悪役令嬢は獰猛な愛がお好き

二階堂まや

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巣穴での戯れ

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「は……っあ、ん、ぅ、」

「……っ、ふ、」

 熊の巣穴に響くのは、男と女の喘ぎ声。二人だけの閉ざされた世界の中で、暖炉の火の音も窓を叩く風の音も、すっかり聞こえなくなっていた。

 アードルフの指が秘所に這わされ、差し入れられる。秘花は目いっぱいに蜜を滴らせていた。

 弄ばれた胸の頂きは、すっかり柔らかさを失い、尖りへと変貌している。

 一糸まとわぬ姿で、私は彼の膝の上に座らされていた。

 密着した素肌が擦れる度、あられもない声が漏れる。しかしそれを、抑えられない。

「はっ……本当に、どこに触れても柔らかいな」

 胸元で乳を吸っていた口元を離して、アードルフが笑う。その唇は、いやらしい艶を纏っていた。

 それを見た瞬間、彼の指を締め付けるようにして中が反応してしまう。

「アードルフ様、も、う、」

「いや、まだだ。よく慣らさないと、後が辛いだろう?」

 気遣いに見せかけたその言葉は、今の私にとって意地悪な言葉であった。……秘所はもうとっくに、熊に食い散らかされていたのだから。

 つい先程まで、彼は唇と歯で花弁を食み、蜜を掬い、種を濡らしていた。

 それだけで達するには十分な刺激であり、蜂蜜の入った壺のように貪られた秘花は、すっかり蕩けきっていた。

 隠した部分を、全て彼に食べ尽くされた気分だった。……''ある一箇所''を除いて。

 蜜壺を指で掻き混ぜても、これ以上解れることはない。それを知った上で、彼は続けているのだ。

「ほら、手が留守だぞ」

 そう言って、彼は乳首を甘く噛んだ。

「それは……っ、んうっ!!」

 アードルフの性器を握る手に、全く力が入らない。辛うじて竿を上下に扱いてはいるものの、彼の余裕のある態度からして、大した刺激になっていないのは明白だった。

 頭が働かないものの、懸命に彼自身を愛撫する。それの温もりが熱に変わるのを願いながら。

 しかし私には、最早何度目か分からない絶頂が迫っていた。

「ふ、っ、ぁ、」

「ひあっ……」

 首すじに軽く歯を当てられ、甘噛みされる。全身には、彼の口付けや舐めた跡が散らばっていた。

 知らぬ間に私の身体は、全て彼の匂いに支配されていた。

 まるで、熊が獲物の所有権を主張するかのような行為。しかしそれすらも、私の興奮を駆り立てる材料となっていた。

「ひっ、あっ、あっ……」

 達する直前、彼は秘花から指を引き抜いた。そして何も言わず、私をシーツの海に押し倒した。

 後ろ向きではなく、''前向き''で。

「……下、見てみろ」

「……?」

 ふと彼の下半身に目を向けると、雄茎は硬くなりすっかり天を仰いでいた。隠れているはずの括れも姿を現し、竿の下にある袋も、張り詰めたようにせり上がっている。

 自分の拙い愛撫でこうなるとは、にわかに信じ難いことであった。

「お前がこうしたんだぞ?」

「……っ、」

 欲情を煽るかのように、彼はびくびくとペニスを動かす。

 その切っ先には、淫靡な粘液が滲んでいたのだった。
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