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第25話 手掛かり
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ヴェロニカを知る冒険者の男はアントニオと名乗った。
「確かに……ヴェロニカとギデオンの面影があるな」
小川のほとりでキャンプをすることになったドミニクたちは、焚火を囲んでイリーシャの両親に関する情報をアントニオから聞き出す。
「おふたりのことを知っているんですね」
「もちろん。冒険者をしているなら一度は耳にする名前だからな、ふたりとも」
「そ、そんなに有名人なんですか……」
これにはアンジェだけでなく、シエナも驚いていた。
一方、昔から両者を知るイリーシャやエヴァの控えめ。
ふたりからすれば、それくらい有名になってもおかしくはない実力があると思っているようだ。
ドミニクは、アントニオへイリーシャのことと、両親であるふたりを捜して旅をしていると説明する。
「そうだったのか……期待を裏切ってしまい申し訳ないが、あのふたりが現在どこにいるかは俺も知らないんだ」
「そうですか……」
残念ながら、ここで有力な情報を得ることはできなかった。
――しかし、行方以外でふたりについての新しい情報がもたらされる。
「あのふたりを捜すなら、ダンジョン以外にも目をつけておいた方がいい」
「? と、いうと?」
「あのふたり……冒険者以外にも仕事を持っていたようだ。しかも、話した感じだと、そっちが本業で冒険者は副業のようなものだと言っていた」
「「えっ!?」」
ドミニクとアンジェの視線は、アントニオには見えないエヴァへと向けられる。
だが、そのエヴァも、本職が別にあるという情報は知らなかったようで、ドミニクたち以上に驚いている様子だった。
「その本職って何なんですか?」
「俺も聞いてみたんだが、はぐらかされてな。やべぇ仕事って感じじゃないようだが、あまり大っぴらにはできないらしい。……ここだけの話、俺は王宮関係じゃないかと睨んでいるだがね」
「王宮関係……」
ない話ではない。
冒険者として優秀な者は、ギルドへ行ってクエストを受けなくても国が直接依頼にやってくると言う。
イリーシャや祖父にあたる霊竜エヴァのスペックを見る限り、両親ふたりも相当な実力を持っているに違いない。
「まあ、仕事がらみについては憶測の域を出ないが、あのふたりがフリーになるまで所属していた《銀狐》のメンバーなら、もっと詳しい情報を知っているだろうよ。――おっ? スープできたぞ」
小川で獲った魚や海老を使ったスープにパン。
これはアントニオのオリジナルメニューらしい。
「さあ、食ってくれ」
「どれどれ――っ! うまい!」
「ホント! 凄くおいしいです!」
ドミニクやアンジェはもちろん、イリーシャとシエナ、さらにはランドまでも絶賛するうまさだった。
「そこまで喜んでもらえると嬉しいねぇ! おかわりもあるぜ!」
料理を絶賛されたアントニオは上機嫌だった。
食べ終えて、片付けが終わる頃にはイリーシャとシエナは熟睡していた。
「シエナは初めてのダンジョンで緊張していたせいか、いつもよりも疲れているかな?」
「そうですね」
「いやぁ、子どもの寝顔っていうのはいいねぇ。うちにも三歳のガキがいるけど、今くらいの年齢が一番やんちゃで手がかかるだろう?」
「ふたりとも大人しいですからね。それほど苦労は感じませんよ」
「そうかい。そりゃ結構なことだ。よかったぁ、奥さん。子育てに理解のある旦那で」
「はい。……っ!?」
話の流れで奥さんに反応してしまったアンジェだが、すぐにそれを訂正。アントニオは「そうだったのか? 誰がどう見ても夫婦にしか見えなかったぞ?」と不思議がっていた。
さらに、霊竜エヴァまでも、「やっぱりそうじゃろうな」と便乗したため、事態はさらにややこしくなったのである。
結局、ダブルヘッド・ベアの討伐クエストは達成できなかったものの、思わぬ形でイリーシャの両親に関する情報を手にする。
