57 / 62
法術師と言う存在
第57話 宿命
しおりを挟む
「どうやら休憩を取られているみたいですわね」
にこやかな表情で会議室に現れたのは遼州同盟司法局、法術特捜主席捜査官、嵯峨茜警視正だった。
「おお、茜。お前も食うか?」
「お父様。ワタクシはちゃんとお夕食はいただきましたの」
そう言うと彼女は誠を見つめた。
「ちょっと神前曹長の提出した資料についてお話がありますの。よろしくて?」
茜の微笑みに父である嵯峨は何かを訴えたいと言うような視線を誠に送ってくる。
「おい!こいつの資料になんか文句でもあるのか?」
かなめは明らかに怒りを前面に出して茜に迫る。それを軽く受け流すような微笑をたたえて茜は誠を見つめる。
「ああ、良いですよ。なにか……」
「よろしいみたいですわね。じゃあかなめお姉さまと……」
「私も行こう」
茜の視線を見つけてカウラも立ち上がる。
「食べかけだよ!どうするの?」
「グリファン中尉。それほどお時間は取らせませんわ。とりあえずラップでもかけておいて下さいな」
そう言うと立ち上がった誠とかなめ、そしてカウラをつれて茜は部屋を出る。
「本当にちょっと見ていただければ良いだけですの」
そう言うとそのまま仮住まいの法術特捜本部と手書きの札の出ている部屋へと入る。
「ああ、警視正!」
部屋ではお茶を飲みながら端末の画面を覗き込んでいる捜査官補佐カルビナ・ラーナ巡査が座っていた。
「ラーナ。どうなの」
茜のそれまでの上品そうな言葉が急に鋭く棘のあるものに変わる。かなめはそれをニヤニヤと笑いながら見つめていた。
「やはり間違いないっすね」
真剣な顔のラーナにそれまでふざけていたかなめの顔が一瞬で切り替わる。
「アタシも気づいていたけどやっぱりか」
「どういうことだ?」
カウラの言葉にかなめは画面を指差した。そこには奇妙な死体が映されていた。
「こんなのあったんですか?」
その白骨死体を見ても誠はいまひとつピントこなかった。そんな誠を茜とカウラは呆れたような視線で見つめる。
「しょうが無いじゃないか、こんなの珍しくも無い死体なん……?」
誠をかばおうとしていたカウラもその白骨死体の画像に引き込まれて黙り込んだ。
「模型じゃないですよね。これ」
自分が整理した資料だったが誠には覚えが無かった。だがその白骨死体はこうしてそれだけを目にするとその奇妙さがはっきりと分かるほどのものだった。
それは普通の白骨死体ではなくミイラ化した死体であることに気づいた。それと同時に眼孔の奥に見える目玉だけがまるで生きているように輝いているのが分かる。
「お気づきですか、神前さん」
穏やかな茜の言葉。誠はこの死体の発見された連続放火事件の詳細について思い出そうとしていた。
「ちょっと検死の結果を見せろよ」
かなめはそう言って助手を気取ってモニターの前に座っているラーナの頭を小突く。彼女は少し不服そうな顔をするが、茜が頷くのを見るとキーボードを叩いた。
「この死体の特異性はその脳の水分の分布状況にあるんすよ。大脳の水分はほぼ蒸発しているのに小脳や延髄の細胞には一切の異常がなかったんす」
画面には脳のレントゲン、CT、MRIや実際の解剖しての断面図までが表示された。この画像に次第に先ほどまで食べていたどんぶりモノの中身が逆流しそうになって誠は口を押さえる。
「何びびってんだよ」
そう言いながらかなめはそのまま横からラーナのキーボードを奪って断面図を拡大させる。
「これが噂の法術暴走か」
ぽつりとカウラがつぶやく。その言葉に要は画面の前の顔をカウラに向けた。明らかに呆れたようなかなめの顔を見てカウラは自分が言ったことの意味を気づいて誠を見つめる。
「法術暴走?それってこの前の『同盟厚生局事件』で見られた……」
手足の感覚がなくなっているのを誠は感じていた。画像の中の輪切りの脳みそ。ほとんど持ち主が生きていた時代の姿を残していない奇妙な肉塊にしか見えないそれと、自分の視野だけがつながっているように感じる。誠は力が抜けてそのまま上体がぐるぐると回るような気分になる。
「おい、大丈夫か?」
そう言って誠の額に手を当てたかなめはすぐに茜をすごむような視線でにらみつけた。
「お姉さま。落ち着いていただけませんか?」
