92 / 105
第92話 明るい話題
しおりを挟む
魔鉱石の新たな鉱脈が発見された次の日。
当初の予定通り、俺とエリナとアミーラの三人に数人の騎士を加えたメンバーがトライオン家に調査結果を報告しに向かう。
一方、ゲイリー率いる騎士たちはこの場に残り、さらなる調査と周辺の安全確認などを行っていくことで今後の動きが決まった。
「よかったですね、先輩」
「ああ、ひと安心だな。これもすべてはアミーラのおかげだよ」
「わ、私はそんな……」
このやりとりももう何回目だろうなぁ。
アミーラの反応はもう予想できるレベルにまで達しているくらい見たけど、それでもやっぱり感謝の言葉を口にしてしまう。実際、本人が物凄く謙虚な性格だからこういう反応をしているが、アボット地方の領民としては勲章を与えても差し支えないと断言できるくらいの大活躍だったからなぁ。もうちょっと自信を持ってもいいのに。
こうして、遠ざかるゴーテル鉱山を眺めつつ、俺たちはまったりと穏やかに帰り道を進むのであった。
トライオン家に到着すると、すぐにドイル様へ報告――しようとしたら、
「あははは」
「うふふふ」
そのドイル様はマクリード家のご令嬢であるアリッサ様と中庭で優雅にティータイムの真っ最中であった。
その様子を壁に張りつきながらソワソワ見守る使用人たち。
「屋敷の人手がやけに少ないなぁと思ったら……こんなところに」
「おや、お帰りなさいませ」
「今いいところですのでお静かに」
ブラーフさんやマリエッタさんまで……やれやれ。ゴーテル鉱山ではジュエル・リザードと戦ったり(実際に戦っていたのはアミーラだけだが)、未踏の地を恐る恐る進んでいったりと苦労を重ねてようやく報告に戻ったというのに。
ただ、ふたりが浮かれたい気持ちも分からなくはない。
ドイル様とアリッサ様……とても絵になる構図だ。
というか、わざわざアリッサ様はドイル様に会うため、この辺境領地までやってきたのか?
だとしたら相当気に入られているな。
「そういえば、みなさんはどうしてこちらに?」
ここでようやくマリエッタさんが事態に気づく。
とりあえず、ここでコソコソ話すような内容じゃないので、ドイル様に直接お話をしたいと伝えなくては。
「実は、例の鉱山で新しい魔鉱石の鉱脈が発見されたんです」
「っ! 新しい魔鉱石の鉱脈が見つかったのですか!」
いつも冷静なマリエッタさんらしくない大声に、ドイル様もアリッサ様もこちらに気づいて振り返った。
この人……こんなにポンコツだったかな?
当初の予定通り、俺とエリナとアミーラの三人に数人の騎士を加えたメンバーがトライオン家に調査結果を報告しに向かう。
一方、ゲイリー率いる騎士たちはこの場に残り、さらなる調査と周辺の安全確認などを行っていくことで今後の動きが決まった。
「よかったですね、先輩」
「ああ、ひと安心だな。これもすべてはアミーラのおかげだよ」
「わ、私はそんな……」
このやりとりももう何回目だろうなぁ。
アミーラの反応はもう予想できるレベルにまで達しているくらい見たけど、それでもやっぱり感謝の言葉を口にしてしまう。実際、本人が物凄く謙虚な性格だからこういう反応をしているが、アボット地方の領民としては勲章を与えても差し支えないと断言できるくらいの大活躍だったからなぁ。もうちょっと自信を持ってもいいのに。
こうして、遠ざかるゴーテル鉱山を眺めつつ、俺たちはまったりと穏やかに帰り道を進むのであった。
トライオン家に到着すると、すぐにドイル様へ報告――しようとしたら、
「あははは」
「うふふふ」
そのドイル様はマクリード家のご令嬢であるアリッサ様と中庭で優雅にティータイムの真っ最中であった。
その様子を壁に張りつきながらソワソワ見守る使用人たち。
「屋敷の人手がやけに少ないなぁと思ったら……こんなところに」
「おや、お帰りなさいませ」
「今いいところですのでお静かに」
ブラーフさんやマリエッタさんまで……やれやれ。ゴーテル鉱山ではジュエル・リザードと戦ったり(実際に戦っていたのはアミーラだけだが)、未踏の地を恐る恐る進んでいったりと苦労を重ねてようやく報告に戻ったというのに。
ただ、ふたりが浮かれたい気持ちも分からなくはない。
ドイル様とアリッサ様……とても絵になる構図だ。
というか、わざわざアリッサ様はドイル様に会うため、この辺境領地までやってきたのか?
だとしたら相当気に入られているな。
「そういえば、みなさんはどうしてこちらに?」
ここでようやくマリエッタさんが事態に気づく。
とりあえず、ここでコソコソ話すような内容じゃないので、ドイル様に直接お話をしたいと伝えなくては。
「実は、例の鉱山で新しい魔鉱石の鉱脈が発見されたんです」
「っ! 新しい魔鉱石の鉱脈が見つかったのですか!」
いつも冷静なマリエッタさんらしくない大声に、ドイル様もアリッサ様もこちらに気づいて振り返った。
この人……こんなにポンコツだったかな?
応援ありがとうございます!
137
お気に入りに追加
1,827
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる