引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい

連載

第２１０話 反乱軍との協力

　ギアディスとレゾンの連合軍を倒したエストラーダ騎士団は大盛り上がりだった。
　そんな中、俺はすぐにグローバーとコンタクトを取り、戦闘中に加勢してくれた謎の軍勢について説明する。

「レ、レゾンの反乱軍でしたか……」

　グローバーは驚きに目を丸くしていた。
　彼自身、メンバー構成や装備を見て正規の組織でないことは察していたようだが、他国の反乱軍というのは予想外だったようだ。おまけにそのリーダーが俺の元同僚というのも驚く要因にひと役を買っている。

「連合軍にはスパイを潜り込ませていてね。その仲間からここへ仕掛けるという情報を得て待ち伏せをしていたんだ」
「随分と手際が良いと思ったら、そういう事情があったのか」
「まあね。――でも、まさかオーリンがいるなんて……おまけにあなたの教え子がこれほど強いなんて。おかげで予定を狂わされてしまったわ。もちろん、いい意味でだけど」

　レティシアは事前にエストラーダの戦力を分析しており、それを考慮して協力体制を築ければかろうじて勝利できるだろうと踏んでいたらしい。

　だが、現場には騎士団よりも先に俺たちがいた。

　彼女たちが情報を持っていなかったのも無理はない。
　何せ、正式にこうやって戦場へと足を運ぶのは今回が初めてだったからな。

　仮に俺や黄金世代と呼ばれた教え子たちの存在を事前にキャッチできていたら、また違ったアプローチをしてきただろう。

　そんなレティシアはギアディスとレゾンに関して独自の情報を持っており、それをエストラーダ王に伝えたいと申し出た。

「ヤツらはこれであきらめたわけじゃない。恐らく次に出る行動は――」
「物資の輸送ルートを断ってエストラーダを孤立させる、か」
「その通り」

　俺もレティシアと同じ考えを持っていた。
　ヤツらの狙いとしては、まず厄介なエストラーダ騎士団と国王を黙らせ、それからゆっくりとラウシュ島に眠る魔法兵器を調査するってところか。

　しかし、ヤツらの計画の第一段階は崩れ去った。
　
　ここで機転の利く相手ならば情報を再収集し、立て直しを図るのだろうが……少なくともギアディス軍を率いるカイルにそういった冷静な判断ができるとは思えない。

　ただ、レゾン側はまた違った反応になるだろうから、ヤツがそれに合わせるという可能性はある。

　いずれにせよ、第二波はそう遠くないうちにこのエストラーダへと押し寄せるだろう。
　それまでにレティシアの協力のもと、こちらも戦力強化をしなければいけないな。