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第38話 三人での初勝利

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 宿屋で一夜を過ごし――翌日。

「じゃあ、おまえたちは今日もダンジョン探索に出るんだな」
「ああ。まだクエストを達成していないしな」

 俺たちは標的としている一角マグマトカゲの角を手に入れていないため、このままダンジョン探索を続行する。

 一方、アランはギルドへ戻ってクエストの成功を報告。報酬をもらった後は別のダンジョンに向けて出発するらしい。

「また縁があったら会おう」
「おう」
「アランさん、お元気で」
「ミレインもな。お嬢ちゃんたちも、年長者であるふたりの言うことはちゃんと聞くんだぞ」
「分かった」
「子ども扱いすんなよぉ!」
 
 最後までにぎやかなやりとりをして、俺たちはアランを見送った。
 あいつは経験豊富だし、客観的に状況を分析できる賢さがある。己の実力を過信して無茶なクエストに手を出したりはしないだろうし、きっとこれからもうまくやっていけるだろう。
 
「よーし! 今日こそ一角マグマトカゲを倒してやる!」
「私も頑張る」

 アランに触発(?)されたのか、トーラとメルファはヤル気十分。
 俺たちも報酬を得るために、なんとかして倒さないとな。

 目撃情報の多い地底湖周辺を歩いていると、

「っ! 師匠! あそこに!」

 最初に標的を発見したのはミレインだった。
 一角マグマトカゲは体長が二メートルほどとモンスターの中では特別大きいわけではない。  
 だが、その名前にある通り、全身は高温を宿しており、人間が安易に触れたらドロドロに溶かされてしまうという。

 さらに攻撃性が強く、額から生えた一本角で串刺しにしようと突進してくるのだ。

「みんな、ここは距離を取って戦うぞ」
「それなら私の出番」

 本人も分かっている通り、ここはまず魔法使いであるメルファの出番。
 氷魔法でヤツの体温を冷やし、氷漬けにする。動けなくなったところでミレインとトーラによる物理攻撃――これで本体を破壊し、角だけ回収するという作戦だ。

「行くわよ、トーラ」
「任せろ!」

 ミレインからの指示を受けたトーラは彼女と一緒に挟み込む形でモンスターのサイドへと移動。
 ちなみに俺は少し離れた位置で三人の戦い方を見守る。
 いざとなれば剣術と魔法のいずれかでフォローを入れるつもりだ。

「くらえ」

 メルファが氷魔法を発動させ、一角マグマトカゲの動きを封じ込めていく。
 急速に体が冷えてきたヤツはあっという間に動かなくなってしまった。

「今よ!」
「おう!」

 再びミレインからの合図を受け、トーラは冷え切った一角マグマトカゲに強烈なキックを叩き込む。さらにミレインの剣術で追加攻撃がヒット。

 これにより、凍った一角マグマトカゲの体はバラバラとなり、見事角だけがその場に残された。

「「「イエーイ!」」」

 勝利の喜びを表すハイタッチを交わす三人。
 いつの間にかチームワークもできてきたな。
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