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第18話 火喰い
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これから先の行動が読まれている――この現状を逆手に取り、俺たちは敵を出し抜く作戦を考えつく。
ただ、それは俺たちがハリスさんたち本隊と合流しなければ意味をなさない。
レイチェルも、世話になった師匠が敵と通じていたという事実から一時的かもしれないが立ち直ることができたし、細心の注意を払って進めば問題ないだろう。
そして――一時間後。
俺たちは迫りつつある敵の目をすり抜けて、ハリスさんたちのもとへとたどり着いた。
「だ、大丈夫だったか、ふたりとも」
「ハリスさん、作戦変更だ」
戻ってきて早々に、俺はギリアムの件を伝える。
それを知ったハリスさんの表情はだんだんと青ざめていき、軽い目眩を起こしたようだ。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……問題ない。ただ、信頼していた仲間が敵と通じていたとは……」
受け入れろと言って簡単に割り切れるようなら、目眩なんて起こさないだろう。ハリスさんはそれくらいギリアムを信頼していたのだ。
だが、そこはさすがに反乱軍をまとめるリーダー。
すぐに気持ちを切り替えて、最良の選択をするために行動を開始する。
「すぐに拠点へ戻り、みんなを移動させよう」
「それがいいと思います。今なら向こうもまだ目立った動きを見せていません。ギリアムがやられたことに気づいていないのか――」
俺とハリスさんの会話は途中で遮られた。
原因は――突然襲ってきた熱風だ。
強烈な熱気が俺たちの全身にまとわりつく。
それがなくなると、風が吹いてきた方向へと視線を向けた。
広がっていた光景は――まさに最悪の光景だった。
「あ、あれは……」
燃え盛る巨大な炎が森を飲み込んでいき、黒煙が空へと昇っていった。
「ど、どうなっているんだ!?」
「炎魔法の一種……?」
動揺するハリスさんに、首を傾げるレイチェル。確かに、短時間であれだけの炎を生みだせるのは魔法以外にあり得ない。
だが、妙だ。
魔法というには魔力をあまり感じなかった。それにもかかわらず、あれだけの威力――本来ならば不可解と言わざるを得ないのだが……俺には見覚えがあった。
「あの炎……俺の風と一緒だ」
右腕にあるタトゥーがうずく。
まるで同族を見つけたと喜んでいるようにさえ感じる。
「まさか……」
あの炎を巻き起こしたのは――火喰いだ。
聖竜のうちの一匹である炎竜の力を宿した男。
「火喰いだ……ヤツが俺たちを捜しているんだ……」
反乱軍の兵士のひとりが、声を震わせながら言う。恐怖に染まるその声は、あっという間に俺たちの間に広まった。ひとり、またひとりと足が震えだし、顔が青ざめていく。
「ハリスさん、ヤツに見つかる前に拠点へ戻りましょう」
「そうだな。それがいいだろう」
みんなは撤退を決めたが――俺はそういうわけにもいかない。
本来の目的である、帝国をこの里から追いだす必要があるからだ。
ヤツらが風竜の魂を探しているというなら、俺の存在を知らしめて標的になればいい。
それなら、反乱軍が拠点へ戻るまでの時間稼ぎにもなる。
「……ハリスさん。ここでお別れです」
「!? どういうことだ!?」
驚くハリスさんに、俺はある策を提案した。
ただ、それは俺たちがハリスさんたち本隊と合流しなければ意味をなさない。
レイチェルも、世話になった師匠が敵と通じていたという事実から一時的かもしれないが立ち直ることができたし、細心の注意を払って進めば問題ないだろう。
そして――一時間後。
俺たちは迫りつつある敵の目をすり抜けて、ハリスさんたちのもとへとたどり着いた。
「だ、大丈夫だったか、ふたりとも」
「ハリスさん、作戦変更だ」
戻ってきて早々に、俺はギリアムの件を伝える。
それを知ったハリスさんの表情はだんだんと青ざめていき、軽い目眩を起こしたようだ。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……問題ない。ただ、信頼していた仲間が敵と通じていたとは……」
受け入れろと言って簡単に割り切れるようなら、目眩なんて起こさないだろう。ハリスさんはそれくらいギリアムを信頼していたのだ。
だが、そこはさすがに反乱軍をまとめるリーダー。
すぐに気持ちを切り替えて、最良の選択をするために行動を開始する。
「すぐに拠点へ戻り、みんなを移動させよう」
「それがいいと思います。今なら向こうもまだ目立った動きを見せていません。ギリアムがやられたことに気づいていないのか――」
俺とハリスさんの会話は途中で遮られた。
原因は――突然襲ってきた熱風だ。
強烈な熱気が俺たちの全身にまとわりつく。
それがなくなると、風が吹いてきた方向へと視線を向けた。
広がっていた光景は――まさに最悪の光景だった。
「あ、あれは……」
燃え盛る巨大な炎が森を飲み込んでいき、黒煙が空へと昇っていった。
「ど、どうなっているんだ!?」
「炎魔法の一種……?」
動揺するハリスさんに、首を傾げるレイチェル。確かに、短時間であれだけの炎を生みだせるのは魔法以外にあり得ない。
だが、妙だ。
魔法というには魔力をあまり感じなかった。それにもかかわらず、あれだけの威力――本来ならば不可解と言わざるを得ないのだが……俺には見覚えがあった。
「あの炎……俺の風と一緒だ」
右腕にあるタトゥーがうずく。
まるで同族を見つけたと喜んでいるようにさえ感じる。
「まさか……」
あの炎を巻き起こしたのは――火喰いだ。
聖竜のうちの一匹である炎竜の力を宿した男。
「火喰いだ……ヤツが俺たちを捜しているんだ……」
反乱軍の兵士のひとりが、声を震わせながら言う。恐怖に染まるその声は、あっという間に俺たちの間に広まった。ひとり、またひとりと足が震えだし、顔が青ざめていく。
「ハリスさん、ヤツに見つかる前に拠点へ戻りましょう」
「そうだな。それがいいだろう」
みんなは撤退を決めたが――俺はそういうわけにもいかない。
本来の目的である、帝国をこの里から追いだす必要があるからだ。
ヤツらが風竜の魂を探しているというなら、俺の存在を知らしめて標的になればいい。
それなら、反乱軍が拠点へ戻るまでの時間稼ぎにもなる。
「……ハリスさん。ここでお別れです」
「!? どういうことだ!?」
驚くハリスさんに、俺はある策を提案した。
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