救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ

鈴木竜一

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第46話 裏目に出た単独行動

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 次の日。

 俺は「自分たちの力だけでクエストを達成してみるんだ」という課題を与えてミレインたちを送り出す。

 一応、少し遠出をするとだけ伝えておいた。
 実際、これから俺が行くのは馬車で移動可能な範囲の町村のみ。
 そこでアルゴたちの情報を集めることにしたのだ。

 これまで、ヤツがこだわっていた地位や名誉をかなぐり捨ててまでミレインに執着をしている……かなり危険な状態だ。

 しかし、まさかアルゴがそういうタイプだったとは思わなかったな。
 それだけミレインに本気だったというわけなのだろうが……普段からの接し方が悪すぎて好感度が最低値なんだよなぁ。
 少しは優しくしたり、頼りになるところを見せていたら変わっていたかもしれないのに。
 おまけに今は改善するよりもさらに悪化させてしまっている。

 何か事が起きる前に、こちらで対処していかないと。


 その後、俺は馬車でいくつかの町を回ってアルゴの行方を追ったが……それらしい人物の居場所を特定するには至らなかった。

 ヤツは元救世主候補者。
 名前を知っている者は少なくないはずだが、どうも偽名を使っているらしい。
 顔まで知っているヤツは少ないと判断したのだろう。
 今のところ、それは大正解だ。

「もうこの辺りにはいないのか……?」

 四ヵ所目も空振りに終わったところで、そろそろ時間切れだ。

 あきらめて元の町へ帰ろうとした――その時、すれ違った冒険者たちの会話が耳に入った。

「聞いたか? ハーストンの町の近くにあるダンジョンで冒険者がひとり暴走しているらしいぞ」
「なんでも、探し続けていた元仲間の女を見つけたとか言って、暴れ回っているんだってな」
「マジかよ……そんなのに目をつけられるなんて、そいつもツイてないなぁ」
「っ!?」

 男たちの会話の内容は、俺の思い描く最悪のシナリオそのままだった。
 しかもハーストンの町って、俺たちが今泊まっている場所じゃないか。

「しまった……アルゴめ。もう場所を特定していたのか!」

 どうやら、俺はヤツと入れ違いになってしまったらしい。
 つまり――ミレインたちが危ない!

「くそっ! 最悪の事態だ!」

 俺は慌てて馬へと跨り、ダンジョンを目指す。
 実力的にはミレインの方が上で間違いない……が、追い詰められている状況のアルゴは何をしでかすか。

 とにかく俺は大急ぎで馬を走らせるのだった。
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