救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ

鈴木竜一

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第39話 自信

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 ふたつ目のダンジョン――【マグマ・レイク】の攻略も抜群のチームワークを見せて見事達成することができた。

「ふふん! あたしたちにかかればこんなダンジョン楽勝ね!」
「油断してはいけないわよ、トーラ」
「ミレインの言う通り」
「うっ……わ、分かっているもん!」
 
 ギルドへと戻ってきた俺たちは早速ギルドマスターであるライソンにクエストの達成を報告し、証拠として一角マグマトカゲの角を渡した。

「さすがだな、デレク」
「俺は何もしちゃいないさ。みんなあの子たちの手柄だよ」
「謙遜するな。三人がそれぞれ実力を発揮できているのも、師匠であるおまえの的確な指導とおかげでもあるんだからな」
「うーん……どうだろう」

 昔から弟子として行動をともにするミレインはともかう、メルファとトーラのふたりに関しては仮に俺と出会わなかったとしても何らかの形で才能を開花させていたかもしれない。
 まあ、その手伝いができたと思えば、俺としても嬉しいのだが。

「もうこの辺りのダンジョンでは物足りないんじゃないか?」
「確かに彼女たちの戦闘力の高さを考慮すれば、もっと攻略が難しいダンジョンに挑戦してもよさそうだが……」

 正直、その点は決めあぐねていた。

 確かにあの子たちは強い。

 だが、いかんせん若すぎる。
 それに経験もまだ乏しい。

 ここまでは順調に運べている。
 紛れもなく彼女たちの実力があるからこそだが、ダンジョンには何が潜んでいるかまったく分からない。

 不死花《アンデッド・フラワー》のような不測の事態がどこに潜んでいるのかは俺でさえ微塵も把握できないのだ。

 三人に足りないところを指摘するとしたら、そういった予期せぬトラブルにどう対応していくのかというアドリブ力だろう。
 ただ、こいつの厄介なところは鍛えるのが難しいという点だ。
 予期せぬトラブルというのは予測ができないから「予期せぬ」なのであって、事前に来ると分かっていたら意味はないのだ。

 だから、経験で埋めていくしかない。
 とにかくダンジョンでの活動をこなし、さまざまなパターンを学習していく必要があった。

 ――が、彼女たちのような若者にとって、それはとても退屈で意味のないものではないかと感じてしまうもの。
 
 実際、トーラに関してはさらに強い敵と戦いたいと口にしている。
 
 気持ちは分かるが、今はまだ鍛錬の時。
 いずれその時は来るが、時期尚早だな。


 こうして、俺たちはしばらくの間、ダンジョンの基礎基本を叩き込むため探索を繰り返していった。

 そして――一ヵ月という時が経った。
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