騎士団長との淫らな秘めごと~箱入り王女は性的に目覚めてしまった~

二階堂まや

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♡"目覚め"は突然に

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プレイ内容
+ヒーローの野外放尿


 目を覚ますと、ベッドに夫の姿は見当たらなかった。

 目の前にはただ、乱れの少ない純白のシーツが広がっているだけだ。彼は仕事に行く前の鍛錬が日課となっているので、その光景は大して珍しくは無い。むしろ、夫婦二人朝を迎える方が稀な程であった。

 大きく伸びをして、ゆっくりと寝台から起き上がる。カーテンを開けると窓の外は快晴だった。まさに絶好の散歩日和だろう。

 朝食前、私は晴れの日は森に散歩に行くのがルーティンとなっていた。体調管理のために、運動する習慣を付けておきたかったのである。

 身支度をしてから外に出ると、夜が明けてすぐの真新しい空気が心地好く頬を撫でた。肌寒い日が続いていたが今日は少し暖かく、春の訪れを感じさせる。春の陽気は、いつもより少しだけ私の心を高揚させた。

 邸宅のすぐ隣は森である。とは言っても鬱蒼としてはおらず、熊などの猛獣もいない明るい森である。ここにあるのはよく手入れされた木々と美しい草花。いるのは可愛らしいウサギやリスなどの小動物である。

「ん、本当に良い天気だわ」

 木漏れ日を浴びながら、私は目を閉じて深呼吸した。聞こえてくるのは、春風が草木を揺らす音と、賑やかな鳥のさえずりだけだ。こうした自然との触れ合いは、いつしか日常の楽しみの一つとなっていた。

 ふと私は、草を踏みしめる重みのある足音の存在に気付く。それは小鳥の鳴き声に紛れてはいたものの、段々と近付いてきているのが直ぐに分かった。

 不思議に思って目を開けると、遠くから夫であるウェンデが歩いてくるのが見えた。彼を目にするや否や、私は咄嗟に近くの木の幹に姿を隠した。

 夫のことが嫌いな訳では無い。けれども、夫婦といえど未だに遠慮のある仲であるというのが正直なところであった。

 ウェンデは私を大切にしてくれているし、私も彼のことを大切に思っている。週一回身体を重ねるのも欠かすことは無い。とはいえ、二人の間に蜜のような甘い触れ合いが殆ど無いのも事実だ。私達にとって閨事は、あくまで子作りのためでしかないのである。

 ウェンデは''男の中の男''という言葉がぴったりな風貌であった。精悍な顔ばせと鍛えられた大きな体躯は、ダークブロンドの髪色も相まって獅子を彷彿とさせる。堂々たる立ち振る舞いは、王立騎士団長の肩書きに恥じないものであった。

 歩いてくるウェンデの姿は、まるで森に迷い込んだ一匹の猛獣であった。そんな彼に道を空ける私は、さながら肉食獣から逃げる草食動物といったところか。

 彼が通り過ぎるのを待っていよう。そう思っていると、途中でウェンデは立ち止まったのだった。それから、何故か辺りを見回し始めたのである。

 私の気配に気付いたのかと一瞬身構えたが、どうやらそうではないらしい。

 やがてウェンデは、近くに生えていた木に歩み寄った。右斜め後ろから見ているので、表情ははっきりと分からない。分かるのは、彼が俯いて視線を下に向けていることだけだ。

 不思議に思い眺めていると、ウェンデは自らのベルトに手をかけたのである。

 ガチャガチャと忙しなく金具を外す音がして、私はそこでようやく彼が何をしようとしているのかを理解した。

 ウェンデがごそごそと衣服から取り出したのは、太ましい牡茎。情事の最中とは違って血管は浮き出ておらず皮を半ば被っており、張り詰めた様子も無くただ下を向いている。

 それを両手で支えるように持ち、彼は木の根元へ放尿を始めたのだ。

「……っ!?」

 見てはいけないものを見てしまったという焦りで、ぞわりと鳥肌が立つのを感じた。

 黄金色の水は一本の緩やかな曲線を描き、地面へと落ちていく。遠目なので水音こそ聞こえないが、彼の足元で大雨に降られたように草が揺れているのを見るに、放水の勢いはかなり強いのだろう。

 依然としてウェンデは俯いており、自らの放ったものの行く末を見守っている。その表情は、虚無というよりも我慢から解放されたような、どこか惚けたものにも見えた。当然ながら、夫のそんな顔は今まで見たことが無かった。

 排泄は言わば生理現象であり、誰もが持つ秘密事である。目を背けるべきなのは分かっていたが、私は食い入るようにその光景を見つめていた。

 何故なら彼の秘密を知ってしまった罪悪感と共に、私は下腹の疼きを感じ始めていたからだ。それは、情事の時にしか感じられないものであった。

 やがて用を足し終わり、ウェンデは肉竿を軽く振って水滴を払った。それから衣服へとしまい込み、何食わぬ顔で邸宅へ戻って行ったのである。

 彼がいなくなったのを確認してから、私は密事の現場となった木へと近寄る。その根元を見ると、尿が放たれた箇所の土だけが雨上がりのように濡れていた。

 そこに生えているのは雑草だけで、可愛らしい花は咲いていない。避けるように場所を選んだのは、彼なりの気遣いだろうか。

 お手洗でしか縁の無い尿特有の匂いはしなかった。鼻を掠めるのは、嗅ぎ慣れた草木の瑞々しい香りだけだ。

 湿り気のある地面を見つめながら、先程の光景を何度も頭の中で反芻する。気の緩んだ彼の顔も、柔らかく頭を垂れていた男性器も、私にとっては蠱惑的に感じられたのだ。

 ポケットから懐中時計を取り出すと、時刻は丁度六時半となっていた。朝食は毎朝七時と決まっており、ウェンデは鍛錬の後入浴を済ませてから、私は朝の散歩を終えてから一緒に朝食をとるのが通常の流れであった。

 けれども、今の状況でいつも通り彼と顔を合わせられる気がしなかった。そんな私の反応を見て、きっとウェンデは不信感を抱くに違いない。

 今日は散歩の時間を伸ばして、朝食の時間をずらそう。私はそう心に決めて歩き出したのだった。
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