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第19話 これから
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「絶対無敵の解錠士《アンロッカー》 ~ダンジョンに捨てられたFランクパーティーの少年はスキルの真価を知るSランクパーティーにスカウトされる~」
よろしくどうぞ!
宿屋に戻り、イリーシャを寝かしつけると、ドミニクとアンジェ、そしてエヴァのふたりと一匹は今後の方針を決めることに。
「第一に、アルムさんの言っていた《銀狐》のもとを訪ね、両親がどこへ向かったのか聞きださないといけませんね」
「北を目指すってことだけど……彼らの本拠地のある町に到着するまでには資金が尽きちゃうわね」
目下のところ、それが最大の障害となっていた。
その瞬間、ドミニクの脳裏に屋敷の中にあったお宝の数々が浮かび上がった。
「…………」
――が、すぐに頭を振って消し去る。
あれだけのお宝を手に入れるのに、果たしてどれだけの苦労を積んできたか。それを考えると、第三者である自分が勝手にどうこうしていい代物ではないとドミニクは思った。熟練冒険者であるアルムとの冒険者談義を通して、それは以前よりも強く感じる。
しかし、金欠は避けて通れぬ道。
そこで、ドミニクはある提案をする。
「《銀狐》が拠点としているのは北部最大のダンジョンがあるゼオ地方。ここへ行く途中に中規模のダンジョンがある。そこでクエストをこなして資金を稼ごう」
「それがいいわね。あなたとエヴァさんの力があれば、高額報酬の討伐クエストだって難なくこなせるでしょうし、一日もあれば目標金額を稼げるはず」
「まあ、都合よくそんなクエストがあれば、な」
討伐クエストは高額な分、いろんな冒険者が飛びつく。
腕の立つ者が挑戦した場合、早ければ半日で達成することもある。
ここまでの戦闘から、ドミニクはエヴァが憑依した際の力を発揮すればそれも可能だと考えていた。
「とりあえず、最低でも五万ベールは稼いでおかないとな」
「エヴァさんの憑依したドミニクならすぐに達成可能だと思いますよ」
「その点は任せろ。ワシとドミニクが手を組めば古代竜《エンシェント・ドラゴン》もイチコロじゃぞ!」
頼もしい限りだと、ドミニクは笑みを浮かべる。
こうして、《銀狐》と会う前に、まずは資金稼ぎをすることに決定した。
◇◇◇
翌朝。
誰よりも早く目覚めたドミニクは外へと出た。
朝霧の中を歩く彼の目的地は、宿屋の裏手にある馬小屋。
この部屋を、大事な旅の相棒のために借りていたのだ。
「おはよう、ランド」
「めぇ~」
「さあて、今日も頼むぞ、ランド」
ランドに荷物を乗せて、出発準備は整った。
とはいえ、時間帯としてはまだ早朝。
イリーシャやアンジェはまだ夢の中だろう。
「宿屋の食堂が開くのにもまだ時間が――」
どうしかようかと思っていると、服の裾を引っ張られる感覚が。
見ると、ランドが何かを知らせようとしているかのように、ドミニクの顔を見つめながら服の裾を加えて引っ張っている。
「どうかしたか、ランド?」
「めぇ……」
なんだか元気のない様子のランド。
しかし、先ほどまで普段通りだったことを考えると、急激な体調変化とも違う。ドミニクはその視線がチラチラ馬小屋の隅を見ていた。
「……あそこに何かあるのか?」
ドミニクが問うと、ランドは小さく頷く。
「モンスターじゃないよな……」
さすがにそれはないだろうと思いつつ、ランドの視線を追ってたどり着いたそこには――
「えっ? ……女の子?」
藁の上で、穏やかな寝息を立てて寝ている女の子がいた。
「絶対無敵の解錠士《アンロッカー》 ~ダンジョンに捨てられたFランクパーティーの少年はスキルの真価を知るSランクパーティーにスカウトされる~」
よろしくどうぞ!
宿屋に戻り、イリーシャを寝かしつけると、ドミニクとアンジェ、そしてエヴァのふたりと一匹は今後の方針を決めることに。
「第一に、アルムさんの言っていた《銀狐》のもとを訪ね、両親がどこへ向かったのか聞きださないといけませんね」
「北を目指すってことだけど……彼らの本拠地のある町に到着するまでには資金が尽きちゃうわね」
目下のところ、それが最大の障害となっていた。
その瞬間、ドミニクの脳裏に屋敷の中にあったお宝の数々が浮かび上がった。
「…………」
――が、すぐに頭を振って消し去る。
あれだけのお宝を手に入れるのに、果たしてどれだけの苦労を積んできたか。それを考えると、第三者である自分が勝手にどうこうしていい代物ではないとドミニクは思った。熟練冒険者であるアルムとの冒険者談義を通して、それは以前よりも強く感じる。
しかし、金欠は避けて通れぬ道。
そこで、ドミニクはある提案をする。
「《銀狐》が拠点としているのは北部最大のダンジョンがあるゼオ地方。ここへ行く途中に中規模のダンジョンがある。そこでクエストをこなして資金を稼ごう」
「それがいいわね。あなたとエヴァさんの力があれば、高額報酬の討伐クエストだって難なくこなせるでしょうし、一日もあれば目標金額を稼げるはず」
「まあ、都合よくそんなクエストがあれば、な」
討伐クエストは高額な分、いろんな冒険者が飛びつく。
腕の立つ者が挑戦した場合、早ければ半日で達成することもある。
ここまでの戦闘から、ドミニクはエヴァが憑依した際の力を発揮すればそれも可能だと考えていた。
「とりあえず、最低でも五万ベールは稼いでおかないとな」
「エヴァさんの憑依したドミニクならすぐに達成可能だと思いますよ」
「その点は任せろ。ワシとドミニクが手を組めば古代竜《エンシェント・ドラゴン》もイチコロじゃぞ!」
頼もしい限りだと、ドミニクは笑みを浮かべる。
こうして、《銀狐》と会う前に、まずは資金稼ぎをすることに決定した。
◇◇◇
翌朝。
誰よりも早く目覚めたドミニクは外へと出た。
朝霧の中を歩く彼の目的地は、宿屋の裏手にある馬小屋。
この部屋を、大事な旅の相棒のために借りていたのだ。
「おはよう、ランド」
「めぇ~」
「さあて、今日も頼むぞ、ランド」
ランドに荷物を乗せて、出発準備は整った。
とはいえ、時間帯としてはまだ早朝。
イリーシャやアンジェはまだ夢の中だろう。
「宿屋の食堂が開くのにもまだ時間が――」
どうしかようかと思っていると、服の裾を引っ張られる感覚が。
見ると、ランドが何かを知らせようとしているかのように、ドミニクの顔を見つめながら服の裾を加えて引っ張っている。
「どうかしたか、ランド?」
「めぇ……」
なんだか元気のない様子のランド。
しかし、先ほどまで普段通りだったことを考えると、急激な体調変化とも違う。ドミニクはその視線がチラチラ馬小屋の隅を見ていた。
「……あそこに何かあるのか?」
ドミニクが問うと、ランドは小さく頷く。
「モンスターじゃないよな……」
さすがにそれはないだろうと思いつつ、ランドの視線を追ってたどり着いたそこには――
「えっ? ……女の子?」
藁の上で、穏やかな寝息を立てて寝ている女の子がいた。
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