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第219話 次なるトラップ
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「ここは……」
封印された扉の先に現れた長い道。
それを進み終えた先に俺たちを待っていたのはとてつもなく広い空間だった。
「地下にこれほどの空間が存在していたなんて……これまで数多くのダンジョンに挑んできたけど、こんな場所は初めて見る……」
ロレッタは額から汗を流しながら呟く。同行している多くの冒険者も同じような印象を受けたようで、みんな口が半開き状態となって辺りを見回していた。
俺としてもここまでの規模の空間が数百年にわたり誰にも発見されず地下に眠っていたなんてと衝撃を受けていた。
ちなみにその空間の中央部には祭壇のような物が存在している。
他に目立っておかしな点は見当たらないので、とりあえず俺たちはそこへと近づいていった。
もちろん、トラップを警戒して迂闊に駆け寄るなんてマネはしない。
何せ、ここへたどり着く前にイムというキーパーソンがいなければ前進できないというとんでもない罠があったのだ。
そこへ入り込んだ俺たちはいわば侵入者。
最初の罠を仕掛けた人物が肝心の中枢部に何も手を加えていない――そう考える方が不自然というものだ。
細心の注意を払って進んでいく俺たち。
目的の祭壇(っぽい何か)へあと数メートルというところまでたどり着いたその時、とうとう異変が現れた。
「オ、オーリン先生……」
「ロレッタ……君も気がついたか」
「え、えぇ」
俺たちを襲ったある違和感。
それは命が危険にさらされるといった物騒さはなかったが、これはこれでなかなか厄介なトラップだ。
そのトラップとは――歩いても歩いても目の前まで迫った祭壇へ手が届かないというものだった。
「ど、どうなっているんでしょうか……あとちょっとで祭壇にたどり着くというところでまったく距離が縮みません」
「幻覚系のトラップなのかもしれないな。――少し試してみよう」
そう告げると、俺は魔力を炎に変えて祭壇へと放つ。
「肉体が無理でも魔力なら」という考えで試してみたのだが、これが大当たり。
俺の放った炎魔法は祭壇のすぐ近くをかすめていった。
「どうやら魔力だけを通す仕様らしいな」
「じゃ、じゃあ、魔法が使えない俺たちは……」
「ここで待っていてくれ」
集まった冒険者たちの中で魔法を使える者はいない。
つまりここから先へ進めるのは俺ひとりというわけだ。
俺は全身に魔力をまとうと、静かに祭壇へと近づいていった。
封印された扉の先に現れた長い道。
それを進み終えた先に俺たちを待っていたのはとてつもなく広い空間だった。
「地下にこれほどの空間が存在していたなんて……これまで数多くのダンジョンに挑んできたけど、こんな場所は初めて見る……」
ロレッタは額から汗を流しながら呟く。同行している多くの冒険者も同じような印象を受けたようで、みんな口が半開き状態となって辺りを見回していた。
俺としてもここまでの規模の空間が数百年にわたり誰にも発見されず地下に眠っていたなんてと衝撃を受けていた。
ちなみにその空間の中央部には祭壇のような物が存在している。
他に目立っておかしな点は見当たらないので、とりあえず俺たちはそこへと近づいていった。
もちろん、トラップを警戒して迂闊に駆け寄るなんてマネはしない。
何せ、ここへたどり着く前にイムというキーパーソンがいなければ前進できないというとんでもない罠があったのだ。
そこへ入り込んだ俺たちはいわば侵入者。
最初の罠を仕掛けた人物が肝心の中枢部に何も手を加えていない――そう考える方が不自然というものだ。
細心の注意を払って進んでいく俺たち。
目的の祭壇(っぽい何か)へあと数メートルというところまでたどり着いたその時、とうとう異変が現れた。
「オ、オーリン先生……」
「ロレッタ……君も気がついたか」
「え、えぇ」
俺たちを襲ったある違和感。
それは命が危険にさらされるといった物騒さはなかったが、これはこれでなかなか厄介なトラップだ。
そのトラップとは――歩いても歩いても目の前まで迫った祭壇へ手が届かないというものだった。
「ど、どうなっているんでしょうか……あとちょっとで祭壇にたどり着くというところでまったく距離が縮みません」
「幻覚系のトラップなのかもしれないな。――少し試してみよう」
そう告げると、俺は魔力を炎に変えて祭壇へと放つ。
「肉体が無理でも魔力なら」という考えで試してみたのだが、これが大当たり。
俺の放った炎魔法は祭壇のすぐ近くをかすめていった。
「どうやら魔力だけを通す仕様らしいな」
「じゃ、じゃあ、魔法が使えない俺たちは……」
「ここで待っていてくれ」
集まった冒険者たちの中で魔法を使える者はいない。
つまりここから先へ進めるのは俺ひとりというわけだ。
俺は全身に魔力をまとうと、静かに祭壇へと近づいていった。
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