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第二章 謀略の復活祭
第二十四話 K・K・K
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エリーは荷物をひったくられて突き飛ばされた黒人の下に駆け付けた。
「大丈夫? けがはない?」エリーが手を差し伸べると、その黒人はエリーの手を勢いよく払いのけた。
「近づくな! この偽善者め!!」男は走り去ってしまった。
「あ、ちょっと! カバン忘れてるわよ~!」小さくなっていく男の姿を見て、大きなため息一つ。すると、
「エリー! すぐに臨戦態勢! 市民の避難誘導頼む!!」
ユースが切羽詰まった声でエリーに呼びかけてきた。
「どうしたのよユース……ゲゲ、あいつらは……!」
エリーが声の飛んできた方角を見ると、そこにはレシーバーをセットして武装したユースと、白衣を着て倒れている若い男、そして全身白装束に身を包んだ十人程度の集団がいた。
K・K・Kとは、反黒人、反ユダヤ、反エイジャ系を掲げた秘密結社である。
今から150年ほど前、アメリゴで南北戦争が起こった直後に結成されたといわれている。
メンバーはみな白装束を身にまとい、はじめは黒人の多く住む地域をその格好で歩いて、黒人たちが怖がるのを楽しんでいたそうだが、どんどんエスカレートしていき、脅迫、強盗、殺人、違法薬物の密売買などなど、もはやアメリゴ警察の手に負えないほどのギャング集団となっていた。
そんな彼らの前で黒人を擁護するような発言をすれば、たとえ身内だろうと殺されかねない!
「ユース! 逃げなさい!あいつらは危険よ!! 10対1で勝てるわけないわ!」
「大丈夫、無理に戦う気はない。ただちょっと今動けなくて……」
「どうした? 貴様自然戦士なら、変身して戦ってみたらどうだ?」先頭の男が挑発する。
一方ユースはいたって冷静だ。
「僕の敵はあくまでもギートであって、自分と同じ人間じゃない。これ以上嫌なムードになる前にこの人連れて帰ってよ。」ユースは倒れている白装束の男、ルークを指差した。
「えぇ~~!? 助けてくれるんじゃないんですか!??」ルークが必死になって叫ぶ。(何があったかは前話参照)
「ふん、そんな腰抜け要らんわ! ここで処分してやる!」先頭の男が銃を取り出した。すると、その男の肩に手が置かれた。
「待て! アレックス! それはだめだ!!」後ろにいた男が止めに入ってきた。
「ルークは殺せない! お前もわかっているだろう!?」
「……そうだったな。お前たち、帰るぞ! ルーク、お前は自力で帰って来い!!」
白装束の集団は来た道を引き返していった。
「……やれやれ。大丈夫ですか? ルーク……さん。」
「は、はい。大丈夫ですっ。」声が上ずっていた。
「ユース、その人どうするの?」エリーもやって来て言った。
「どうするも何も、元を正せばひったくりだもんなー。普通は警察に突き出すだろうけど……」
「やめてください! 今度ばかりは見逃してください!! 後生ですからぁ!!!」
「……まあ、ちょっと可哀想になってきたから、今回は警察には黙っておくよ。」
「あ、ありがとうござ」「但し、あなたにはしゃべってもらいたいことが結構あるのでして。エリー、ルークさんを拘束して『クイーン・ヴィクトリア号』に連れていくよ。」
「「はぁ!?」」エリーとルークさんが同時に驚いた。しかしユースはマイペースを保つ。
「『はぁ!?』じゃないでしょ。大丈夫、不審な動きをしたら、すぐ切り捨て御免にすれば良い。」
それを聞いたエリーも「あ、それもそうね。」と納得した。
一方ルークさんは「い、嫌だ! 許してください!! まだ死にたくない!!!」とじたばたしている。
「うるさい! ほら行きますよ!大人しくしていればなにもしませんから!」ユースはコマンドレシーバーの「捕縛」機能をオンにした。
その状態で捕縛したい相手の両手首を掴むと、自然想像エネルギーによって即席の手錠が生成され、相手を拘束する。
ユースはルークさんを拘束すると、抱えたままエリーと共に空港へ飛んだ。
