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雪玉クッキーと小さな雪だるま①
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真っ白な髪を持つ小さな少女は、期待で羽根をひらひらとさせ、シェリアの背中をじっと見つめていた。
先ほどシェリアがお菓子をつくり始める前に、隣に立っていた少年がお菓子を見せてくれたのだが、それは少女の探していたものだった。
どんな味か知りたくて、分けて欲しいとお願いしてみた。
けれど、少年は頑として首を縦に振らなかった。
それどころか、少年は、今、目の前にあるプロフィットロールの塔とこれからつくる雪玉みたいな菓子も回収したいくらいだと呟いた。
少年の目は笑ってなどいなくて、本気そのもの。
なんとなく、本当に回収されてしまいそうな予感がしたので、少女は押し黙った。
少年の方はというと、これは宴用につくったものなのだから回収しては駄目だし、これからつくる菓子は勿論少年の分もあるのだと、シェリアに説得されてしぶしぶ頷き、事なきを得た。
そんな光景のすぐ傍の調理台では、小麦粉や卵、牛乳などの材料が赤褐色の妖精によって積み重ねられている。
「……おなかすいた」
真っ白な髪を持つ少女が見つめている視線の先では、シェリアが作業の手を休めていた。
どうやら、生地をしばらく寝かせるらしい。
今か今かと夢中になって見つめていた作業が止まり、少女の興味は自然とプロフィットロールの塔へと向かう。
少女によって食べられてしまい、形が歪になってしまっているこの塔は、このあと出来上がる焼き菓子で形を補完されるとのこと。
つまり、もしも今、塔を形作っているパーツが多少減ったところで問題ないということだ。
羽根をひらひらとさせた少女が、ごくりと喉を鳴らした時──
「あと、少しなのだ」
「がまんした分、よろこびも、ひとしお」
「そうなのだ。おなかいっぱいになったら、食べられないのだ」
赤褐色の妖精が声で止めた。
少女が声がした方を向けば、宴に出される食べ物を用意する役目を担う赤褐色の妖精が三人、いつのまにか近くに座っていた。
確かに、探しにきたお菓子はもうすぐ出来るらしいし、それを待つのもいいかもしれない。
別に、仮に目の前に聳え立つプロフィットロールの塔をまるまる平らげたとしても、お腹は全然問題ないのだけれど、なんとなくあの少年が恐ろしそうなので、自重することにした。
それでも、名残惜しく、諦めがたく、少女の視線は無意識にプロフィットロールの塔へと向かう。
甘くて優しくて、どこか懐かしい味がしたのだ。
一体いつ食べたのか、何の味に似てるのかも、全く思い出せないけれど。
先ほどシェリアがお菓子をつくり始める前に、隣に立っていた少年がお菓子を見せてくれたのだが、それは少女の探していたものだった。
どんな味か知りたくて、分けて欲しいとお願いしてみた。
けれど、少年は頑として首を縦に振らなかった。
それどころか、少年は、今、目の前にあるプロフィットロールの塔とこれからつくる雪玉みたいな菓子も回収したいくらいだと呟いた。
少年の目は笑ってなどいなくて、本気そのもの。
なんとなく、本当に回収されてしまいそうな予感がしたので、少女は押し黙った。
少年の方はというと、これは宴用につくったものなのだから回収しては駄目だし、これからつくる菓子は勿論少年の分もあるのだと、シェリアに説得されてしぶしぶ頷き、事なきを得た。
そんな光景のすぐ傍の調理台では、小麦粉や卵、牛乳などの材料が赤褐色の妖精によって積み重ねられている。
「……おなかすいた」
真っ白な髪を持つ少女が見つめている視線の先では、シェリアが作業の手を休めていた。
どうやら、生地をしばらく寝かせるらしい。
今か今かと夢中になって見つめていた作業が止まり、少女の興味は自然とプロフィットロールの塔へと向かう。
少女によって食べられてしまい、形が歪になってしまっているこの塔は、このあと出来上がる焼き菓子で形を補完されるとのこと。
つまり、もしも今、塔を形作っているパーツが多少減ったところで問題ないということだ。
羽根をひらひらとさせた少女が、ごくりと喉を鳴らした時──
「あと、少しなのだ」
「がまんした分、よろこびも、ひとしお」
「そうなのだ。おなかいっぱいになったら、食べられないのだ」
赤褐色の妖精が声で止めた。
少女が声がした方を向けば、宴に出される食べ物を用意する役目を担う赤褐色の妖精が三人、いつのまにか近くに座っていた。
確かに、探しにきたお菓子はもうすぐ出来るらしいし、それを待つのもいいかもしれない。
別に、仮に目の前に聳え立つプロフィットロールの塔をまるまる平らげたとしても、お腹は全然問題ないのだけれど、なんとなくあの少年が恐ろしそうなので、自重することにした。
それでも、名残惜しく、諦めがたく、少女の視線は無意識にプロフィットロールの塔へと向かう。
甘くて優しくて、どこか懐かしい味がしたのだ。
一体いつ食べたのか、何の味に似てるのかも、全く思い出せないけれど。
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