救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ

鈴木竜一

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第44話 華麗なるコンビネーション

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 トーラによる強烈な先制攻撃を食らったモグラ型モンスターは怯み、大きな隙が生まれた。
 この機を逃すまいと、ミレインとメルファのふたりが果敢に挑んでいく。

 確かに攻撃をしやすい状況ではあるが、相手は自分よりも遥かに巨大で獰猛なモンスター。
 先に仕掛けたトーラはその性格から臆することなく戦えるだろうと踏んでいたが、こちらのふたりも負けず劣らずの強気さで飛びかかる。

「まずは私が」

 足を止めたメルファは、風魔法を発動させる。

 目には見えない無数の風の刃。
それらはモグラ型モンスターへと注がれた。
 姿なき刃物による攻撃に成す術のない敵はただただ斬られていくのみ。

 この攻撃でさらにダメージを負い、とうとう地中へと逃げだそうとする――が、当然そんなことをさせるわけにはいかない。

「地面の中に潜られると見つけにくくなるので……ここで仕留めさせてもらう!」

 気合十分のミレインがトドメ役を務める。
 猛然とダッシュして地面を掘り続けるモンスターとの距離を詰めると、凄まじい速度で剣を振った。

「おぉ!」

 感心して思わず声が出てしまった。
 それほどまでにさっきの一撃は見事なものだったのだ。

 もちろん威力も申し分なく、モグラ型モンスターの首は弧を描いて宙を舞った。

 個々の実力もさることながら、驚かされたのは流れるような連係プレーの華麗さであった。
 普段から仲が良い三人だが、それも手伝ってかとにかく息が合っている。

 相手の動きを読み、それに合わせて自分も動く。

 言葉にすれば簡単だが、互いをよく知り、そして何より信頼しているからこそできる芸当だろうな。
 ここまでの域に達しようとしたらかなり長い年月をかけて寝食をともにするくらいの気持ちがなくてはダメなのだが……よっぽど馬が合うのかねぇ。

「これで討伐は完了ですね!」
「ああ。これで村の人たちも安心して農作業ができるだろうな」

 とりあえず今回の問題点はこれで解決――と、思ったのだが、突如背後から凄まじい気配を感じて思わず振り返る。

「どうかしたんですか?」
「……いや、まさかな」
「えっ?」
「なんでもないよ。それより、村長たちへ報告しに行こう」
「は、はい」

 あれは一体何だったんだ……?
 言い知れぬ不安が襲う中、俺たちは村へと戻るのだった。
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