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第10話 早朝の異変
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朝が来た。
五十年という時が経とうとも、普通に朝は来る――いや、当たり前のことなんだろうけど、なんだかちょっと安心するな。
テントから出ると、すでに多くの人々が精力的に動いていた。
どうやら、ここでの基準だと俺は寝坊したってことになるようだ。
「よく眠れたようだな」
外へ出て早々に、ハリスさんに声をかけられた。
「最初はどうなることかと思いましたけど……疲れもあったのか、久しぶりにぐっすりと眠れた気がします」
「結構なことだ。体力を回復させ、頭を整理するためにも休息は大事だからな」
「ダッハッハッ!」と豪快に笑い飛ばすハリスさん。
すると、そこへ、
「おはようございます、デューイさん」
護衛騎士のレイチェルを連れたメイジーがやってきた。彼女の手には木製のプレートがあって、その上にはパンの乗せられた皿とスープで満たされたカップがあった。
「あなたの分の朝食です」
「い、いいんですか?」
「貴重な食糧なんだから、ありがたく食べろよ」
「もう、レイチェルったら」
「……いや、彼女の言う通りだ」
俺がそう言うと、メイジーとレイチェル、そしてハリスさんまでも驚いたような顔をしていた。
だが、実際に反乱軍の状況を見ていると、決して満足のいく暮らしができているとは言えないだろう。誰もが我慢をし、その日を生き抜こうとしている。そんな生活をしながらも、こうして俺に食事を用意してくれる……感謝しかない。
「ありがとう。その分、何か俺に返せる物はないだろうか」
このままというわけにはいかない。
お礼の意味も込めて、そう提案した――その時だった。
「ハリスさん!」
ひとりの若い男性が、血相を変えて走ってきた。
「どうした! 何があった!」
尋常ではない男性の様子を見て、周囲は緊張に包まれる。
「じ、実は、偵察に出ていたギリアムさんたちが……」
「ギリアムたちが……!」
どうやら、この反乱軍の一員であるギリアムという人物と彼の部下が、偵察任務中に敵と交戦となり、多くの負傷者が出たらしい。それを伝えてきた彼もまた、ギリアムさんの部下らしいが、応援を要請するよう言われたのだという。
「帝国の連中か……」
「ヤツら、風竜の魂が隠されている風の里の跡地を大々的に調査するつもりらしくて、かなりの軍勢を率いています」
「何っ?」
その言葉には俺も反応する。
大々的に調査って……どう考えても穏やかに住みそうじゃない。かなりの数の軍勢を率いているって話だし、ここら一帯をめちゃくちゃにする気か?
この風の里を……これ以上荒らされるわけにはいかない。
「その帝国の軍勢は今どこに?」
「えっ? き、君は……」
「教えてください。お願いします」
「え、えっと……ここから西に進んだところに」
「西ですね」
ヤツらは西にいる。
俺はすぐにでも飛びだそうとしたが、
「まあ、落ち着け」
ハリスさんに腕を掴まれ、止められる。
「死に急ぐようなマネはよせ。せっかく優れた力があるんだから、そいつを有効活用しないとな」
「し、しかし……」
「大丈夫ですよ、デューイさん。ひとりで抱え込まず、みんなで力を合わせて帝国をこの地から遠ざけましょう!」
「メイジー……」
みんなで力を合わせて、か。
そういえば、彼女たちは反乱軍。
敵は共通なんだ。
――今のひと言で、頭は冷えた。
確実にヤツらを倒すため、そして、反乱軍の仲間を救うため、俺たちは計画を練ることにしたのだった。
五十年という時が経とうとも、普通に朝は来る――いや、当たり前のことなんだろうけど、なんだかちょっと安心するな。
テントから出ると、すでに多くの人々が精力的に動いていた。
どうやら、ここでの基準だと俺は寝坊したってことになるようだ。
「よく眠れたようだな」
外へ出て早々に、ハリスさんに声をかけられた。
「最初はどうなることかと思いましたけど……疲れもあったのか、久しぶりにぐっすりと眠れた気がします」
「結構なことだ。体力を回復させ、頭を整理するためにも休息は大事だからな」
「ダッハッハッ!」と豪快に笑い飛ばすハリスさん。
すると、そこへ、
「おはようございます、デューイさん」
護衛騎士のレイチェルを連れたメイジーがやってきた。彼女の手には木製のプレートがあって、その上にはパンの乗せられた皿とスープで満たされたカップがあった。
「あなたの分の朝食です」
「い、いいんですか?」
「貴重な食糧なんだから、ありがたく食べろよ」
「もう、レイチェルったら」
「……いや、彼女の言う通りだ」
俺がそう言うと、メイジーとレイチェル、そしてハリスさんまでも驚いたような顔をしていた。
だが、実際に反乱軍の状況を見ていると、決して満足のいく暮らしができているとは言えないだろう。誰もが我慢をし、その日を生き抜こうとしている。そんな生活をしながらも、こうして俺に食事を用意してくれる……感謝しかない。
「ありがとう。その分、何か俺に返せる物はないだろうか」
このままというわけにはいかない。
お礼の意味も込めて、そう提案した――その時だった。
「ハリスさん!」
ひとりの若い男性が、血相を変えて走ってきた。
「どうした! 何があった!」
尋常ではない男性の様子を見て、周囲は緊張に包まれる。
「じ、実は、偵察に出ていたギリアムさんたちが……」
「ギリアムたちが……!」
どうやら、この反乱軍の一員であるギリアムという人物と彼の部下が、偵察任務中に敵と交戦となり、多くの負傷者が出たらしい。それを伝えてきた彼もまた、ギリアムさんの部下らしいが、応援を要請するよう言われたのだという。
「帝国の連中か……」
「ヤツら、風竜の魂が隠されている風の里の跡地を大々的に調査するつもりらしくて、かなりの軍勢を率いています」
「何っ?」
その言葉には俺も反応する。
大々的に調査って……どう考えても穏やかに住みそうじゃない。かなりの数の軍勢を率いているって話だし、ここら一帯をめちゃくちゃにする気か?
この風の里を……これ以上荒らされるわけにはいかない。
「その帝国の軍勢は今どこに?」
「えっ? き、君は……」
「教えてください。お願いします」
「え、えっと……ここから西に進んだところに」
「西ですね」
ヤツらは西にいる。
俺はすぐにでも飛びだそうとしたが、
「まあ、落ち着け」
ハリスさんに腕を掴まれ、止められる。
「死に急ぐようなマネはよせ。せっかく優れた力があるんだから、そいつを有効活用しないとな」
「し、しかし……」
「大丈夫ですよ、デューイさん。ひとりで抱え込まず、みんなで力を合わせて帝国をこの地から遠ざけましょう!」
「メイジー……」
みんなで力を合わせて、か。
そういえば、彼女たちは反乱軍。
敵は共通なんだ。
――今のひと言で、頭は冷えた。
確実にヤツらを倒すため、そして、反乱軍の仲間を救うため、俺たちは計画を練ることにしたのだった。
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