5 / 14
第一章 start of travel
もう一人
しおりを挟む--ここは創造世界のとある街。
俺と一人の男は、大勢の男達に追われて必死に逃げている。
「早くしろ、追いつかれるぞ!」
「待てよ一郎!俺だって必死だっつーの!」
そう言いながらとにかく走り続ける。もう逃げ回って何時間経ったか分からない。撒いても撒いても、どこからともなく男達は随所におり追いかけてくる。
俺の名前は【花咲一郎】現実世界から最近この創造世界にやってきた。
創造世界にやって来た経緯は……また後ほど話すとして、まずは何故男達に追われているのか話そう。
「おい、まて重罪人花咲一郎!逃げ切れると思うな。」
そう言ってしつこく俺を追いかける男達は、この創造世界のいわば警察みたいだ。組織名は【新撰組】。全員が青い和風の羽織を着ているヘンテコな集団だ。
話は戻るが追われている経緯を説明しよう。
俺は先ほど町の人間に頼まれ女性に暴行を加えようとするチンピラを止めていた。それを止めようとして大揉めになってしまい、周りの野次馬が警察に通報を始める。
だが何故か、あろうことか警察はそのチンピラではなく俺を捕らえようとしたのだ。普通であればそのまま一旦捕まり事情を説明するのだが、問題は先ほども言っていた【重罪人】という言葉だ。
明らかにおかしい。なぜなら俺がこの世界に来たのはつい昨日のこと。それから街を探索していただけで、重罪と呼ばれる罪を犯した覚えは全くないのだ。
「一郎、なんでお前指名手配なんだよ!」
そう叫ぶ仲間【田貫廉】。この男も俺と同じく昨日この世界にやって来た。
廉の言う通りだ。なぜ創造世界に来たばかりの俺が、街中に張り紙が出されるほどの指名手配犯になっているのか全くもって理解できない。
確実に何かの勘違いであるが、さらに問題なのはここが創造世界であるという事。現実世界の警察ほど、ここの警察は甘くないのだ。
警察の腰にはドラマでしか見たことない様な重みのある刀が携えられており、俺を見つけた瞬間躊躇いもせず切りかかって来た。
そう……追いつかれたら最後、弁明する間も無く俺は殺されてしまうのだ。
「無視すんな一郎、だいたい俺は指名手配じゃねぇんだ!なんだったらこのままお前を囮にして逃げてもいいんだぞ!」
息を切らし走り続けながら叫ぶ廉。
忘れていた。厄介な事がもう一つある。
俺と一緒に逃げている仲間の廉。この男は現実世界での記憶がないのだ。つまり廉にとって俺は昨日会ったばかりのほぼ他人である。
それでも俺は廉を連れて逃げ続けなければいけない。ではそろそろ俺、いや俺たち17人が何故創造世界に来たのか説明しよう。
あぁその前にアイツ……【桃城怜】の話に戻らないとな。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる