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最終話 未来に吹く風
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シルヴァスト王家の血を引くメイジーの手によって、風の里の結界魔法は完全復活を果たした。
――いや、それどころか、俺がいた五十年前よりもずっと強力なものへと進化している。これは彼女の持つ予知能力などの特殊な力が絡んでいるのか……詳細は不明だ。ただ、これで以前のように軽々と踏み込まれることはないだろう。
「凄いですね、この結界魔法は」
「認識阻害の効果もあるからな。そう簡単には見つからないよ」
とりあえず、結界魔法が正常に働いているようで何よりだ。
続いて、俺は里の中にある見張り台の位置をハリスさんたちに教えた。場所は全部で三ヵ所あり、ここを交代で常にチェックしていく。侵入があった場合は、鐘を鳴らして敵に備える手筈となっている。認識阻害魔法の効果もあって、この鐘の音は里にいる者たちにしか聞こえないという点もありがたい。
一連の説明を終えると、俺たちはさらに森の奥へと向かう。
すると、少しだけ開けた場所に出た。
そこには、
「凄い! 家がたくさんある!」
「驚いたな……」
興奮するメイジーに呆然とするレイチェル。
そこは、風の里の中でももっとも賑やかな場所で、多くの家屋(と言っても十軒程度だが)が並ぶ場所だった。
「この辺はあの頃のままだな」
五十年という時間の流れは感じるものの、まさかほぼそのままの形で残っているとは思わなかった。メイジーとレイチェルが襲われている風車付近は廃墟同然だっただめ、ここも望み薄だったのだが……ヤツらが狙いを風竜の魂に絞っていたから、ここまで手は伸びてこなかったのだろうか。
反乱軍の人々が辺りを興味深げに眺める中、俺はひと際大きな屋敷の前までやってくる。
そこは長の家だった。
近づいて見ると……屋敷のあちこちに剣で斬りつけた痕がある。激しい戦闘が行われた痕跡だ。
「ここだけは……死守できたのか」
帝国兵たちはここまで乗り込んできた。
しかし、長や里の人たちは最後まであきらめずに抵抗を続けた。
その結果として、この一帯だけは最後までもとの姿を保つことができていたのだ。
だとすると――わずかな希望が出てくる。
風の里の血を受け継ぐ者は、この世界に代を重ねて今もどこかにいるのではないか、と。シルヴァスト王家の血を引くメイジーのように。
「デューイ! こっちへ来て案内してくれない?」
「あ、ああ、分かった。今行く――」
振り返った俺の視線に飛び込んできたのは――五十年前まで、ここで当たり前のように見られた光景だった。
俺が生まれ育った時と同じ……見知った顔が、俺を見つめている。
「どうかしたの?」
「っ!?」
メイジーに声をかけられて、ハッと我に返る。
……そうだ。
今の俺にとっては、彼女たちが仲間なんだ。
帝国打倒という同じ志を持った、大切な仲間だ。
「何でもないよ。さあ、行こうか」
「うん!」
メイジーに手を取られながら、俺はみんなと合流する。
この風の里で……俺はもう一度戦うことを決意したのだった。
――いや、それどころか、俺がいた五十年前よりもずっと強力なものへと進化している。これは彼女の持つ予知能力などの特殊な力が絡んでいるのか……詳細は不明だ。ただ、これで以前のように軽々と踏み込まれることはないだろう。
「凄いですね、この結界魔法は」
「認識阻害の効果もあるからな。そう簡単には見つからないよ」
とりあえず、結界魔法が正常に働いているようで何よりだ。
続いて、俺は里の中にある見張り台の位置をハリスさんたちに教えた。場所は全部で三ヵ所あり、ここを交代で常にチェックしていく。侵入があった場合は、鐘を鳴らして敵に備える手筈となっている。認識阻害魔法の効果もあって、この鐘の音は里にいる者たちにしか聞こえないという点もありがたい。
一連の説明を終えると、俺たちはさらに森の奥へと向かう。
すると、少しだけ開けた場所に出た。
そこには、
「凄い! 家がたくさんある!」
「驚いたな……」
興奮するメイジーに呆然とするレイチェル。
そこは、風の里の中でももっとも賑やかな場所で、多くの家屋(と言っても十軒程度だが)が並ぶ場所だった。
「この辺はあの頃のままだな」
五十年という時間の流れは感じるものの、まさかほぼそのままの形で残っているとは思わなかった。メイジーとレイチェルが襲われている風車付近は廃墟同然だっただめ、ここも望み薄だったのだが……ヤツらが狙いを風竜の魂に絞っていたから、ここまで手は伸びてこなかったのだろうか。
反乱軍の人々が辺りを興味深げに眺める中、俺はひと際大きな屋敷の前までやってくる。
そこは長の家だった。
近づいて見ると……屋敷のあちこちに剣で斬りつけた痕がある。激しい戦闘が行われた痕跡だ。
「ここだけは……死守できたのか」
帝国兵たちはここまで乗り込んできた。
しかし、長や里の人たちは最後まであきらめずに抵抗を続けた。
その結果として、この一帯だけは最後までもとの姿を保つことができていたのだ。
だとすると――わずかな希望が出てくる。
風の里の血を受け継ぐ者は、この世界に代を重ねて今もどこかにいるのではないか、と。シルヴァスト王家の血を引くメイジーのように。
「デューイ! こっちへ来て案内してくれない?」
「あ、ああ、分かった。今行く――」
振り返った俺の視線に飛び込んできたのは――五十年前まで、ここで当たり前のように見られた光景だった。
俺が生まれ育った時と同じ……見知った顔が、俺を見つめている。
「どうかしたの?」
「っ!?」
メイジーに声をかけられて、ハッと我に返る。
……そうだ。
今の俺にとっては、彼女たちが仲間なんだ。
帝国打倒という同じ志を持った、大切な仲間だ。
「何でもないよ。さあ、行こうか」
「うん!」
メイジーに手を取られながら、俺はみんなと合流する。
この風の里で……俺はもう一度戦うことを決意したのだった。
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