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そして王女は開花した

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「ん、分かった」

 驚く様子もなく、彼は頷いた。

「風邪をひいたら困る。湯に浸かっててくれ」

 私は浴槽に入り、ウェンデはその傍に立った。すると丁度、私の目線の高さに彼の股間が見えたのだった。 

 そのまま、彼はペニスを両手で持った。竿を下向きに支え、床にある排水口を狙っているようだった。

「……ん」

 やがて、ウェンデは放水を始めた。

 先程水をがぶ飲みしていたからか、おしっこの匂いも色も濃ゆくは無い。流れ落ちる尿はどちらかと言えば、黄色というより透明に近かった。

 二人とも無言で、尿が排水口の金属製の蓋を叩く音だけが浴室に響いていた。

 ちらりと見上げてウェンデの顔を見ると、彼は少しだけ頬を赤らめていた。それが照れなのか浴室の暑さからなのかは分からない。けれども、その表情は酷く扇情的であった。

 放水の勢いは段々と弱くなっていき、とうとう終わってしまった。

「は……ぁ、」

 軽く息を吐いてからぺニスを振って水滴を払い、ウェンデは排泄を終えた。

 それから手桶で浴槽から湯を掬い、彼は下半身にザバザバとかけた。湯は床に流れ落ち、先程の出来事の証拠を跡形も無く流し去ったのだった。

「ルイーセ?」

「え、あ……」

 彼に呼びかけられ、浴槽の中でもじもじと脚を擦り合わせている自分に気付いた。幼子が尿意を催したような、子供じみた動作。けれども、そうしているのは排泄欲からでは無かった。

 性欲が刺激され、淫道が濡れそぼり湯の中に秘蜜が蕩け落ちそうになっていたのだ。

「ウェンデ様、ぁ」

 けれども、それをねだる言葉は自分の頭の中の辞書には無かった。半泣きで身体をもぞつかせる私を見て、ウェンデは色々と察したようだった。

「ちょっと待ってろ。このままだと逆上せそうで心配だ」

 彼は浴室の窓辺に歩いていき、窓を少しだけ開けた。

 広い肩幅とそれに比して引き締まった腰周り。そして柔らかさよりも筋肉の筋張った硬さを感じる尻。奥には陰嚢の裏側が見える。その後ろ姿は、野生動物のような鍛わった屈強さと雄の色気を感じさせた。

 窓が開いたことで、ひやりとした夜風が浴室に吹き込む。けれども、身体の熱が冷めることは無かった。

「ルイーセ、準備は良いな?」

 そう言ったウェンデの陰茎は、再び硬くなり半分勃ち始めていた。

「……はい」

 目の前の男を求める本能を止めるものは、もう何も無かった。彼に促されるまま、私は浴槽のへりに手をつき、四つん這いのような体勢になった。身長差を考慮して私は浴槽の横にある階段に乗り、腰の位置を高くした。まるで秘所を自ら彼に差し出しているようで、恥ずかしくて堪らない。

「ん……っ、う、」

「は、これだけ濡れてたら、そんなに慣らさなくても良さそうだな」

 秘唇に指を差し入れながら、ウェンデは言った。軽くかき混ぜられているだけなのに、膣の奥からはくちくちと粘り気のある音が既に聞こえていた。

 彼の指は気持ち良い。けれどもその刺激だけでは物足りなくなっていた。

「ウェンデ様ぁ、もう、……くださ、い」

「ん、分かった」

 肉竿を臀の割れ目に沿って擦り付け、彼はぺニスに愛蜜を纏わせていく。

 そして片手で蜜口を開き、彼は私をゆっくりと貫いたのだった。

「ひ、あああっ!!」

「ふ……もう少しだけ、奥いくからな」

「は、……い、」

 待ち焦がれていた存在に会えて、歓喜するように中は愛しい熱を締め付ける。その刺激に耐えながら、ウェンデは奥へと突き進んでいった。

「ん、全部入ったな」

「は……ぁ、」

 ぴたりと凹凸が嵌り、暫し甘い快楽に酔いしれる。それだけで、精神的には十分すぎる程の満足感があった。

 呼吸が整ったところで、ウェンデは抜き差しを始めた。

「あっ、あっ、ああっ……!!」

「は、……っ、ぐ、は、……ぁ、」

 二人の喘ぎ声と肉がぶつかり合う音が、浴室に響く。寝室とは違い音が反響するせいで、一層興奮を駆り立てた。

「あっ、ああっ、ひ、あああっ!!」

 ところが抽挿が激しくなり始めたところで、喘ぎと抜き差しの音以外に''間抜けな音''が混ざっていることに気付く。

 もう少し詳しく言うと、空気が入ったような、他人に聞かれたら恥ずかしい音とでも言おうか。

 けれども、その音が出てしまう筈の箇所である後孔はどうもない。音が鳴っているのは、なんと秘唇からであった。

 とはいえ勘違いを産む音であるのに変わりは無い。

「ウェンデ様、待ってください、一旦抜いて、ぇ……!!」

 振り向いて懇願すると、ウェンデはすぐさま抜き差しを止め、肉棒を抜いてくれた。

「ん、どうした? 痛かったか?」

「違うんです……何故か抜き差される度に鳴る音、が恥ずかしくて」

 これまでの情事では起きなかった事態に、私は混乱していた。彼もまた、私の言葉に目を丸くした。

 が、しかし。ウェンデは思いも寄らないことを口にした。

「構わん。……続けるぞ」

「え、ええっ!!」

 高まった熱を冷まさぬように忙しなく右手で陰茎を扱きながら、ウェンデはサディスティックな笑みを浮かべた。その目つきは、獲物を付け狙う獣のように欲でぎらついている。

 反射的に腰を引くより先に、彼は再度私を貫いたのだった。

「あっ、あああ!! ウェンデ様、駄目、やだ、こんな恥ずかしい音、聞かないで、え、!!」

 空気音をかき消すように、私は叫んだ。けれども、彼は抜き差しを止めてはくれない。

「……っん、恥ずかしいのが嫌なのか? ルイーセ」

「だって、ぇ、私、恥ずかしいとこ、見られて、ウェンデ様に嫌われたくない……っ!!」

「は、そんなことで嫌いになる訳あるか。……っ、全部ひっくるめて、愛すに決まっているだろう……? だから、全て晒してくれ」

「あ、あああっ!!」

 がに股となりひたすら腰を振る彼の姿は、発情期の獣のように本能を剥き出しにしているようにも見えた。けれども、そこまで求められていることに女としての悦びを感じていた。

 間抜けな音も、善がり声も、いやらしく愛液が垂れた蜜口も、全て彼に見られてしまった。けれども、それを気にする余裕が無い程に、子作り目的ではない情交にすっかり夢中になっていた。

「は、ルイーセ、中出すからな……っ、ぐ、っ、は、あっ……!!」

「ひ、ああああっ!!」

 雷に打たれたような衝撃が全身を駆け巡る。最奥を一突きして、ウェンデは胎内に白濁を放った。

 精液を逃がさぬように、懸命に中が彼を締め上げる。その願いを叶えるように、彼は腰を揺らしながら一滴残らず中へ精子を注ぎ込んだ。

 これまで感じたことの無い程に、心も身体も満たされていた。

 そして。言い表せない''何か''が心の奥底で花開くのを、密かに私は感じていた。
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