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第一章 start of travel
もう一人
しおりを挟む--ここは創造世界のとある街。
俺と一人の男は、大勢の男達に追われて必死に逃げている。
「早くしろ、追いつかれるぞ!」
「待てよ一郎!俺だって必死だっつーの!」
そう言いながらとにかく走り続ける。もう逃げ回って何時間経ったか分からない。撒いても撒いても、どこからともなく男達は随所におり追いかけてくる。
俺の名前は【花咲一郎】現実世界から最近この創造世界にやってきた。
創造世界にやって来た経緯は……また後ほど話すとして、まずは何故男達に追われているのか話そう。
「おい、まて重罪人花咲一郎!逃げ切れると思うな。」
そう言ってしつこく俺を追いかける男達は、この創造世界のいわば警察みたいだ。組織名は【新撰組】。全員が青い和風の羽織を着ているヘンテコな集団だ。
話は戻るが追われている経緯を説明しよう。
俺は先ほど町の人間に頼まれ女性に暴行を加えようとするチンピラを止めていた。それを止めようとして大揉めになってしまい、周りの野次馬が警察に通報を始める。
だが何故か、あろうことか警察はそのチンピラではなく俺を捕らえようとしたのだ。普通であればそのまま一旦捕まり事情を説明するのだが、問題は先ほども言っていた【重罪人】という言葉だ。
明らかにおかしい。なぜなら俺がこの世界に来たのはつい昨日のこと。それから街を探索していただけで、重罪と呼ばれる罪を犯した覚えは全くないのだ。
「一郎、なんでお前指名手配なんだよ!」
そう叫ぶ仲間【田貫廉】。この男も俺と同じく昨日この世界にやって来た。
廉の言う通りだ。なぜ創造世界に来たばかりの俺が、街中に張り紙が出されるほどの指名手配犯になっているのか全くもって理解できない。
確実に何かの勘違いであるが、さらに問題なのはここが創造世界であるという事。現実世界の警察ほど、ここの警察は甘くないのだ。
警察の腰にはドラマでしか見たことない様な重みのある刀が携えられており、俺を見つけた瞬間躊躇いもせず切りかかって来た。
そう……追いつかれたら最後、弁明する間も無く俺は殺されてしまうのだ。
「無視すんな一郎、だいたい俺は指名手配じゃねぇんだ!なんだったらこのままお前を囮にして逃げてもいいんだぞ!」
息を切らし走り続けながら叫ぶ廉。
忘れていた。厄介な事がもう一つある。
俺と一緒に逃げている仲間の廉。この男は現実世界での記憶がないのだ。つまり廉にとって俺は昨日会ったばかりのほぼ他人である。
それでも俺は廉を連れて逃げ続けなければいけない。ではそろそろ俺、いや俺たち17人が何故創造世界に来たのか説明しよう。
あぁその前にアイツ……【桃城怜】の話に戻らないとな。
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