46 / 54
第44話 華麗なるコンビネーション
しおりを挟む
トーラによる強烈な先制攻撃を食らったモグラ型モンスターは怯み、大きな隙が生まれた。
この機を逃すまいと、ミレインとメルファのふたりが果敢に挑んでいく。
確かに攻撃をしやすい状況ではあるが、相手は自分よりも遥かに巨大で獰猛なモンスター。
先に仕掛けたトーラはその性格から臆することなく戦えるだろうと踏んでいたが、こちらのふたりも負けず劣らずの強気さで飛びかかる。
「まずは私が」
足を止めたメルファは、風魔法を発動させる。
目には見えない無数の風の刃。
それらはモグラ型モンスターへと注がれた。
姿なき刃物による攻撃に成す術のない敵はただただ斬られていくのみ。
この攻撃でさらにダメージを負い、とうとう地中へと逃げだそうとする――が、当然そんなことをさせるわけにはいかない。
「地面の中に潜られると見つけにくくなるので……ここで仕留めさせてもらう!」
気合十分のミレインがトドメ役を務める。
猛然とダッシュして地面を掘り続けるモンスターとの距離を詰めると、凄まじい速度で剣を振った。
「おぉ!」
感心して思わず声が出てしまった。
それほどまでにさっきの一撃は見事なものだったのだ。
もちろん威力も申し分なく、モグラ型モンスターの首は弧を描いて宙を舞った。
個々の実力もさることながら、驚かされたのは流れるような連係プレーの華麗さであった。
普段から仲が良い三人だが、それも手伝ってかとにかく息が合っている。
相手の動きを読み、それに合わせて自分も動く。
言葉にすれば簡単だが、互いをよく知り、そして何より信頼しているからこそできる芸当だろうな。
ここまでの域に達しようとしたらかなり長い年月をかけて寝食をともにするくらいの気持ちがなくてはダメなのだが……よっぽど馬が合うのかねぇ。
「これで討伐は完了ですね!」
「ああ。これで村の人たちも安心して農作業ができるだろうな」
とりあえず今回の問題点はこれで解決――と、思ったのだが、突如背後から凄まじい気配を感じて思わず振り返る。
「どうかしたんですか?」
「……いや、まさかな」
「えっ?」
「なんでもないよ。それより、村長たちへ報告しに行こう」
「は、はい」
あれは一体何だったんだ……?
言い知れぬ不安が襲う中、俺たちは村へと戻るのだった。
この機を逃すまいと、ミレインとメルファのふたりが果敢に挑んでいく。
確かに攻撃をしやすい状況ではあるが、相手は自分よりも遥かに巨大で獰猛なモンスター。
先に仕掛けたトーラはその性格から臆することなく戦えるだろうと踏んでいたが、こちらのふたりも負けず劣らずの強気さで飛びかかる。
「まずは私が」
足を止めたメルファは、風魔法を発動させる。
目には見えない無数の風の刃。
それらはモグラ型モンスターへと注がれた。
姿なき刃物による攻撃に成す術のない敵はただただ斬られていくのみ。
この攻撃でさらにダメージを負い、とうとう地中へと逃げだそうとする――が、当然そんなことをさせるわけにはいかない。
「地面の中に潜られると見つけにくくなるので……ここで仕留めさせてもらう!」
気合十分のミレインがトドメ役を務める。
猛然とダッシュして地面を掘り続けるモンスターとの距離を詰めると、凄まじい速度で剣を振った。
「おぉ!」
感心して思わず声が出てしまった。
それほどまでにさっきの一撃は見事なものだったのだ。
もちろん威力も申し分なく、モグラ型モンスターの首は弧を描いて宙を舞った。
個々の実力もさることながら、驚かされたのは流れるような連係プレーの華麗さであった。
普段から仲が良い三人だが、それも手伝ってかとにかく息が合っている。
相手の動きを読み、それに合わせて自分も動く。
言葉にすれば簡単だが、互いをよく知り、そして何より信頼しているからこそできる芸当だろうな。
ここまでの域に達しようとしたらかなり長い年月をかけて寝食をともにするくらいの気持ちがなくてはダメなのだが……よっぽど馬が合うのかねぇ。
「これで討伐は完了ですね!」
「ああ。これで村の人たちも安心して農作業ができるだろうな」
とりあえず今回の問題点はこれで解決――と、思ったのだが、突如背後から凄まじい気配を感じて思わず振り返る。
「どうかしたんですか?」
「……いや、まさかな」
「えっ?」
「なんでもないよ。それより、村長たちへ報告しに行こう」
「は、はい」
あれは一体何だったんだ……?
言い知れぬ不安が襲う中、俺たちは村へと戻るのだった。
47
お気に入りに追加
522
あなたにおすすめの小説
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
田舎暮らしの魔草薬師
鈴木竜一
ファンタジー
治癒魔法使いたちが集まり、怪我や病に苦しむ人たちを助けるために創設されたレイナード聖院で働くハリスは拝金主義を掲げる新院長の方針に逆らってクビを宣告される。
しかし、パワハラにうんざりしていたハリスは落ち込むことなく、これをいいきっかけと考えて治癒魔法と魔草薬を広めるべく独立して診療所を開業。
一方、ハリスを信頼する各分野の超一流たちはその理不尽さとあからさまな金儲け運用に激怒し、独立したハリスをサポートすべく、彼が移り住んだ辺境領地へと集結するのだった。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる