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【最終章①】廃界突入編
第172話 伝えておきたいこと
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議会はその後、ダステニアによって会議直前に誘拐されたシャオ・ラフマンについての情報も開示された。
何より驚かされたのが誘拐されたシャオが聖女であるという事実であった。
実は、そのことについてダステニア側は作戦終了まで黙秘を貫く予定であったが、魔族精製に聖女が関与している可能性が高いと聞き、急遽情報開示に踏み切ったのである。
「シャオ・ラフマンが聖女とは……」
「誘拐された目的がハッキリしたわね」
――ということは、その誘拐に関わっているとされる雷竜エルメルガも、魔族精製に加担しているのか。ともかく、竜人族については直接会って聞き出せるだけの情報を聞き出すしかなさそうだ。
ともかく、ダステニアからの追加情報により、魔族討伐だけでなくシャオ・ラフマンの救出も任務として新たに加えられた。
ペルゼミネの調査団による報告会終了後は、遠征の際の陣形など専門的な話し合いが行われた。
まったくの専門外である颯太には専門用語が飛び交う戦術会議について一切口出しできない状況であったが、それでも、会議の端々から漏れ聞こえてくる、理解できる範疇の言葉から大体の案が予想できた。
最大兵力を有するペルゼミネが中心となる。
ガドウィン、ダステニア、ハルヴァの3国は主力を中心とした部隊を前線に置き、中盤から後半にかけては各所に竜人族を配置していくことで決定した。
開始から5時間ほど経ったところで、全体像が明確に見えるようになってきた。ここから先は各国の竜騎士団による打ち合わせが入ることになっている。
颯太としては自分自身の扱いがどうなっているか、そこを重点的に知りたいところであったが、
「ソータはブリギッテたちと同じ非戦闘要員用の馬車に乗ってもらう」
と、ガブリエルから伝えられた。
どうも、事前に決められていたようだ。
「竜人族との戦闘になった際におまえの力を発揮してもらうからな」
「説得するってことですよね」
「まあな」
各国を襲撃した竜人族たちが廃界にいることは間違いない。
問題は、タイミングの重なったその襲撃が偶然か、それとも意図的なものかであるか。
襲撃を指示した黒幕がいるとするなら、その正体を聞き出し、尚且つ、こちら側につくよう説得する役を担う。
「結構重要な役目だな」
竜の言霊を持つ者だからこそできること。
それが竜人族との語らいであることは百も承知だ。
「君にはソランやレイノアでの実績がある。あの時と同じような戦果が今回も得られると期待しているぞ」
「…………」
重圧。
ガブリエルに肩を叩かれながら告げられた颯太の心に覆いかぶさるそのプレッシャー。以前のままの颯太だったら、きっと目眩や吐き気を覚えて、「嫌だ嫌だ」と叫び散らしたいところなのだろうが、
「任せてください」
そんな黒い感情を押しのけるように、笑みを浮かべて言い放つ。
ついさっきまで、メアの件で暗い気持ちになっていた。
それがどうだ。
今はまるで違う。
なんだか、知らないうちにメアから叱咤激励されているような感じがして、「このままじゃいけない」という強い気持ちが湧きだしてきていた。
失敗は誰にだってある。
問題はそれを繰り返さないこと。
ノエルやキルカ――そして、各国の竜人族たち。
あの子たちのように、世界に住む竜人族たちと争わず、仲間として人間とも一緒に暮らしていける未来だって十分に考えられる。
それが、竜王選戦をなくそうと考えていた前竜王であり友だちであるレグジートの想いにつながると思うから。
「……どうやら、吹っ切れたようですね」
「さすがだな、ソータさんは」
「まったくね。――で、結局、魔女イネスについては一切触れられなかったわね」
「あれは半ば冗談だったし」
朝食を共に、落ち込んでいる颯太を目の当たりにしていたカレンとアイザックはその心境の変化を心から喜んだ。下手をしたら、今回の仕事を断るかもしれないという最悪のケースも想定していただけに、本当に持ち直してくれてよかったと安堵する。
◇◇◇
会議終了後。
竜騎士団との打ち合わせも終わり、いよいよ魔族討伐へ向けて準備は整った。
ダステニア城では、明日への英気を養うため、この日の夕食は豪勢な晩餐会を催すことになっていた。
晩餐会と言っても、ハルヴァ舞踏会の時のような堅苦しいものではない。
命を賭けて世界のために戦う選ばれた騎士たちが、お互いの絆をより深めるものとして行われた。そのため、テーブルに並ぶのはダステニアの郷土料理だけでなく、ハルヴァ、ガドウィン、ペルゼミネの各国の料理も用意されていた。
「ハルヴァ舞踏会もこれくらいフランクな空気だったらあそこまで緊張しなかったのにな」
「そもそも開催理由が全然違いますからね」
颯太はキャロルと並んでペルゼミネの料理に舌鼓を打っていた。
会場は笑いに満ちていた。