しかし、旅の資金不足に関する問題は、未だ解決していなかった。
「確かに……ヴェロニカとギデオンの面影があるな」
小川のほとりでキャンプをすることになったドミニクたちは、焚火を囲んでイリーシャの両親に関する情報をアントニオから聞き出す。
「おふたりのことを知っているんですね」
「もちろん。冒険者をしているなら一度は耳にする名前だからな、ふたりとも」
「そ、そんなに有名人なんですか……」
これにはアンジェだけでなく、シエナも驚いていた。
一方、昔から両者を知るイリーシャやエヴァの控えめ。
ふたりからすれば、それくらい有名になってもおかしくはない実力があると思っているようだ。
ドミニクは、アントニオへイリーシャのことと、両親であるふたりを捜して旅をしていると説明する。
「そうだったのか……期待を裏切ってしまい申し訳ないが、あのふたりが現在どこにいるかは俺も知らないんだ」
「そうですか……」
残念ながら、ここで有力な情報を得ることはできなかった。
――しかし、行方以外でふたりについての新しい情報がもたらされる。
「あのふたりを捜すなら、ダンジョン以外にも目をつけておいた方がいい」
「? と、いうと?」
「あのふたり……冒険者以外にも仕事を持っていたようだ。しかも、話した感じだと、そっちが本業で冒険者は副業のようなものだと言っていた」
「「えっ!?」」
ドミニクとアンジェの視線は、アントニオには見えないエヴァへと向けられる。
だが、そのエヴァも、本職が別にあるという情報は知らなかったようで、ドミニクたち以上に驚いている様子だった。
「その本職って何なんですか?」
「俺も聞いてみたんだが、はぐらかされてな。やべぇ仕事って感じじゃないようだが、あまり大っぴらにはできないらしい。……ここだけの話、俺は王宮関係じゃないかと睨んでいるだがね」
「王宮関係……」
ない話ではない。
冒険者として優秀な者は、ギルドへ行ってクエストを受けなくても国が直接依頼にやってくると言う。
イリーシャや祖父にあたる霊竜エヴァのスペックを見る限り、両親ふたりも相当な実力を持っているに違いない。
「まあ、仕事がらみについては憶測の域を出ないが、あのふたりがフリーになるまで所属していた《銀狐》のメンバーなら、もっと詳しい情報を知っているだろうよ。――おっ? スープできたぞ」
小川で獲った魚や海老を使ったスープにパン。
これはアントニオのオリジナルメニューらしい。
「さあ、食ってくれ」
「どれどれ――っ! うまい!」
「ホント! 凄くおいしいです!」
ドミニクやアンジェはもちろん、イリーシャとシエナ、さらにはランドまでも絶賛するうまさだった。
「そこまで喜んでもらえると嬉しいねぇ! おかわりもあるぜ!」
料理を絶賛されたアントニオは上機嫌だった。
食べ終えて、片付けが終わる頃にはイリーシャとシエナは熟睡していた。
「シエナは初めてのダンジョンで緊張していたせいか、いつもよりも疲れているかな?」
「そうですね」
「いやぁ、子どもの寝顔っていうのはいいねぇ。うちにも三歳のガキがいるけど、今くらいの年齢が一番やんちゃで手がかかるだろう?」
「ふたりとも大人しいですからね。それほど苦労は感じませんよ」
「そうかい。そりゃ結構なことだ。よかったぁ、奥さん。子育てに理解のある旦那で」
「はい。……っ!?」
話の流れで奥さんに反応してしまったアンジェだが、すぐにそれを訂正。アントニオは「そうだったのか? 誰がどう見ても夫婦にしか見えなかったぞ?」と不思議がっていた。
さらに、霊竜エヴァまでも、「やっぱりそうじゃろうな」と便乗したため、事態はさらにややこしくなったのである。
結局、ダブルヘッド・ベアの討伐クエストは達成できなかったものの、思わぬ形でイリーシャの両親に関する情報を手にする。
しかし、旅の資金不足に関する問題は、未だ解決していなかった。
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