茜は表情を殺したような顔でかなめを見つめ返す。しばらく飛び掛りそうな顔を見せていたかなめも次第に体の力を抜いてそのまま近くの狭苦しい部屋には不釣合いな応接用のソファーに体を投げ出す。
「神前。お前もいつかこうなるかも知れねえってことだ」
かなめはそう言うといらいらした様に足をばたばたとさせる。誠は画面の肉の塊から必死になって視線を引き剥がす。その先のカウラは一瞬困ったような顔をした後、すぐに目をそらした。
「力を持つ。人に無いものを持つ。その代償がどう言うものかそれを知ることも必要ですから」
そう言って茜はまだ子供のように足をばたつかせているかなめをにらみつけた。かなめもさすがに自分の児戯に気づいたのか静かに上体を起こしてひざの上に手を組んでその上に顔を乗せた。
「だけど今なんでこういうものを見せるんだ、こいつに」
かなめのタレ目の視線がいつもの棘はあるが憎めないようなものに戻る。それを見ると茜はかなめの前のソファーに腰を下ろした。
「ベルガー大尉。神前さん。おかけになられてはどう?」
その言葉にカウラは神前の肩を叩く。我に返った誠はカウラにの隣、茜の斜め左側に腰を下ろした。
「それではうかがいますが、お二人に神前曹長がこうなる前に手を打てる自信はありますの?」
優雅に湯飲みに手をやる茜を誠は見つめていた。異常な発汗は続いている。そして自分がいつかはその死体と同じ運命をたどるかと思うと体の力が抜けていく。
「神前さんを助けることが出来るのですか?もしこうなる状態にまで追い込まれたとして」
その穏やかな表情に似合わぬ強い語気に誠は茜が間違いなく嵯峨の娘であることを確認した。
「それは……」
カウラはうろたえ気味に言葉に詰まる。
「そこが知りてえんじゃねえよ!アタシは何で今頃……」
「かなめお姉さま!」
今度はその笑顔が言葉とともに茜から消える。
「ねえよ、そんな自信は……」
そう言ってかなめは端末のキーボードを叩くラーナに目をやる。
「それではお二人ともいざと言うときは神前さんを見殺しにするおつもりだと?力に、法術に取り込まれて我を失って暴走して自滅する誠さんを……」
「んなこと言ってねえだろ!」
かなめはテーブルを叩いた。テーブルがひしゃげなかったのが不思議なほどの大音響にそれまで淡々とモニターを覗いているだけだったラーナもかなめの方を向いた。
「できるだけ神前曹長には力を使わせないような作戦を取るように心がけている、それに……」
「事実としてはこれまで二回、神前さんの力のおかげで助けられていますわね、お二人とも」
そんな茜の穏やかな言葉にかなめとカウラは押し黙る。
誠は黙って話を聞いていた。恐らくは連続放火事件の犯人である発火能力、パイロキネシスの使い手の法術暴走による自滅した慣れの果てのミイラ。それが自分にも訪れるかもしれない未来だと思えば次第に震えだす足の意味も良く分かってきた。
「じゃあ、どうしろっていうんだ?それに法術暴走の可能性ならオメエにもあるだろ?」
ようやく話の糸口を見つけたかなめの言葉を聞いても茜はにっこりと笑っている。
「そうですわね。私にも起こりうる出来事には違いありませんわ。でもそれを覚悟しているか、知らずに境界を踏み越えて自滅するか。私なら覚悟をする方を選びたいと思っています」
そう言うと茜はラーナを見つめた。その目に反応するようにラーナはそのまま戸棚の紅茶セットに向かおうとする。
「そんなにここに長居する気はねえよ」
再びソファーに体を投げたかなめを見てラーナは手を止めた。
にこやかな表情で会議室に現れたのは遼州同盟司法局、法術特捜主席捜査官、嵯峨茜警視正だった。
「おお、茜。お前も食うか?」
「お父様。ワタクシはちゃんとお夕食はいただきましたの」
そう言うと彼女は誠を見つめた。
「ちょっと神前曹長の提出した資料についてお話がありますの。よろしくて?」
茜の微笑みに父である嵯峨は何かを訴えたいと言うような視線を誠に送ってくる。
「おい!こいつの資料になんか文句でもあるのか?」
かなめは明らかに怒りを前面に出して茜に迫る。それを軽く受け流すような微笑をたたえて茜は誠を見つめる。
「ああ、良いですよ。なにか……」