騎士だけでなく、竜人族たちもそれぞれ交流を深めている。
銀竜メアンガルド。
歌竜ノエルバッツ。
樹竜キルカジルカ。
影竜トリストン。
狂竜ジーナラルグ。
死竜カルムプロス。
東方領だけでも6匹の竜人族が加わったことで、戦力としては大幅にアップしているとガブリエルは語っていた。というのも、近年、ここまで大幅に竜人族が加わった例がないため、むしろなんでこんなに増えたんだと質問攻めに遭うくらいだったという。――もっとも、メアは戦線復帰できそうにないが。
これもすべて颯太がいたからだ。
ハドリーやジェイクまでもが酒に酔った勢いでそんな風に言いまわるものだから、あっという間に颯太の周囲に人だかりができてしまった。
「大人気ね」
他人事だからお気楽な感じに言うブリギッテだが、颯太からすればたまったものではない。ほんのちょっと前まで、人と関わることさえ怖かったダメリーマンだったのに。嫌な気はしないけど、やっぱり落ち着かない。
なんとか人混みをさばき終えると、
「キャロル、ブリギッテ、アンジェリカ」
3人の名を呼び、
「ノエル、トリストンも」
2匹を呼び寄せた。
何事かと集まってくる彼女たちの顔を見回して、颯太は昨晩固めたある決意を口にする。
「みんな……聞いてい欲しい」
それは、魔法という存在を知ってから心に決めていたこと。
禁忌魔法のひとつである次元転移魔法。
それに巻き込まれてこの世界へやって来た可能性が極めて高い――つまり、自分がこの世界の人間ではないこと。異世界からきた人間であることを、ここでキャロルたちに伝えることであった。
竜王レグジートのアドバイスを守り、ずっと秘密にしてきたこと。
だが、キャロルたちの人間性を十分に把握してからも、颯太は真実を口にできなかった。そのタイミングがずれにずれて今に至った。
もうひとつ、告白を決心した理由がある。
それは――その魔法を智竜シャルルペトラが扱える可能性があること。
未だにその正体が掴めないシャルルペトラだが、廃界へ足を踏み入れたランスロー王子と共にいる可能性が高いことから、今回の竜王選戦にも関わって来る存在となるだろう。
そうなれば、必然と戦うことになる。
それでもし、説得に成功したあかつきには――再び次元転移魔法を使って元の世界へ帰るという選択肢も生まれてくる。
そもそも、なぜ自分がこの世界へ招かれたのか、それすらわからない状況であるが、もしこの戦いの末に、元の世界へ帰ることが可能となるなら――その問題に直面し、仮に帰るという選択肢を選んだとしても、みんなが混乱しないようにするため、伝えておく必要があるだろうと判断したからだった。
――それに、これ以上、みんなに隠し事をしておくのはよくないとも思っていた。
だから、
「この戦いが終わったら……みんな伝えたいことがあるんだ」
何より驚かされたのが誘拐されたシャオが聖女であるという事実であった。
実は、そのことについてダステニア側は作戦終了まで黙秘を貫く予定であったが、魔族精製に聖女が関与している可能性が高いと聞き、急遽情報開示に踏み切ったのである。
「シャオ・ラフマンが聖女とは……」
「誘拐された目的がハッキリしたわね」
――ということは、その誘拐に関わっているとされる雷竜エルメルガも、魔族精製に加担しているのか。ともかく、竜人族については直接会って聞き出せるだけの情報を聞き出すしかなさそうだ。
ともかく、ダステニアからの追加情報により、魔族討伐だけでなくシャオ・ラフマンの救出も任務として新たに加えられた。
ペルゼミネの調査団による報告会終了後は、遠征の際の陣形など専門的な話し合いが行われた。
まったくの専門外である颯太には専門用語が飛び交う戦術会議について一切口出しできない状況であったが、それでも、会議の端々から漏れ聞こえてくる、理解できる範疇の言葉から大体の案が予想できた。
最大兵力を有するペルゼミネが中心となる。
ガドウィン、ダステニア、ハルヴァの3国は主力を中心とした部隊を前線に置き、中盤から後半にかけては各所に竜人族を配置していくことで決定した。
開始から5時間ほど経ったところで、全体像が明確に見えるようになってきた。ここから先は各国の竜騎士団による打ち合わせが入ることになっている。
颯太としては自分自身の扱いがどうなっているか、そこを重点的に知りたいところであったが、
「ソータはブリギッテたちと同じ非戦闘要員用の馬車に乗ってもらう」
と、ガブリエルから伝えられた。
どうも、事前に決められていたようだ。
「竜人族との戦闘になった際におまえの力を発揮してもらうからな」
「説得するってことですよね」
「まあな」
各国を襲撃した竜人族たちが廃界にいることは間違いない。
問題は、タイミングの重なったその襲撃が偶然か、それとも意図的なものかであるか。
襲撃を指示した黒幕がいるとするなら、その正体を聞き出し、尚且つ、こちら側につくよう説得する役を担う。
「結構重要な役目だな」
竜の言霊を持つ者だからこそできること。
それが竜人族との語らいであることは百も承知だ。
「君にはソランやレイノアでの実績がある。あの時と同じような戦果が今回も得られると期待しているぞ」
