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第6話 合流
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五十年後の世界で出会ったふたりの女性――メイジーとレイチェル。
彼女たちからより詳細な情報を聞きだすため、俺を含めた三人で移動を開始した。さっきの連中が仲間を引き連れて戻ってくるかもしれないしな。
移動中の話で、彼女たちには他にも多くの仲間の存在し、この風の里の跡地を調査した後で合流予定だったのだが、そこを敵に見つかり、襲われていたのだという。
その敵とは、
「グワーム帝国だ」
レイチェルの口から発せられた、その国の名前――耳にするだけで、全身から怒りの感情が湧き上がってくる。ヤツらの脅威は、五十年経過した今もなお、多くの人々を苦しめているのだという。
「ふたりも帝国に追われて……?」
「まあ、そんなところだ」
「それより、本当にあなたは五十年前のシルヴァスト王国から来たんですか?」
「あ、ああ、どういうわけか知らないが……風の聖窟から出てきた時には、もう五十年という月日が経っていた」
「風の聖窟だと!? それはどこにあるんだ!?」
いきなり興奮しだすレイチェル。
その豹変ぶりが気になって尋ねてみたら、
「帝国の連中はずっと風の聖窟の場所を探していたんだ。高額な懸賞金をかけ、多くの兵や賞金稼ぎを導入した――が、とうとうその場所を特定することができなかったんだ」
「そうだったのか……」
風の聖窟は代々禁忌の聖域として語り継がれてきた。
遥か昔に倒れた風竜の亡骸と魂を慰める場所として。
――だが、俺はそこに足を踏み入れ、風竜の魂に触れた。
そして得たこの力……帝国が血眼になって探していたという力を手に入れた。
だったら、こいつが帝国を倒す鍵になるかもしれない。
拳を握り、打倒帝国に燃えていると、
「あっ! ハリスさんたちがいましたよ!」
メイジーが叫ぶ。
視線の先には、数台の馬車があって、十人近くの人がいる。その先頭に立つのは、左目に眼帯を装着したいかつい大男。どうやら彼がハリスという人物らしい。
しかし、彼らはどういった集まりなのだろうか。
どこかの国の騎士団? ……いや、それにしては服装などにまとまりがない。
「ご無事でしたか、メイジー様」
「はい」
ハリスと呼ばれた眼帯の男性は、メイジーへと近づくとすぐにその無事を確認する。
って、メイジー様って言ったか?
そういえば、レイチェルもメイジーを「様」づけで呼んでいたな。もしかして、凄く育ちのいいご令嬢だったのか?
「ハリス殿、ご苦労様です」
「レイチェルも無事でよかった。敵はいなかったのか?」
「いえ、私たちは帝国の連中に……」
「!? で、では、連中はまだ近くに!?」
「すでに撤退したものと思われます」
「君が倒したのか?」
「……私ではありません」
レイチェルの顔が俺へと向けられると、その場にいた全員分の視線がこちらへと注がれる。
「あの少年が?」
「はい。まだ若いですが……気になる点がいくつかあります」
「そうか……」
ハリスさんはレイチェルとの会話を終えると、こちらへとやってくる。
そして、
「むっ? そのタトゥーは……」
俺の右腕に刻まれたタトゥーに目がとまった。
「そのタトゥー……まさか……いやしかし、風の聖窟はまだ見つかっていないはずだが」
「ハリス殿、こちらの少年はその風の聖窟に五十年もの間とどまっていたらしいのです」
「な、なんだと!?」
周囲がざわつき始めた。
どうやら、少しややこしいことになりそうだな。
彼女たちからより詳細な情報を聞きだすため、俺を含めた三人で移動を開始した。さっきの連中が仲間を引き連れて戻ってくるかもしれないしな。
移動中の話で、彼女たちには他にも多くの仲間の存在し、この風の里の跡地を調査した後で合流予定だったのだが、そこを敵に見つかり、襲われていたのだという。
その敵とは、
「グワーム帝国だ」
レイチェルの口から発せられた、その国の名前――耳にするだけで、全身から怒りの感情が湧き上がってくる。ヤツらの脅威は、五十年経過した今もなお、多くの人々を苦しめているのだという。
「ふたりも帝国に追われて……?」
「まあ、そんなところだ」
「それより、本当にあなたは五十年前のシルヴァスト王国から来たんですか?」
「あ、ああ、どういうわけか知らないが……風の聖窟から出てきた時には、もう五十年という月日が経っていた」
「風の聖窟だと!? それはどこにあるんだ!?」
いきなり興奮しだすレイチェル。
その豹変ぶりが気になって尋ねてみたら、
「帝国の連中はずっと風の聖窟の場所を探していたんだ。高額な懸賞金をかけ、多くの兵や賞金稼ぎを導入した――が、とうとうその場所を特定することができなかったんだ」
「そうだったのか……」
風の聖窟は代々禁忌の聖域として語り継がれてきた。
遥か昔に倒れた風竜の亡骸と魂を慰める場所として。
――だが、俺はそこに足を踏み入れ、風竜の魂に触れた。
そして得たこの力……帝国が血眼になって探していたという力を手に入れた。
だったら、こいつが帝国を倒す鍵になるかもしれない。
拳を握り、打倒帝国に燃えていると、
「あっ! ハリスさんたちがいましたよ!」
メイジーが叫ぶ。
視線の先には、数台の馬車があって、十人近くの人がいる。その先頭に立つのは、左目に眼帯を装着したいかつい大男。どうやら彼がハリスという人物らしい。
しかし、彼らはどういった集まりなのだろうか。
どこかの国の騎士団? ……いや、それにしては服装などにまとまりがない。
「ご無事でしたか、メイジー様」
「はい」
ハリスと呼ばれた眼帯の男性は、メイジーへと近づくとすぐにその無事を確認する。
って、メイジー様って言ったか?
そういえば、レイチェルもメイジーを「様」づけで呼んでいたな。もしかして、凄く育ちのいいご令嬢だったのか?
「ハリス殿、ご苦労様です」
「レイチェルも無事でよかった。敵はいなかったのか?」
「いえ、私たちは帝国の連中に……」
「!? で、では、連中はまだ近くに!?」
「すでに撤退したものと思われます」
「君が倒したのか?」
「……私ではありません」
レイチェルの顔が俺へと向けられると、その場にいた全員分の視線がこちらへと注がれる。
「あの少年が?」
「はい。まだ若いですが……気になる点がいくつかあります」
「そうか……」
ハリスさんはレイチェルとの会話を終えると、こちらへとやってくる。
そして、
「むっ? そのタトゥーは……」
俺の右腕に刻まれたタトゥーに目がとまった。
「そのタトゥー……まさか……いやしかし、風の聖窟はまだ見つかっていないはずだが」
「ハリス殿、こちらの少年はその風の聖窟に五十年もの間とどまっていたらしいのです」
「な、なんだと!?」
周囲がざわつき始めた。
どうやら、少しややこしいことになりそうだな。
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