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第77話 出発
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凄まじい実力を秘めた魔法使いアミーラを新たに加え、本格的に魔鉱山の再調査がスタートしようとしていた。
かつては町もあって賑わっていたらしいが、今では無人で誰も住んでいないため、モンスターや野盗が根城にしている可能性もあるとして、俺とエリナのふたりも同行するようトライオン家のドイル様から要請があった。
カーティス村を守るのが第一の仕事ではあるが、魔鉱山が復活してくれたらこの村にも少なからず恩恵がある。それで人々の生活が豊かになるというならぜひとも力を貸そうじゃないかって話になり、ついていくことに。
まあ、もし村に何かあったら湖に住む老竜アスレティカが駆けつけてくれる手筈になっているので抜かりはないけど。
「レオン、バルク、それにリンデル――みんなの力を借りるぞ」
今回は駐在所の全戦力を投じて挑むつもりなので、当然彼らにもついてきてもらう。
準備を終えた俺たちは、カーティス村を出て魔鉱山を目指すのだが、その前に別動隊と合流する予定になっている。どうやらひと足先に目的地に向かっているチームがいるらしい。
アミーラ曰く、それを構成しているのもまたマクリード家直属の兵士たちだという。
「そこまで戦力を割いてくださるとは……」
「ドノルド様はこのアボット地方にかなり期待を寄せているようです。舞踏会でアリッサ様がこちらのご当主と良い感じになっていると耳にしましたが……あの方はそれだけの理由で肩入れするようなことはありませんので、純粋にひとりの領主としてトライオン家を気に入ったのだと思いますよ」
詳しい解説を入れてくれたアミーラ。
そこへ魔法の技術発展により魔鉱山復活の可能性が浮上してきたとなったら、力を貸さないわけがないということか。
「それにしても……いつも農作業をしながら眺めてはいますけど、あの山へ向かうとなったらかなり距離がありそうですね」
馬車の御者を務めているエリナがそう呟く。
カーティス村で暮らす人たちにとって、あの魔鉱山――正式名称をゴーテル山というらしいが、あそこはもうシンボルのような扱いになっていた。村でもあそこが魔鉱石の採掘場になっていたと知っている者はほとんどいなかったし、そういう扱いになっても仕方がないか。
ともかく、そのゴーテル山までの道のりはなかなかに険しかった。
距離はもちろんだが、道中は荒れ地が多く、レオンとバルクも進みづらそうにしており、かなりの時間を要した。先行しているという別動隊はもうゴーテル山の廃村には到着できたのだろうか。
悪路を行くこと数時間。
少し開けた場所に出ると、そこで先行している別部隊がテントの設営をしていた。どうやらこれ以上の進行は難しいと判断し、ここで一泊するようだ。
とりあえず、合流を知らせるためにも責任者に会わなくちゃ。
そう思って馬車をおりたら、
「よぉ、待っていたぜ」
そう言って俺たちに声をかけてきたのは同僚のゲイリーだった。
かつては町もあって賑わっていたらしいが、今では無人で誰も住んでいないため、モンスターや野盗が根城にしている可能性もあるとして、俺とエリナのふたりも同行するようトライオン家のドイル様から要請があった。
カーティス村を守るのが第一の仕事ではあるが、魔鉱山が復活してくれたらこの村にも少なからず恩恵がある。それで人々の生活が豊かになるというならぜひとも力を貸そうじゃないかって話になり、ついていくことに。
まあ、もし村に何かあったら湖に住む老竜アスレティカが駆けつけてくれる手筈になっているので抜かりはないけど。
「レオン、バルク、それにリンデル――みんなの力を借りるぞ」
今回は駐在所の全戦力を投じて挑むつもりなので、当然彼らにもついてきてもらう。
準備を終えた俺たちは、カーティス村を出て魔鉱山を目指すのだが、その前に別動隊と合流する予定になっている。どうやらひと足先に目的地に向かっているチームがいるらしい。
アミーラ曰く、それを構成しているのもまたマクリード家直属の兵士たちだという。
「そこまで戦力を割いてくださるとは……」
「ドノルド様はこのアボット地方にかなり期待を寄せているようです。舞踏会でアリッサ様がこちらのご当主と良い感じになっていると耳にしましたが……あの方はそれだけの理由で肩入れするようなことはありませんので、純粋にひとりの領主としてトライオン家を気に入ったのだと思いますよ」
詳しい解説を入れてくれたアミーラ。
そこへ魔法の技術発展により魔鉱山復活の可能性が浮上してきたとなったら、力を貸さないわけがないということか。
「それにしても……いつも農作業をしながら眺めてはいますけど、あの山へ向かうとなったらかなり距離がありそうですね」
馬車の御者を務めているエリナがそう呟く。
カーティス村で暮らす人たちにとって、あの魔鉱山――正式名称をゴーテル山というらしいが、あそこはもうシンボルのような扱いになっていた。村でもあそこが魔鉱石の採掘場になっていたと知っている者はほとんどいなかったし、そういう扱いになっても仕方がないか。
ともかく、そのゴーテル山までの道のりはなかなかに険しかった。
距離はもちろんだが、道中は荒れ地が多く、レオンとバルクも進みづらそうにしており、かなりの時間を要した。先行しているという別動隊はもうゴーテル山の廃村には到着できたのだろうか。
悪路を行くこと数時間。
少し開けた場所に出ると、そこで先行している別部隊がテントの設営をしていた。どうやらこれ以上の進行は難しいと判断し、ここで一泊するようだ。
とりあえず、合流を知らせるためにも責任者に会わなくちゃ。
そう思って馬車をおりたら、
「よぉ、待っていたぜ」
そう言って俺たちに声をかけてきたのは同僚のゲイリーだった。
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