「…………」
重圧。
ガブリエルに肩を叩かれながら告げられた颯太の心に覆いかぶさるそのプレッシャー。以前のままの颯太だったら、きっと目眩や吐き気を覚えて、「嫌だ嫌だ」と叫び散らしたいところなのだろうが、
「任せてください」
そんな黒い感情を押しのけるように、笑みを浮かべて言い放つ。
ついさっきまで、メアの件で暗い気持ちになっていた。
それがどうだ。
今はまるで違う。
なんだか、知らないうちにメアから叱咤激励されているような感じがして、「このままじゃいけない」という強い気持ちが湧きだしてきていた。
失敗は誰にだってある。
問題はそれを繰り返さないこと。
ノエルやキルカ――そして、各国の竜人族たち。
あの子たちのように、世界に住む竜人族たちと争わず、仲間として人間とも一緒に暮らしていける未来だって十分に考えられる。
それが、竜王選戦をなくそうと考えていた前竜王であり友だちであるレグジートの想いにつながると思うから。
「……どうやら、吹っ切れたようですね」
「さすがだな、ソータさんは」
「まったくね。――で、結局、魔女イネスについては一切触れられなかったわね」
「あれは半ば冗談だったし」
朝食を共に、落ち込んでいる颯太を目の当たりにしていたカレンとアイザックはその心境の変化を心から喜んだ。下手をしたら、今回の仕事を断るかもしれないという最悪のケースも想定していただけに、本当に持ち直してくれてよかったと安堵する。
◇◇◇
会議終了後。
竜騎士団との打ち合わせも終わり、いよいよ魔族討伐へ向けて準備は整った。
ダステニア城では、明日への英気を養うため、この日の夕食は豪勢な晩餐会を催すことになっていた。
晩餐会と言っても、ハルヴァ舞踏会の時のような堅苦しいものではない。
命を賭けて世界のために戦う選ばれた騎士たちが、お互いの絆をより深めるものとして行われた。そのため、テーブルに並ぶのはダステニアの郷土料理だけでなく、ハルヴァ、ガドウィン、ペルゼミネの各国の料理も用意されていた。
「ハルヴァ舞踏会もこれくらいフランクな空気だったらあそこまで緊張しなかったのにな」
「そもそも開催理由が全然違いますからね」
颯太はキャロルと並んでペルゼミネの料理に舌鼓を打っていた。
会場は笑いに満ちていた。
騎士だけでなく、竜人族たちもそれぞれ交流を深めている。
銀竜メアンガルド。
歌竜ノエルバッツ。
樹竜キルカジルカ。
影竜トリストン。
狂竜ジーナラルグ。
死竜カルムプロス。
東方領だけでも6匹の竜人族が加わったことで、戦力としては大幅にアップしているとガブリエルは語っていた。というのも、近年、ここまで大幅に竜人族が加わった例がないため、むしろなんでこんなに増えたんだと質問攻めに遭うくらいだったという。――もっとも、メアは戦線復帰できそうにないが。
これもすべて颯太がいたからだ。
ハドリーやジェイクまでもが酒に酔った勢いでそんな風に言いまわるものだから、あっという間に颯太の周囲に人だかりができてしまった。
「大人気ね」
他人事だからお気楽な感じに言うブリギッテだが、颯太からすればたまったものではない。ほんのちょっと前まで、人と関わることさえ怖かったダメリーマンだったのに。嫌な気はしないけど、やっぱり落ち着かない。
なんとか人混みをさばき終えると、
「キャロル、ブリギッテ、アンジェリカ」
3人の名を呼び、
「ノエル、トリストンも」
2匹を呼び寄せた。
何事かと集まってくる彼女たちの顔を見回して、颯太は昨晩固めたある決意を口にする。
「みんな……聞いてい欲しい」
それは、魔法という存在を知ってから心に決めていたこと。
禁忌魔法のひとつである次元転移魔法。
それに巻き込まれてこの世界へやって来た可能性が極めて高い――つまり、自分がこの世界の人間ではないこと。異世界からきた人間であることを、ここでキャロルたちに伝えることであった。
竜王レグジートのアドバイスを守り、ずっと秘密にしてきたこと。
だが、キャロルたちの人間性を十分に把握してからも、颯太は真実を口にできなかった。そのタイミングがずれにずれて今に至った。
もうひとつ、告白を決心した理由がある。
それは――その魔法を智竜シャルルペトラが扱える可能性があること。
未だにその正体が掴めないシャルルペトラだが、廃界へ足を踏み入れたランスロー王子と共にいる可能性が高いことから、今回の竜王選戦にも関わって来る存在となるだろう。
そうなれば、必然と戦うことになる。
それでもし、説得に成功したあかつきには――再び次元転移魔法を使って元の世界へ帰るという選択肢も生まれてくる。
そもそも、なぜ自分がこの世界へ招かれたのか、それすらわからない状況であるが、もしこの戦いの末に、元の世界へ帰ることが可能となるなら――その問題に直面し、仮に帰るという選択肢を選んだとしても、みんなが混乱しないようにするため、伝えておく必要があるだろうと判断したからだった。
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