「あ! エリー殿下!いったいどこへ行ってらっしゃったのですか!?」
空港に戻ると、心配していた護衛達が駆け寄ってきた。
「ちょっとユースとデートしていただけよ。」
「お手数をおかけしました。それよりも……」ユースはルークを護衛たちに引き渡した。
「尋問の準備をお願いします。あ、身柄の扱いは丁重に。」
「こ、こいつは、K・K・Kのメンバー!?」
「そうですけど、いろいろと事情があるんです。」
尻込みする護衛たちにエリーが発破をかける。
「とにかく、とっとと準備しなさい!王女命令よ!!」
「は、はい!」やっぱり護衛たちはエリーには弱い。
エリーの部屋で、ユースとエリーによる尋問が始まった。
ルークは自白剤を飲まされているため、証言は信用できると思われる。
「あなたの名前、年齢、住所を教えてください。」ユースが問いかける。
「ルーク・J|《ジョセフ》・フランクリンです。年は二十二歳で、住所はニューアムステルダム州ニューアムステルダムうんぬんです。」ルークが答えた。
「なぜK・K・Kに入ったの?」とエリー。
「僕の意志ではないんです。」と語るルーク。
「えーっと、これは本当は言っちゃいけないんですけれどね?」
「もちろん言ってもらいますよ?」ユースがそう言い、エリーが銃を構えた。
「待って!待ってください!ちゃんと言いますって!!……僕はですね、K・K・Kの総裁の息子なんです。」
「「……え!?」」ユースとエリーの顔が曇った。
「僕の父親はK・K・K三代目総裁、ウィリアム・J・フランクリン。史上最高と言われている現在のリーダーです。」
「なるほど……。」まさかアメリゴ最大の秘密結社のトップの息子がこんなんだったとは。ユースはちょっと呆れた。
「それで、強制的に加入させられたわけ?」エリーが尋ねた。
「そうなんです……」ルークはしゅんとしてた。
「あの……僕は決して、黒人を差別した方がいいとか、そんなことは決して思っていませんからね!?」
「うんうん、それは聞いてれば分かるわよ。」エリーが優しくうなずく。
「ところで話は変わるが……なんかK・K・Kは企んでることってある?」とユースが聞いた。
「た、企んでいること!?」ルークの顔が青ざめた。
ユースは淡々と続ける。「そうだよ。後、今までやらかしたことも全部吐いてもらうから。」
「ユース、こんな下っ端が何か知ってるわけないでしょ?」エリーは端からルークの事など利用価値も怪しいと思っているご様子。
「い、いえ、一応しゃべります……。」そういうとルークはゆーっくりと語り始めた。
「その……現在最優先事項で行われていることが、『反逆者』ジェームズ・グランハン博士の拿捕なんですね。」
「「ジェームズが!?」」いきなり友人の名が出たので二人ともびっくりした。
「はい。グランハン氏は、黒人でありながら合衆国政府の要人であり、白人に対抗するために戦力を集めているとして、K・K・K内で指名手配されています。」
「まさか、あのエロジェームズがそんなことするわけないじゃない。」エリーはなぜかあざけるような声で言った。
「なるほど……あれ? もしかしたらジェームズの待遇って、実は悪くないんじゃない?」というユース。
「え、どういうこと?」とエリーが尋ねる。
ユースは内部通信を使って言った。(政府はジェームズの命が狙われていることを知ってて、わざわざアラベスクなんかに研究所を設置してジェームズをかくまったんじゃないの?)
(そうかしら? 単純に性格故の左遷だと思うけど。)とエリーが返した。
「あの~、もしかしてお二人は、グランハン氏とお知り合いなんですか?」
ユース「……あっ。」
エリー「? ……あっ。」
「ですよね!あの、もしよろしければグランハン氏の居場所教えてくれますか!?」
「あのね、尋問してるのはこっちなのよ! 勝手な発言は許さないわ!!」エリーがまた銃を構えると、ルークは「ヒィ~~~~~~!」と悲鳴を上げた。
「やれやれ……どうする? 記憶消して帰す?」
「まだよ。ほかに何を企んでるか聞かないと。さあ知っていることをすべて話しなさい!!」
「えーっと……あっそうだ。過去にクィーン・ヴィクトリア号を襲撃したり……」
「「はぁ!!?」」これには二人とも仰天した。二人とも椅子から飛び上がって武器を構えた。
「私のプライベートジェット襲ったのあんたたちなの!!?」「お前っっ!!それは許さんぞ!!」
ルークは過呼吸寸前になりながらもなんとか応答した。
「いや違うんす! 違うんすよ!! ヴィクトリア号を襲ったのは何というか……、K・K・Kの中でも異端というか……」
「エリーたちを襲ったのは誰?」ユースは何とか落ち着きを取り戻しながら、椅子に座りながら言った。
「確か、ショーン……さん?だったかな?」
「ショーン……!?」「おっと……これは……。」二人はその反逆者の名前を知っている。
なんと、ブリデラント王室のジェットを襲った首謀者、ショーンは、K・K・Kに加入していたのである。事件については第十六話から第十八話を参照。
「じゃあ、ショーンの取り巻きは?」エリーが尋ねた。「あ、確かその人たちもK・K・Kだったっすね。」
「やれやれ……ギート相手だけでなく、秘密結社とも面倒なことになるとは……」ユースがため息交じりに話す。
「はっ……!!」急にエリーの顔が青くなった。
「ど、どうしたの?」
「ユース!! あなた私を助けに来てくれた時、自然戦士を二人殺したわよね!?(第十八話を参照)」
「あ、うん……そうだよ。今でもたまに夢に出てくる嫌な思い出」「あの時一人取り逃したわよね!!?」
「……あ。」ユースの顔も青ざめた。
「おいルーク……さん!! ショーンと一緒に行動していた突風戦士って誰です!!?」
「えーっと、今存命のメンバーだと、テッドさんですかね。」ルークは真顔で答えた。
エリーの焦りのこもった指示が飛ぶ。「セバスチャン!! テッドってやつを調べて指名手配させなさい!!」
「はい、殿下!」セバスチャンと呼ばれた男は部屋を飛び出していった。
「まったく……一週間後には護衛の任務があるのに……ああ、そうだ。ほかにこれから企んでいることってありますか?」
「それはですね……僕にはあんまり聞かされてないですねー……。」
「そうか……」やっぱりルークに、重要機密事項を教える価値もないと、組織の上層部は思っているようだ。
「……あ! エリー、もうすっかり日暮れだ。ホテル用意してないよ!」
「何言っているのよ、ここに泊まればいいじゃない。」
「あ、その手があったな。」
「ということでユースは私と同じ部屋」「お手伝いさーん、僕一人で寝たいんですがー?」
「あの……僕はどうなるんです?」とルークが尋ねた。
「まあ記憶消して解放でしょうね。」とエリーが冷たく言った。
「ねえエリー、どうやって記憶消すの?」と問うユース。
「なあに、簡単なお仕事よ。」エリーは銃に何やらICカードをセットした。
「氷結銃・プラス・『変化~抹消』!」エリーは特殊な銃弾でルークの頭を撃った。
当たった銃弾は緑色のエフェクトを発生させると、そのまま消えた。
「……あれ?僕、こんなところで何をしているんでしたっけ?」二時間ほど記憶を消されたルークが周りをきょろきょろ見渡す。
「突然倒れたから介抱してあげたのよ。さあ、行きなさい。」そう言ってエリーは半ば強制的にルークを外に追い出した。
「……やれやれ。こんなんで謝肉祭を成功させられるのだろうか……」ユースは大きくため息をついた。
第二十五話 ただいま準備中 に続く
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エリーが声の飛んできた方角を見ると、そこにはレシーバーをセットして武装したユースと、白衣を着て倒れている若い男、そして全身白装束に身を包んだ十人程度の集団がいた。
K・K・Kとは、反黒人、反ユダヤ、反エイジャ系を掲げた秘密結社である。
今から150年ほど前、アメリゴで南北戦争が起こった直後に結成されたといわれている。
メンバーはみな白装束を身にまとい、はじめは黒人の多く住む地域をその格好で歩いて、黒人たちが怖がるのを楽しんでいたそうだが、どんどんエスカレートしていき、脅迫、強盗、殺人、違法薬物の密売買などなど、もはやアメリゴ警察の手に負えないほどのギャング集団となっていた。
そんな彼らの前で黒人を擁護するような発言をすれば、たとえ身内だろうと殺されかねない!
「ユース! 逃げなさい!あいつらは危険よ!! 10対1で勝てるわけないわ!」
「大丈夫、無理に戦う気はない。ただちょっと今動けなくて……」
「どうした? 貴様自然戦士なら、変身して戦ってみたらどうだ?」先頭の男が挑発する。
一方ユースはいたって冷静だ。
「僕の敵はあくまでもギートであって、自分と同じ人間じゃない。これ以上嫌なムードになる前にこの人連れて帰ってよ。」ユースは倒れている白装束の男、ルークを指差した。
「えぇ~~!? 助けてくれるんじゃないんですか!??」ルークが必死になって叫ぶ。(何があったかは前話参照)
「ふん、そんな腰抜け要らんわ! ここで処分してやる!」先頭の男が銃を取り出した。すると、その男の肩に手が置かれた。
「待て! アレックス! それはだめだ!!」後ろにいた男が止めに入ってきた。
「ルークは殺せない! お前もわかっているだろう!?」
「……そうだったな。お前たち、帰るぞ! ルーク、お前は自力で帰って来い!!」
白装束の集団は来た道を引き返していった。
「……やれやれ。大丈夫ですか? ルーク……さん。」
「は、はい。大丈夫ですっ。」声が上ずっていた。
「ユース、その人どうするの?」エリーもやって来て言った。
「どうするも何も、元を正せばひったくりだもんなー。普通は警察に突き出すだろうけど……」
「やめてください! 今度ばかりは見逃してください!! 後生ですからぁ!!!」
「……まあ、ちょっと可哀想になってきたから、今回は警察には黙っておくよ。」
「あ、ありがとうござ」「但し、あなたにはしゃべってもらいたいことが結構あるのでして。エリー、ルークさんを拘束して『クイーン・ヴィクトリア号』に連れていくよ。」
「「はぁ!?」」エリーとルークさんが同時に驚いた。しかしユースはマイペースを保つ。
「『はぁ!?』じゃないでしょ。大丈夫、不審な動きをしたら、すぐ切り捨て御免にすれば良い。」
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一方ルークさんは「い、嫌だ! 許してください!! まだ死にたくない!!!」とじたばたしている。
「うるさい! ほら行きますよ!大人しくしていればなにもしませんから!」ユースはコマンドレシーバーの「捕縛」機能をオンにした。
その状態で捕縛したい相手の両手首を掴むと、自然想像エネルギーによって即席の手錠が生成され、相手を拘束する。
ユースはルークさんを拘束すると、抱えたままエリーと共に空港へ飛んだ。
「あ! エリー殿下!いったいどこへ行ってらっしゃったのですか!?」
空港に戻ると、心配していた護衛達が駆け寄ってきた。
「ちょっとユースとデートしていただけよ。」
「お手数をおかけしました。それよりも……」ユースはルークを護衛たちに引き渡した。
「尋問の準備をお願いします。あ、身柄の扱いは丁重に。」
「こ、こいつは、K・K・Kのメンバー!?」
「そうですけど、いろいろと事情があるんです。」
尻込みする護衛たちにエリーが発破をかける。
「とにかく、とっとと準備しなさい!王女命令よ!!」
「は、はい!」やっぱり護衛たちはエリーには弱い。
エリーの部屋で、ユースとエリーによる尋問が始まった。
ルークは自白剤を飲まされているため、証言は信用できると思われる。
「あなたの名前、年齢、住所を教えてください。」ユースが問いかける。
「ルーク・J|《ジョセフ》・フランクリンです。年は二十二歳で、住所はニューアムステルダム州ニューアムステルダムうんぬんです。」ルークが答えた。
「なぜK・K・Kに入ったの?」とエリー。
「僕の意志ではないんです。」と語るルーク。
「えーっと、これは本当は言っちゃいけないんですけれどね?」
「もちろん言ってもらいますよ?」ユースがそう言い、エリーが銃を構えた。
「待って!待ってください!ちゃんと言いますって!!……僕はですね、K・K・Kの総裁の息子なんです。」
「「……え!?」」ユースとエリーの顔が曇った。
「僕の父親はK・K・K三代目総裁、ウィリアム・J・フランクリン。史上最高と言われている現在のリーダーです。」
「なるほど……。」まさかアメリゴ最大の秘密結社のトップの息子がこんなんだったとは。ユースはちょっと呆れた。
「それで、強制的に加入させられたわけ?」エリーが尋ねた。
「そうなんです……」ルークはしゅんとしてた。
「あの……僕は決して、黒人を差別した方がいいとか、そんなことは決して思っていませんからね!?」
「うんうん、それは聞いてれば分かるわよ。」エリーが優しくうなずく。
「ところで話は変わるが……なんかK・K・Kは企んでることってある?」とユースが聞いた。
「た、企んでいること!?」ルークの顔が青ざめた。
ユースは淡々と続ける。「そうだよ。後、今までやらかしたことも全部吐いてもらうから。」
「ユース、こんな下っ端が何か知ってるわけないでしょ?」エリーは端からルークの事など利用価値も怪しいと思っているご様子。
「い、いえ、一応しゃべります……。」そういうとルークはゆーっくりと語り始めた。
「その……現在最優先事項で行われていることが、『反逆者』ジェームズ・グランハン博士の拿捕なんですね。」
「「ジェームズが!?」」いきなり友人の名が出たので二人ともびっくりした。
「はい。グランハン氏は、黒人でありながら合衆国政府の要人であり、白人に対抗するために戦力を集めているとして、K・K・K内で指名手配されています。」
「まさか、あのエロジェームズがそんなことするわけないじゃない。」エリーはなぜかあざけるような声で言った。
「なるほど……あれ? もしかしたらジェームズの待遇って、実は悪くないんじゃない?」というユース。
「え、どういうこと?」とエリーが尋ねる。
ユースは内部通信を使って言った。(政府はジェームズの命が狙われていることを知ってて、わざわざアラベスクなんかに研究所を設置してジェームズをかくまったんじゃないの?)
