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「少し、体勢を変えよう」

「え、あっ……」

 私の身体を持ち上げ、胡座をかいた彼の上に座った状態に変えられる。身体が縦になったことで挿入が深まり、子宮口に亀頭が当たった。

 想定外の官能的な''口付け''に、今度は私が困惑する番だった。

「アルヴィリ国王からの申し出で半ば強引に結婚が決まった時、この国に嫁に来て喜ぶ奴はいない。……そう思っていた」

「……!!」

「夫婦として仲睦まじくしていくことも難しいだろうと考えていた。だが、違った。お前は恐れることも無く、私やこの国のことを受け入れてくれた」

 軽く腰を揺らしながら、ギリェルメは言った。

 彼の背後、開け放たれた窓からは、丁度街の景色が見える。その光景は、美しくも何処か寂しさを感じるものであった。

「嬉しく思う半面、この国の色にお前を染めてしまって良いのかという不安が付きまとった。汚しきってよいのか、いずれ私の子を為すのがお前にとって良いことなのか、毎夜迷っていた」

「……」

 ギリェルメが痛みや苦痛から私を遠ざけたがる意味を、そこで私はようやく理解した。

「……ギリェルメ様」

 はっきりと口にしなかった想いを、彼にぶつけてみることにした。

「私はあなたの子を孕みたい。……駄目ですか? 」

「……!?」

 模様の刻み込まれた肌を撫でて、私は言った。

 彼と結ばれたのは私の意思ではないが、その言葉は紛れも無く私の望みであった。

「っ、レティシア……!!」

 押し倒されて一度引き抜かれたかと思いきや、後ろ向きにされ、そのまま再度挿入された。

 獣のような交わり方に驚きの声を上げる間も無く、ギリェルメは抜き差しを始めた。

 先程のような、私を満足させるための手加減はすっかり消え去っていた。

 そこにあるのは、男としての情欲だけであった。

「あっ、あっ、あっ、ひっ……あああ!! 」

「ぐ、ぁ、レティシア、レティシア……!! 」

 雄が雌を孕ませるための激しい抽挿が繰り返され、私は本能の赴くまま、ただ叫び声を上げた。ギリェルメもまた、獣の咆哮のようにひたすら私の名を呼んだ。

 悲鳴にも似た嬌声。しかし、それは肉体の歓喜であった。

 容赦無く奥を突かれ、幾度と無く絶頂を繰り返す。しかし、彼が動きを止めることはなかった。

「あっ、あっ、ギリェルメ様っ、あっ、あああああ!!」

「ぐっ、レティシア、出すぞ、全部、中、飲み込め、受け入れてくれ!!」

「あっ、あああああ!!」

 最奥が貫かれ、白い稲妻が子宮へと落ちる。

 そして私の肩に、ギリェルメは一つ噛み跡を残した。それはまるで、所有の証のようにも思えた。

「あっ……、ギリェルメ様……」

「ん、レティシア……」

 覆い被さるように倒れ込み、彼は私を抱き締める。

 雷雨の衝撃に、互いに暫く動くことは出来なかった。
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