「よろしいみたいですわね。じゃあかなめお姉さまと……」
「私も行こう」
茜の視線を見つけてカウラも立ち上がる。
「食べかけだよ!どうするの?」
「グリファン中尉。それほどお時間は取らせませんわ。とりあえずラップでもかけておいて下さいな」
そう言うと立ち上がった誠とかなめ、そしてカウラをつれて茜は部屋を出る。
「本当にちょっと見ていただければ良いだけですの」
そう言うとそのまま仮住まいの法術特捜本部と手書きの札の出ている部屋へと入る。
「ああ、警視正!」
部屋ではお茶を飲みながら端末の画面を覗き込んでいる捜査官補佐カルビナ・ラーナ巡査が座っていた。
「ラーナ。どうなの」
茜のそれまでの上品そうな言葉が急に鋭く棘のあるものに変わる。かなめはそれをニヤニヤと笑いながら見つめていた。
「やはり間違いないっすね」
真剣な顔のラーナにそれまでふざけていたかなめの顔が一瞬で切り替わる。
「アタシも気づいていたけどやっぱりか」
「どういうことだ?」
カウラの言葉にかなめは画面を指差した。そこには奇妙な死体が映されていた。
「こんなのあったんですか?」
その白骨死体を見ても誠はいまひとつピントこなかった。そんな誠を茜とカウラは呆れたような視線で見つめる。
「しょうが無いじゃないか、こんなの珍しくも無い死体なん……?」
誠をかばおうとしていたカウラもその白骨死体の画像に引き込まれて黙り込んだ。
「模型じゃないですよね。これ」
自分が整理した資料だったが誠には覚えが無かった。だがその白骨死体はこうしてそれだけを目にするとその奇妙さがはっきりと分かるほどのものだった。
それは普通の白骨死体ではなくミイラ化した死体であることに気づいた。それと同時に眼孔の奥に見える目玉だけがまるで生きているように輝いているのが分かる。
「お気づきですか、神前さん」
穏やかな茜の言葉。誠はこの死体の発見された連続放火事件の詳細について思い出そうとしていた。
「ちょっと検死の結果を見せろよ」
かなめはそう言って助手を気取ってモニターの前に座っているラーナの頭を小突く。彼女は少し不服そうな顔をするが、茜が頷くのを見るとキーボードを叩いた。
「この死体の特異性はその脳の水分の分布状況にあるんすよ。大脳の水分はほぼ蒸発しているのに小脳や延髄の細胞には一切の異常がなかったんす」
画面には脳のレントゲン、CT、MRIや実際の解剖しての断面図までが表示された。この画像に次第に先ほどまで食べていたどんぶりモノの中身が逆流しそうになって誠は口を押さえる。
「何びびってんだよ」
そう言いながらかなめはそのまま横からラーナのキーボードを奪って断面図を拡大させる。
「これが噂の法術暴走か」
ぽつりとカウラがつぶやく。その言葉に要は画面の前の顔をカウラに向けた。明らかに呆れたようなかなめの顔を見てカウラは自分が言ったことの意味を気づいて誠を見つめる。
「法術暴走?それってこの前の『同盟厚生局事件』で見られた……」
手足の感覚がなくなっているのを誠は感じていた。画像の中の輪切りの脳みそ。ほとんど持ち主が生きていた時代の姿を残していない奇妙な肉塊にしか見えないそれと、自分の視野だけがつながっているように感じる。誠は力が抜けてそのまま上体がぐるぐると回るような気分になる。
「おい、大丈夫か?」
そう言って誠の額に手を当てたかなめはすぐに茜をすごむような視線でにらみつけた。
「お姉さま。落ち着いていただけませんか?」
茜は表情を殺したような顔でかなめを見つめ返す。しばらく飛び掛りそうな顔を見せていたかなめも次第に体の力を抜いてそのまま近くの狭苦しい部屋には不釣合いな応接用のソファーに体を投げ出す。
「神前。お前もいつかこうなるかも知れねえってことだ」
かなめはそう言うといらいらした様に足をばたばたとさせる。誠は画面の肉の塊から必死になって視線を引き剥がす。その先のカウラは一瞬困ったような顔をした後、すぐに目をそらした。
「力を持つ。人に無いものを持つ。その代償がどう言うものかそれを知ることも必要ですから」
そう言って茜はまだ子供のように足をばたつかせているかなめをにらみつけた。かなめもさすがに自分の児戯に気づいたのか静かに上体を起こしてひざの上に手を組んでその上に顔を乗せた。
