特殊装甲隊 ダグフェロン 第一部 蘇る火付盗賊改方 (ひつけとうぞくあらためかた) とは……殺人許可書を持つ「特殊な部隊」

橋本 直

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第一印象が大事

趣味こそ人格と『隊長』が言った

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「失礼します……」

 そう言いながら誠は『隊長室』の扉を開けた。

「待ってたよ……」

 そう言ってタバコを吸う嵯峨。二枚目の25歳風に見える美男子ではあるが、実年齢46歳と言う事実と、その眠そうな目つきと手にしたエロ関係の雑誌(今も明らかにエロ系グラビア)を机に置いてすべてを台無しにしている『特殊な部隊』の隊長はニヤニヤ口元に笑みを浮かべながら隊長の巨大な机に座っていた。

「本当にいるんですね……早朝は割引になるそうですよ。隊長が好きそうな店」

 誠はとりあえずランのように『駄目人間』と言い切ってしまう事は出来ずにそう言ってみた。

「それは……俺を理解する話題としては正しいと思うが……勉強が足りないな。そんなの常識だよ。『童貞』お前だって知ってるくらいだ」

 はっきりそう言い切って嵯峨はタバコをふかした。

「それ以上は……」

 誠はそう言って真赤になった。

「俺ぐらいそっち系に明らかにエロをはっきり主張しているのは……珍しいな。どうやら……珍しいわ。うん、珍しい」

 そう言ってタバコを置かれたマックスコーヒーの缶に吸殻を落とした嵯峨はうなづきつつ腕組みをする。

「まあ、エロをオープンにしている人は隊長ぐらい……」

 そう言いかけたとき、嵯峨は突然、誠に向けて何かを言うように口を動かした。

「『ア〇〇〇』いいや。そいつはエロにおいて、お前と同じ方法で発散して、うちの『お笑い事務所』の部長をしている」

 そのまま同じ口の動かし方で誠でもわかるように『アメ……』と言って残りに何か言いかけたふりをする嵯峨だった。

「そんな『ア』が頭について、お笑い芸人がいっぱいいる部長ってアメリアさんぐらいじゃないですか……僕は禿ヅラかぶったキャラが変態行為をするエロアプリは……趣味が合いません!」

 そう言いきって誠はニンマリと誠の顔を見つめつつ嫌らしい笑いを浮かべる嵯峨を見つけた。

「見たんだ……何?どんなので抜いてるの?たぶん、あの女芸人の誰かがかぶってるから……。アメリアの台本で、お前さんがキャラと戦車を描いて、あとなんかお笑いを交えて、エロけりゃ売れるよ……その企画だけで『エロ』の伝説になれる……そして……」

 誠は自分の隠さなければならない癖、『戦車』と『美少女』に非常に弱く。しかも、『萌え萌え』なオリジナル美少女キャラを描くのが大得意だという事実を嵯峨が知っていることに気がついた。

「そう言う風に人を理解するのもアリなんだ……俺流の人間理解法……『エロ』だけで……相手を理解できた……ってわけ」

 そう言って不敵に笑う嵯峨だが、誠は明らかに自分や部下達に対する嵯峨の理解が『エロ』に関することだけであることに気が付いた。

 そして、目の前の若く見えるだけの中年男が、本格的『駄目人間』であることに気が付いた。
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