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第5話 風竜の力
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この男たちにはいろいろと聞きたい
ただ、状況的を勘が見ると、ここで素直に尋ねたところで、連中が答えてくれるとは思えない。何せ、相手は俺の風の魔法を警戒し、残った四人で取り囲んだ後でボコボコにしようという算段なのだろう。
ヤツらからすれば、丸腰のこちらは本来格好のカモ。
だが、さっきの風魔法が頭にあるから迂闊に手は出せないようで、ジリジリと距離は詰めるが飛びかかってくるようなことはない。
――が、それも時間の問題だった。
「覚悟しやがれ!」
四人の中でもっとも小柄な男が、痺れを切らして襲ってくる。体格を生かしたスピーディーな動きでこちらを翻弄し、その隙をついて攻撃をするというのが彼のスタイルらしいが――風竜の魂を宿した俺にはひどくスローな動きに映った。
「おらっ!」
男が放った一撃をかわすと、カウンターを浴びせる。
方法はもちろん風魔法。
俺たち風の里の出身者で、風守衆に選ばれた者たちは、漏れなく里に伝わる秘伝の魔法を教わる。それを駆使して、この窮地を脱しようとした――のだが、
「ぐおあっ!?」
小柄な男は吹き飛んだ。
当然だ。
俺がそうなるように魔法を使ったからな。
――問題はその威力だ。
牽制の意味を込めた一撃だったが……それで十分だった。小柄な男だけでなく、その背後にあった小屋まで吹き飛んだ。
まだまだ力の制御には時間を要しそうだ。
しかし、当初の牽制という意味は果たされたようで、
「ぐぅ……」
男たちの戦意は完全に砕けていた。
武器を握る手の力は弱まり、今度は俺との距離がどんどんと離れていった。
「て、てめぇ……その面は覚えたからな!」
お決まりの捨て台詞を吐いて、男たちは立ち去っていく。
ホッと安堵すると同時に、「しまった」という気持ちが……この世界のことについていろいろと知りたかったのだけど。
問題は――残されたふたりの女性。
「あ、あなたは……」
俺と同い年くらいの少女が、声を震わせながら尋ねてくる。一方、もうひとりの女騎士風の女性は、警戒心を見せつつもこちらの出方をうかがっているようだ。
「……君の質問に答える前に、ひとつだけ教えてもらいたいことがある」
「えっ?」
「シルヴァスト王国は……どうなった?」
「ど、どうなったって……」
少女――名前は確かメイジーと言ったか。
彼女はレイチェルと呼んだ女性騎士と顔を見合わせていた。
『何を言っているんだ?』
ふたりの今の気持ちを代弁するなら、そんなところか。
まあ、逆の立場なら、俺も同じように警戒するだろうな。どう考えても威力おかしい魔法を使っているわけだし。
ただ、俺は知る必要がある。
祖国がどうなったのかを……
「シルヴァスト王国は――滅びました。五十年前に、帝国の侵攻を受けて」
「!」
予想していたとはいえ、真正面から突きつけられるとキツいものがあるな。
「ほら、答えたんだから今度はそっちの番だ」
メイジーを守るように立ちはだかったレイチェル。
そうだな。
俺の素性は、知っておいてもらった方がいいだろう。
どのみち、もう故郷はない……素性を隠す必要もなくなったわけだし。
「俺は……この風の里で生まれ育った者だ」
「「風の里で!?」」
五十年前に滅んだ風の里で生まれた俺が、あの頃の年齢のままで出てきたわけだから……その驚きは理解できる。
「これは……少し場所を変えて話す必要がありそうだ」
「そうだな」
俺はレイチェルの提案に乗ることにした。
話を聞く限り、彼女たちには仲間がいるみたいだし……もっと王国の滅亡について詳しく聞けるかもしれない。
そして――俺の進路についても、何かヒントを得られるかもな。
ただ、状況的を勘が見ると、ここで素直に尋ねたところで、連中が答えてくれるとは思えない。何せ、相手は俺の風の魔法を警戒し、残った四人で取り囲んだ後でボコボコにしようという算段なのだろう。
ヤツらからすれば、丸腰のこちらは本来格好のカモ。
だが、さっきの風魔法が頭にあるから迂闊に手は出せないようで、ジリジリと距離は詰めるが飛びかかってくるようなことはない。
――が、それも時間の問題だった。
「覚悟しやがれ!」
四人の中でもっとも小柄な男が、痺れを切らして襲ってくる。体格を生かしたスピーディーな動きでこちらを翻弄し、その隙をついて攻撃をするというのが彼のスタイルらしいが――風竜の魂を宿した俺にはひどくスローな動きに映った。
「おらっ!」
男が放った一撃をかわすと、カウンターを浴びせる。
方法はもちろん風魔法。
俺たち風の里の出身者で、風守衆に選ばれた者たちは、漏れなく里に伝わる秘伝の魔法を教わる。それを駆使して、この窮地を脱しようとした――のだが、
「ぐおあっ!?」
小柄な男は吹き飛んだ。
当然だ。
俺がそうなるように魔法を使ったからな。
――問題はその威力だ。
牽制の意味を込めた一撃だったが……それで十分だった。小柄な男だけでなく、その背後にあった小屋まで吹き飛んだ。
まだまだ力の制御には時間を要しそうだ。
しかし、当初の牽制という意味は果たされたようで、
「ぐぅ……」
男たちの戦意は完全に砕けていた。
武器を握る手の力は弱まり、今度は俺との距離がどんどんと離れていった。
「て、てめぇ……その面は覚えたからな!」
お決まりの捨て台詞を吐いて、男たちは立ち去っていく。
ホッと安堵すると同時に、「しまった」という気持ちが……この世界のことについていろいろと知りたかったのだけど。
問題は――残されたふたりの女性。
「あ、あなたは……」
俺と同い年くらいの少女が、声を震わせながら尋ねてくる。一方、もうひとりの女騎士風の女性は、警戒心を見せつつもこちらの出方をうかがっているようだ。
「……君の質問に答える前に、ひとつだけ教えてもらいたいことがある」
「えっ?」
「シルヴァスト王国は……どうなった?」
「ど、どうなったって……」
少女――名前は確かメイジーと言ったか。
彼女はレイチェルと呼んだ女性騎士と顔を見合わせていた。
『何を言っているんだ?』
ふたりの今の気持ちを代弁するなら、そんなところか。
まあ、逆の立場なら、俺も同じように警戒するだろうな。どう考えても威力おかしい魔法を使っているわけだし。
ただ、俺は知る必要がある。
祖国がどうなったのかを……
「シルヴァスト王国は――滅びました。五十年前に、帝国の侵攻を受けて」
「!」
予想していたとはいえ、真正面から突きつけられるとキツいものがあるな。
「ほら、答えたんだから今度はそっちの番だ」
メイジーを守るように立ちはだかったレイチェル。
そうだな。
俺の素性は、知っておいてもらった方がいいだろう。
どのみち、もう故郷はない……素性を隠す必要もなくなったわけだし。
「俺は……この風の里で生まれ育った者だ」
「「風の里で!?」」
五十年前に滅んだ風の里で生まれた俺が、あの頃の年齢のままで出てきたわけだから……その驚きは理解できる。
「これは……少し場所を変えて話す必要がありそうだ」
「そうだな」
俺はレイチェルの提案に乗ることにした。
話を聞く限り、彼女たちには仲間がいるみたいだし……もっと王国の滅亡について詳しく聞けるかもしれない。
そして――俺の進路についても、何かヒントを得られるかもな。
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