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第51話 師弟の絆

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 魔力を制御できず、暴走状態に陥っているアルゴ。
 ヤツをこれ以上野放しにしておくと何をしでかすか分からない。ここは元仲間として、やれるだけのことはやってやるか。

 ミレインとともにアルゴと対峙する――が、ヤツはすでに意識を失っており、本能のままに襲いかかってくる。
 最初に標的として選んだのはミレインの方だった。
 意識はなくなっていても、未練があるのか?

「があああああああああああああっ!」

 雄叫びを上げながら突っ込んでいくアルゴ。
 だが、ミレインは冷静だった。

「はあっ!」

 真正面から飛びかかってくるアルゴに対し、ミレインは得意のスピードでかく乱する戦法を取った。これにより目標を見失ったアルゴの動きは停止。首を忙しなく左右に振って行方を探しているようだが、それでは絶対に見つからないだろう。

 なぜなら――ミレインはアルゴの頭上にいるのだから。

「やあっ!」

 想定外の場所から放たれた一撃を頭部に受け、アルゴは悶え苦しむ。相手によってはそのまま首を切り落としているところだが、そうしなかったのは彼女の優しさか。

 とはいえ、手加減をしている以上、ヤツは何度でも立ち上がってくる。
 理性のある状態であれば、敵わないと悟って交渉のしようもあるのだが……今のアルゴにそれを求めるのは無理か。

 しかし、ミレインの攻撃が効いているのは間違いない。
 あとはこのまま連携して畳みかけていければ。

「ミレイン! トドメを刺すぞ!」
「し、師匠!? トドメって!?」
「大丈夫だ。ヤツには気を失ってもらって、それから魔剣を片付ける」
「っ! 了解!」

 まあ、アルゴだけを倒して問題解決とはいかない。
 問題はあの魔剣だ。
 
 魔剣はうまく制御できれば心強い味方となるが、アルゴのように中途半端な実力者では逆に心を乗っ取られて暴走状態になってしまう。

 その暴走状態となったアルゴの倒し方だが、まずはミレインが先行してヤツの手元を狙う。
 これによって魔剣をはヤツの手を離れて宙を舞った。

「諸悪の根源を断たせてもらおう!」

 そこへ俺が先回りをし、自分の剣で魔剣を叩き折った。
 ガシャン、という金属音がダンジョン内に響き渡り、魔剣から魔力が消え去っていく。

 同時に、アルゴの全身を覆っていた禍々しいほどの魔力をなくなり、顔色もよくなっていった。

「とりあえずひと安心ですね」
「ああ。それにしても……疲れたな」
「ですね」

 互いに笑い合って、事件解決を喜ぶ。
 さて……俺はこれからアルゴの身柄を騎士団へ引き渡すつもりだ。

 彼のやってきたことは立派な犯罪。
 牢の中で深く反省し、どうにか更生してもらいたいものだ。

「さあ、メルファとトーラを呼んでこようか」
「はい!」

 アルゴの体をロープで頑丈で縛り上げたあと、俺はミレインにそう告げる。
 これにて一件落着。

 今後は安心して旅を続けられそうだ。




※次回最終回!
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