(そうかしら? 単純に性格故の左遷だと思うけど。)とエリーが返した。
「あの~、もしかしてお二人は、グランハン氏とお知り合いなんですか?」
ユース「……あっ。」
エリー「? ……あっ。」
「ですよね!あの、もしよろしければグランハン氏の居場所教えてくれますか!?」
「あのね、尋問してるのはこっちなのよ! 勝手な発言は許さないわ!!」エリーがまた銃を構えると、ルークは「ヒィ~~~~~~!」と悲鳴を上げた。
「やれやれ……どうする? 記憶消して帰す?」
「まだよ。ほかに何を企んでるか聞かないと。さあ知っていることをすべて話しなさい!!」
「えーっと……あっそうだ。過去にクィーン・ヴィクトリア号を襲撃したり……」
「「はぁ!!?」」これには二人とも仰天した。二人とも椅子から飛び上がって武器を構えた。
「私のプライベートジェット襲ったのあんたたちなの!!?」「お前っっ!!それは許さんぞ!!」
ルークは過呼吸寸前になりながらもなんとか応答した。
「いや違うんす! 違うんすよ!! ヴィクトリア号を襲ったのは何というか……、K・K・Kの中でも異端というか……」
「エリーたちを襲ったのは誰?」ユースは何とか落ち着きを取り戻しながら、椅子に座りながら言った。
「確か、ショーン……さん?だったかな?」
「ショーン……!?」「おっと……これは……。」二人はその反逆者の名前を知っている。
なんと、ブリデラント王室のジェットを襲った首謀者、ショーンは、K・K・Kに加入していたのである。事件については第十六話から第十八話を参照。
「じゃあ、ショーンの取り巻きは?」エリーが尋ねた。「あ、確かその人たちもK・K・Kだったっすね。」
「やれやれ……ギート相手だけでなく、秘密結社とも面倒なことになるとは……」ユースがため息交じりに話す。
「はっ……!!」急にエリーの顔が青くなった。
「ど、どうしたの?」
「ユース!! あなた私を助けに来てくれた時、自然戦士を二人殺したわよね!?(第十八話を参照)」
「あ、うん……そうだよ。今でもたまに夢に出てくる嫌な思い出」「あの時一人取り逃したわよね!!?」
「……あ。」ユースの顔も青ざめた。
「おいルーク……さん!! ショーンと一緒に行動していた突風戦士って誰です!!?」
「えーっと、今存命のメンバーだと、テッドさんですかね。」ルークは真顔で答えた。
エリーの焦りのこもった指示が飛ぶ。「セバスチャン!! テッドってやつを調べて指名手配させなさい!!」
「はい、殿下!」セバスチャンと呼ばれた男は部屋を飛び出していった。
「まったく……一週間後には護衛の任務があるのに……ああ、そうだ。ほかにこれから企んでいることってありますか?」
「それはですね……僕にはあんまり聞かされてないですねー……。」
「そうか……」やっぱりルークに、重要機密事項を教える価値もないと、組織の上層部は思っているようだ。
「……あ! エリー、もうすっかり日暮れだ。ホテル用意してないよ!」
「何言っているのよ、ここに泊まればいいじゃない。」
「あ、その手があったな。」
「ということでユースは私と同じ部屋」「お手伝いさーん、僕一人で寝たいんですがー?」
「あの……僕はどうなるんです?」とルークが尋ねた。
「まあ記憶消して解放でしょうね。」とエリーが冷たく言った。
「ねえエリー、どうやって記憶消すの?」と問うユース。
「なあに、簡単なお仕事よ。」エリーは銃に何やらICカードをセットした。
「氷結銃・プラス・『変化~抹消』!」エリーは特殊な銃弾でルークの頭を撃った。
当たった銃弾は緑色のエフェクトを発生させると、そのまま消えた。
「……あれ?僕、こんなところで何をしているんでしたっけ?」二時間ほど記憶を消されたルークが周りをきょろきょろ見渡す。
「突然倒れたから介抱してあげたのよ。さあ、行きなさい。」そう言ってエリーは半ば強制的にルークを外に追い出した。
「……やれやれ。こんなんで謝肉祭を成功させられるのだろうか……」ユースは大きくため息をついた。
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