51 / 69
銃と女
第51話 アストラM903
しおりを挟む
「それでは私の銃を……」
カウラの言葉が聞こえて誠が振り返ると、カウラの左脇腹に大きな木製の物体がぶら下がっているのが見えた。
「あのー……カウラさん。それ……なんですか?」
誠は少し呆れながらそうつぶやいた。明らかにそれは拳銃と呼ぶには大きすぎる代物だった。
「これはショルダーストックだ」
カウラはそう言って木製のホルスターらしいものから銃を引き抜いた。
その独特の長いバレルとバレルの下に伸びたマガジンは誠にも見たことのある銃の姿をしていた。
「それ『モーゼル』ですね!僕も知ってます!」
初めて見たことがある拳銃を見て誠はそれなりに興奮した。
「いや、違うな……これはあの『モーゼルC96』では無い」
カウラは得意げにそう言うとその大型拳銃を誠にかざして見せる。
「じゃあなんなんですか?」
少し嫌な予感がして誠はしぶしぶそう尋ねた。
「これは『アストラM903』!あの『どんな拳銃でもフルオートにしてしまう国』スペインの生んだマシンピストルだ!」
誇らしげにカウラはそう言うと銃をわざと横向きに構えて射場に立った。
すさまじい連射速度でカウラは射撃を行った。圧倒的な弾幕に誠は驚かされつつかなめの方に目をやった。
明らかにかなめは死んだ目をしてその様子を眺めていた。
「『馬賊撃ち』ねえ……こんなもん役に立つかよ」
再びかなめは辛口な批評をかました。
「西園寺は馬鹿だからな。これで時間を稼いだ後……」
カウラはショルダーストックを肩から外してそのままM903のグリップに固定する。そしてマガジンを入れ替えて再び銃を構えた。
一発一発狙いすましたようにはるか遠くの的に、的確に当てていくカウラを見て誠は手を叩いて称賛した。
「圧倒的な近接戦闘能力。そしてこのストックを利用しての精密射撃……まさに『馬賊』の銃!」
「アタシ等はいつ『馬賊』に転職したんだ?遼州星系はいつから『満州』になったんだ?」
乗りに乗るカウラにかなめは淡々とそう言って立ち尽くした。
「誠ちゃん……」
二人のやり取りに呆れていた誠の肩をアメリアがそっと叩いた。
「カウラちゃんは私達『ラスト・バタリオン』の中でも後期生産型だから……銃を持つとテンションが変わるのよ」
アメリアのフォローに誠は静かにうなづきながら誠はカウラを冷ややかな目で見つめていた。
カウラの言葉が聞こえて誠が振り返ると、カウラの左脇腹に大きな木製の物体がぶら下がっているのが見えた。
「あのー……カウラさん。それ……なんですか?」
誠は少し呆れながらそうつぶやいた。明らかにそれは拳銃と呼ぶには大きすぎる代物だった。
「これはショルダーストックだ」
カウラはそう言って木製のホルスターらしいものから銃を引き抜いた。
その独特の長いバレルとバレルの下に伸びたマガジンは誠にも見たことのある銃の姿をしていた。
「それ『モーゼル』ですね!僕も知ってます!」
初めて見たことがある拳銃を見て誠はそれなりに興奮した。
「いや、違うな……これはあの『モーゼルC96』では無い」
カウラは得意げにそう言うとその大型拳銃を誠にかざして見せる。
「じゃあなんなんですか?」
少し嫌な予感がして誠はしぶしぶそう尋ねた。
「これは『アストラM903』!あの『どんな拳銃でもフルオートにしてしまう国』スペインの生んだマシンピストルだ!」
誇らしげにカウラはそう言うと銃をわざと横向きに構えて射場に立った。
すさまじい連射速度でカウラは射撃を行った。圧倒的な弾幕に誠は驚かされつつかなめの方に目をやった。
明らかにかなめは死んだ目をしてその様子を眺めていた。
「『馬賊撃ち』ねえ……こんなもん役に立つかよ」
再びかなめは辛口な批評をかました。
「西園寺は馬鹿だからな。これで時間を稼いだ後……」
カウラはショルダーストックを肩から外してそのままM903のグリップに固定する。そしてマガジンを入れ替えて再び銃を構えた。
一発一発狙いすましたようにはるか遠くの的に、的確に当てていくカウラを見て誠は手を叩いて称賛した。
「圧倒的な近接戦闘能力。そしてこのストックを利用しての精密射撃……まさに『馬賊』の銃!」
「アタシ等はいつ『馬賊』に転職したんだ?遼州星系はいつから『満州』になったんだ?」
乗りに乗るカウラにかなめは淡々とそう言って立ち尽くした。
「誠ちゃん……」
二人のやり取りに呆れていた誠の肩をアメリアがそっと叩いた。
「カウラちゃんは私達『ラスト・バタリオン』の中でも後期生産型だから……銃を持つとテンションが変わるのよ」
アメリアのフォローに誠は静かにうなづきながら誠はカウラを冷ややかな目で見つめていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
悠久の機甲歩兵
竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。
※現在毎日更新中
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる