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第52話 沼地の奥へ
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大蛇ゾウィルへ会うために沼地へとやってきた俺たち。
だが、この沼地は一歩踏み込むと足を取られ、自力での脱出は不可能だとアルが教えてくれた。
しかし、ゾウィルに会うためにはこの沼地を突破しなければならない。
そこで俺が考案した手は――生い茂る木々の枝つたいに前進していくという手だった。
こうなると、イベーラには待機してもらっていて正解だったな。さすがにお嬢様である彼女にはマネできないだろう。
早速、俺たちは木をよじ登って太い枝の上に立つ。
それから近くの枝へと飛び移り、前へと進んだ。
人間の跳躍力では難しい時はアルの背中にしがみつき、なんとか乗り越えていった。
とにかく前へ前へと進み、しばらくすると、
「あっ!」
思わず声が出た。
沼地の奥――不自然な形で藁や草が重なっている場所があった。明らかに、何者かの手で意図的に作られている。
「どうやら、あそこがゾウィルの住処らしいな」
「でも、肝心の大蛇の姿が見えませんが?」
「あぁ……どこかに出かけて――っ!?」
直後、俺は気配を感じて上を見る。
枝に立つ俺たちだが、この辺りの木は非常に背の高い種類らしく、まだまだ上へと続いている。
そんな木々の間から、こちらを見つめる金色の瞳が。
「ゾウィル!」
俺よりも先にアルが叫ぶ。
木の幹に大きな体を巻きつけ、長い舌をチロチロと出しながらゆっくりと俺たちに近づいてくるゾウィル。その鱗は燃える炎のように赤く、全長はどれほどのものか……まったく見当がつかない。
サイズだけで言うなら、アルやパーディとは比較できないほど大きいのだ。
「アルベロス……そいつらは俺への土産と受け取っていいのか?」
恐ろしく低い声で、ゾウィルが問いかける。
当然、アルは首を横へ振った。
「悪いが、彼らは俺の仲間だ。食うのは許さん」
「人間が仲間……だと?」
ゾウィルは素早い動きでアルとの距離を詰める。
「随分と落ちぶれたな、アルベロス。人間とつるむようになるとは」
「俺だけじゃない。パーディも彼らを認めている」
「パーディ? あの毒蜘蛛が?」
アルはもともと他のヌシたちと折り合いが悪い。それは、彼が他のヌシたちに比べて、まだ人の話を聞くだけの冷静な思考力があったから。
しかし、パーディはどちらかというとゾウィル側のタイプ――問答無用で人間を襲ってくるタイプだ。
「おまえの土産だと思って手はつけていなかったが……そういうことなら話は別だ。早速いただくとするか」
大口を開け、俺たちに迫るゾウィル。
――こっちとしても、そう簡単にやられるわけにはいかない。
俺は威嚇の意味も込め、竜玉の指輪の効果を使ってヤツに風魔法を放つ。
「むっ!?」
急に吹き荒れた突風に、ゾウィルは怯む。
どうやら、魔法は不慣れのようだ。
――だが、俺たちは戦いを望んでこの場にやってきたわけではない。
なんとか、彼にも俺たちの協力者になってもらわなければ。
だが、この沼地は一歩踏み込むと足を取られ、自力での脱出は不可能だとアルが教えてくれた。
しかし、ゾウィルに会うためにはこの沼地を突破しなければならない。
そこで俺が考案した手は――生い茂る木々の枝つたいに前進していくという手だった。
こうなると、イベーラには待機してもらっていて正解だったな。さすがにお嬢様である彼女にはマネできないだろう。
早速、俺たちは木をよじ登って太い枝の上に立つ。
それから近くの枝へと飛び移り、前へと進んだ。
人間の跳躍力では難しい時はアルの背中にしがみつき、なんとか乗り越えていった。
とにかく前へ前へと進み、しばらくすると、
「あっ!」
思わず声が出た。
沼地の奥――不自然な形で藁や草が重なっている場所があった。明らかに、何者かの手で意図的に作られている。
「どうやら、あそこがゾウィルの住処らしいな」
「でも、肝心の大蛇の姿が見えませんが?」
「あぁ……どこかに出かけて――っ!?」
直後、俺は気配を感じて上を見る。
枝に立つ俺たちだが、この辺りの木は非常に背の高い種類らしく、まだまだ上へと続いている。
そんな木々の間から、こちらを見つめる金色の瞳が。
「ゾウィル!」
俺よりも先にアルが叫ぶ。
木の幹に大きな体を巻きつけ、長い舌をチロチロと出しながらゆっくりと俺たちに近づいてくるゾウィル。その鱗は燃える炎のように赤く、全長はどれほどのものか……まったく見当がつかない。
サイズだけで言うなら、アルやパーディとは比較できないほど大きいのだ。
「アルベロス……そいつらは俺への土産と受け取っていいのか?」
恐ろしく低い声で、ゾウィルが問いかける。
当然、アルは首を横へ振った。
「悪いが、彼らは俺の仲間だ。食うのは許さん」
「人間が仲間……だと?」
ゾウィルは素早い動きでアルとの距離を詰める。
「随分と落ちぶれたな、アルベロス。人間とつるむようになるとは」
「俺だけじゃない。パーディも彼らを認めている」
「パーディ? あの毒蜘蛛が?」
アルはもともと他のヌシたちと折り合いが悪い。それは、彼が他のヌシたちに比べて、まだ人の話を聞くだけの冷静な思考力があったから。
しかし、パーディはどちらかというとゾウィル側のタイプ――問答無用で人間を襲ってくるタイプだ。
「おまえの土産だと思って手はつけていなかったが……そういうことなら話は別だ。早速いただくとするか」
大口を開け、俺たちに迫るゾウィル。
――こっちとしても、そう簡単にやられるわけにはいかない。
俺は威嚇の意味も込め、竜玉の指輪の効果を使ってヤツに風魔法を放つ。
「むっ!?」
急に吹き荒れた突風に、ゾウィルは怯む。
どうやら、魔法は不慣れのようだ。
――だが、俺たちは戦いを望んでこの場にやってきたわけではない。
なんとか、彼にも俺たちの協力者になってもらわなければ。
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