になっているから問題ないんじゃないか?
――で、今度はその護衛騎士さんが俺のところへやってきた。
「お世話になります、ジャスティン殿」
「っ! 君は……」
挨拶に来たのはピンク色のショートカットヘアーが印象的な若い女性。
「ひょっとして、ラターシャか?」
「えぇっ! 私のこと覚えていてくれたんですか!」
「もちろんだ。君は俺が聖騎士になって初めてできた後輩だからね」
懐かしいな。
ラターシャはエリナより先に後輩として行動をともにしていた時期がある。数年前に彼女は異動となり、それから顔を合わせていなかったが、まさか公爵家の護衛騎士になっていたとは驚きだ。
「腕は鈍っていないだろうな?」
「何年も公爵家に仕えているのですよ? むしろ磨きがかかって先輩を超えちゃっているかもしれません」
「そいつは頼もしいな」
久しぶりに再会した元祖後輩と会話を楽しんでいると、
「…………」
背後から凄い圧を感じる。
これは間違いなくエリナから発せられているな。
……どうやら、余計な火種が増えてしまったみたいだ。
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