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第89話 新たな鉱脈
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俺たちは慎重に一歩ずつ前進していく。
ジュエル・リザードが出現したことを考慮すると、ここから先にもモンスターが潜んでいる可能性があった。アミーラには魔鉱石の反応をチェックしてもらいつつ、モンスターの出現にも気を配ってもらわなくてはいけない。
かなりの負担になると思い、どこかのタイミングで休憩をしようと本人に持ちかけてみたのだが、
「問題ありません! まだまだイケますよ!」
アミーラ本人に疲れた様子は見られない。
実際、照明魔法に探知魔法に氷魔法に炎魔法――あれだけの魔法を使っているにもかかわらず、魔力量は豊富なままであった。本当に無尽蔵のスタミナだな。この若さで公爵家であるマクリード家が注目するのも頷けるよ。
周りの騎士たちのアミーラを見る目も着実に変わりつつあった。
最初はやっぱりどこかマスコット的な扱いだったが、魔法使いとしての高い資質に気づき、今やともに戦う仲間と認識を改めている――つまり、彼女の力にいい意味で頼り始めていたのだ。
坑道の奥へと進み始めてから三十分ほど経った頃。
「あっ」
突然アミーラが声をあげた。
「何かあったのか?」
「はい……近いです。この近くに魔鉱石があります」
「ほ、本当か!?」
興奮気味に叫ぶゲイリー。
エリナも「ついに見つけましたね!」と鼻息を荒くしながら続いた。
俺たちは意気揚々と進んでいき――ついにその場所へとたどり着いた。
そこはこれまでと違って天井が高く、横幅もかなり広くなっている空間であった。誰がどう見ても今までの場所とは「何かが違う」と感じさせてくれる。
「アミーラ、照明をもう少し強くできるか?」
「御安い御用です!」
空間の全体像を把握するため、アミーラに照明魔法の範囲を広げてもらうよう依頼。
それに応えるように、彼女は魔力を光に変えて周囲へと解き放つ。手の平に乗るくらいの光球はさながら小さな太陽といったところか。
高い天井を目がけて飛んでいくその光球はやがて空中で停止。
直後、辺りを一斉に照らしだすよう光り方が強まった。
空間内の様子がハッキリ分かるようになると、
「「「「「おおおおおっ!」」」」」
俺たちは思わず感嘆の声をあげる。
なぜなら、そこには待ち望んでいた光景――数え切れないほど多くの魔鉱石が存在していたからだ。
ジュエル・リザードが出現したことを考慮すると、ここから先にもモンスターが潜んでいる可能性があった。アミーラには魔鉱石の反応をチェックしてもらいつつ、モンスターの出現にも気を配ってもらわなくてはいけない。
かなりの負担になると思い、どこかのタイミングで休憩をしようと本人に持ちかけてみたのだが、
「問題ありません! まだまだイケますよ!」
アミーラ本人に疲れた様子は見られない。
実際、照明魔法に探知魔法に氷魔法に炎魔法――あれだけの魔法を使っているにもかかわらず、魔力量は豊富なままであった。本当に無尽蔵のスタミナだな。この若さで公爵家であるマクリード家が注目するのも頷けるよ。
周りの騎士たちのアミーラを見る目も着実に変わりつつあった。
最初はやっぱりどこかマスコット的な扱いだったが、魔法使いとしての高い資質に気づき、今やともに戦う仲間と認識を改めている――つまり、彼女の力にいい意味で頼り始めていたのだ。
坑道の奥へと進み始めてから三十分ほど経った頃。
「あっ」
突然アミーラが声をあげた。
「何かあったのか?」
「はい……近いです。この近くに魔鉱石があります」
「ほ、本当か!?」
興奮気味に叫ぶゲイリー。
エリナも「ついに見つけましたね!」と鼻息を荒くしながら続いた。
俺たちは意気揚々と進んでいき――ついにその場所へとたどり着いた。
そこはこれまでと違って天井が高く、横幅もかなり広くなっている空間であった。誰がどう見ても今までの場所とは「何かが違う」と感じさせてくれる。
「アミーラ、照明をもう少し強くできるか?」
「御安い御用です!」
空間の全体像を把握するため、アミーラに照明魔法の範囲を広げてもらうよう依頼。
それに応えるように、彼女は魔力を光に変えて周囲へと解き放つ。手の平に乗るくらいの光球はさながら小さな太陽といったところか。
高い天井を目がけて飛んでいくその光球はやがて空中で停止。
直後、辺りを一斉に照らしだすよう光り方が強まった。
空間内の様子がハッキリ分かるようになると、
「「「「「おおおおおっ!」」」」」
俺たちは思わず感嘆の声をあげる。
なぜなら、そこには待ち望んでいた光景――数え切れないほど多くの魔鉱石が存在していたからだ。
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