「だけど今なんでこういうものを見せるんだ、こいつに」
かなめのタレ目の視線がいつもの棘はあるが憎めないようなものに戻る。それを見ると茜はかなめの前のソファーに腰を下ろした。
「ベルガー大尉。神前さん。おかけになられてはどう?」
その言葉にカウラは神前の肩を叩く。我に返った誠はカウラにの隣、茜の斜め左側に腰を下ろした。
「それではうかがいますが、お二人に神前曹長がこうなる前に手を打てる自信はありますの?」
優雅に湯飲みに手をやる茜を誠は見つめていた。異常な発汗は続いている。そして自分がいつかはその死体と同じ運命をたどるかと思うと体の力が抜けていく。
「神前さんを助けることが出来るのですか?もしこうなる状態にまで追い込まれたとして」
その穏やかな表情に似合わぬ強い語気に誠は茜が間違いなく嵯峨の娘であることを確認した。
「それは……」
カウラはうろたえ気味に言葉に詰まる。
「そこが知りてえんじゃねえよ!アタシは何で今頃……」
「かなめお姉さま!」
今度はその笑顔が言葉とともに茜から消える。
「ねえよ、そんな自信は……」
そう言ってかなめは端末のキーボードを叩くラーナに目をやる。
「それではお二人ともいざと言うときは神前さんを見殺しにするおつもりだと?力に、法術に取り込まれて我を失って暴走して自滅する誠さんを……」
「んなこと言ってねえだろ!」
かなめはテーブルを叩いた。テーブルがひしゃげなかったのが不思議なほどの大音響にそれまで淡々とモニターを覗いているだけだったラーナもかなめの方を向いた。
「できるだけ神前曹長には力を使わせないような作戦を取るように心がけている、それに……」
「事実としてはこれまで二回、神前さんの力のおかげで助けられていますわね、お二人とも」
そんな茜の穏やかな言葉にかなめとカウラは押し黙る。
誠は黙って話を聞いていた。恐らくは連続放火事件の犯人である発火能力、パイロキネシスの使い手の法術暴走による自滅した慣れの果てのミイラ。それが自分にも訪れるかもしれない未来だと思えば次第に震えだす足の意味も良く分かってきた。
「じゃあ、どうしろっていうんだ?それに法術暴走の可能性ならオメエにもあるだろ?」
ようやく話の糸口を見つけたかなめの言葉を聞いても茜はにっこりと笑っている。
「そうですわね。私にも起こりうる出来事には違いありませんわ。でもそれを覚悟しているか、知らずに境界を踏み越えて自滅するか。私なら覚悟をする方を選びたいと思っています」
そう言うと茜はラーナを見つめた。その目に反応するようにラーナはそのまま戸棚の紅茶セットに向かおうとする。
「そんなにここに長居する気はねえよ」
再びソファーに体を投げたかなめを見てラーナは手を止めた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. )
あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。
この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。
パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!
ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
あめの みかな
ファンタジー
教会は、混沌の種子を手に入れ、神や天使、悪魔を従えるすべを手に入れた。
後に「ラグナロクの日」と呼ばれる日、先端に混沌の種子を埋め込んだ大陸間弾道ミサイルが、極東の島国に撃ち込まれ、種子から孵化した神や天使や悪魔は一夜にして島国を滅亡させた。
その際に発生した混沌の瘴気は、島国を生物の住めない場所へと変えた。
世界地図から抹消されたその島国には、軌道エレベーターが建造され、かつての首都の地下には生き残ったわずかな人々が細々とくらしていた。
王族の少年が反撃ののろしを上げて立ち上がるその日を待ちながら・・・
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる