救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ

鈴木竜一

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第41話 新たな旅立ちの前に

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 新たなダンジョンを求めて新天地へと旅立つ――はずが、少し問題が発生した。
 今日の朝早くからクラン村を出ようと準備を進めていた俺たちのもとへ、フレディ村長がやってきた。

「朝早くからすまないな、デレク」
「それは構いませんが、何かあったんですか?」

 俺たちが新しいダンジョンに挑戦することを知っているフレディ村長は申し訳なさそうに言うが、戻ってきた俺たちを温かく迎え入れてくれた彼が困っているというならなんとか力になりたいと思った。

 俺の気持ちは他の三人も理解してくれたようで話を聞くことに。

「実は……農作物が収穫できなくなってしまってな」
「農作物が?」

 どうりで静かなわけだ。
 雨の日を除けば、朝霧が立ち込める時間帯から村人たちは元気に農作業を始めるのだが、今日はどういうわけかまったくそういう声や動きを感じられなかったのだ。

 その理由について、フレディ村長が説明をしてくれた。

「どうやら獣にやられたようだ」
「獣に?」

 動物に農作物を食い荒らされるという被害は農村にとってよくある事態だ。
 しかし、ここは周辺にそういった動物が住めるような環境もなく、これまでにそういった被害は耳にしたことがなかった。

「とにかく畑に来てくれないか?」
「分かりました」

 かなり切羽詰まった様子だったし、どうもただの害獣被害ってわけじゃなさそうだ。
 日頃お世話になっている村の人たちの一大事ということもあり、パーティーメンバー全員で畑へと移動する。

「こ、これは……」

 昨日までは瑞々しい作物で埋められていた村の畑。
 そこがまるで荒野のようなひどい有様だった。

「地面に踏み荒らした後がありますね……どうやら人間のものではないみたいです」
「魔力も感じない」
「というか、この辺り一帯に凄い獣臭が漂ってるぞ?」

 トーラの人一倍優れた嗅覚が獣を捉えた。
 ……というか、そんな特技があったのか。
 一ヵ月一緒にいるけど今まで気づかなかったよ。

 ただ、この事実は逆に謎を深める結果ともなった。

「やはり村の畑をめちゃくちゃにしたのは獣――或いはモンスターである可能性が高いようですね」
「し、しかし、人を襲わずに農作物だけを食べるモンスターなんているのか?」

 フレディ村長の素朴な疑問は、まさに俺も今思い浮かべていた疑問でもあった。
 一夜にして村人の誰にも気づかれずにここまで畑を荒らせるとなったら、モンスター以外に考えられないのだが……一体どんなヤツなんだ?

 そしてそいつはどこに逃げたのか。
 このまま捕まえられなかったら、味を占めたヤツはまたやってくるかもしれない。

 なんとしても討伐をしなければ。
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