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社会人の日常を晒してみた
武装警察の日常 昼飯編 (下)
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誠がカレーライスのルーの中に具が入っているかどうか、スプーンでかき回して確認していると、ため息が聞こえてきた。
顔を上げた誠はすぐにこのため息の主は、この部屋のトップである『人類最強』こと、クバルカ・ラン中佐であることが分かった。
「駄目だ。蕎麦は色々試したが、今回で分かった。蕎麦は駄目だ。少なくともここに出前を出している店はどれも駄目」
ランはそう言うと半分死んだ表情で蕎麦を啜った。その様子をうなづきながら見つめていたかなめが口の中のものを飲み下すと、いつの間にか手にしていた缶入りの日本茶を飲んで一息ついて口を開いた。
「んなもん決まってるわな。蕎麦は『つきたて、打ちたて、茹でたて』って決まってんだ……豊川工場抜けてる間に伸びるわ……当たりめえだ」
そう言ってかなめは自分のどんぶりに取り掛かる。誠は具に期待することをあきらめてカレーを食べ始めた。
「次回は私か」
そう言ったカウラの机の前を見る。5分しか経っていないのに、すでにそのお重の中身はカウラの消化器の中に消えていた。
「ピザとかハンバーガーとかは止めとけ、アタシはあー言うの食わねーんだ。それ食うぐれーなら、コンビニで麺類買って持ってくるから」
誠がカウラの早食いに驚いている視線の向こうで、蕎麦の残りをどうするか悩みながらランがそう言った。
ゴトンとどんぶりを叩きつけるような音がかなめの席の付近からしたので、誠は驚いてそちらに顔を向けた。
「アタシなら……そうだな。うちご用達の『沖縄料理、みやこ』の一択だな」
これもまた尋常でない速度で食べ終えたかなめがそう言った。
「あそこは出前やっていないぞ」
カウラがこれもいつの間にか取り出したコーラのペットボトルを飲む合間にそう言った。
「なあに、島田をこれで脅せば一発。アイツ直下の兵隊がなんとかするだろ……ふっふっふっ……」
ニヤニヤ笑いながらかなめはショルダーホルスターの銃を抜く。誠は三人の顔芸に付き合っても意味がないと思ってカレーを食べることに集中した。
「撃つなよ……頼むから撃たないでくれよ……」
さすがにいかにも撃ちそうな雰囲気をかなめが放っているのだろう。カウラが心配そうにそう言った。
「島田の馬鹿は、撃っても復活するから大丈夫。フルメタルジャケット弾で手のひらとか撃てば……ほら、貫通するから。摘出とかの手間がかからない。アイツならすぐ再生するだろうからあとは何もなかったようになる。おびえたアイツと、おびえたアイツの兵隊。そして弾が当たった壁が残るだけ。コンクリで跡を消して、口裏合わせるという事で結局は目的は……果たせる」
かなめのとんでもない謀略に、プラナリア並みの生命力を持っていても不思議ではない島田の行く末を心配しながら誠はカレーを混ぜながら口に運んだ。
「そうか、島田を脅せば何でもありなんだな」
今度は機動部隊長であり、本来ならかなめの危ない発言を止めてしかるべき地位にあるランがとんでもないことを言い出す。
「じゃあ、島田の兵隊で、ここの近くに下宿している連中から、一番おいしい店を上げさせて、上位10位から選びます」
カウラは完全に島田がこの三人に怯えていることを前提に話を進める。
誠はまだここに残ると言う決断をとりあえず言うのはまだ先にしようと思いながらまずくて具の無いカレーをスプーンで口に運んだ。
顔を上げた誠はすぐにこのため息の主は、この部屋のトップである『人類最強』こと、クバルカ・ラン中佐であることが分かった。
「駄目だ。蕎麦は色々試したが、今回で分かった。蕎麦は駄目だ。少なくともここに出前を出している店はどれも駄目」
ランはそう言うと半分死んだ表情で蕎麦を啜った。その様子をうなづきながら見つめていたかなめが口の中のものを飲み下すと、いつの間にか手にしていた缶入りの日本茶を飲んで一息ついて口を開いた。
「んなもん決まってるわな。蕎麦は『つきたて、打ちたて、茹でたて』って決まってんだ……豊川工場抜けてる間に伸びるわ……当たりめえだ」
そう言ってかなめは自分のどんぶりに取り掛かる。誠は具に期待することをあきらめてカレーを食べ始めた。
「次回は私か」
そう言ったカウラの机の前を見る。5分しか経っていないのに、すでにそのお重の中身はカウラの消化器の中に消えていた。
「ピザとかハンバーガーとかは止めとけ、アタシはあー言うの食わねーんだ。それ食うぐれーなら、コンビニで麺類買って持ってくるから」
誠がカウラの早食いに驚いている視線の向こうで、蕎麦の残りをどうするか悩みながらランがそう言った。
ゴトンとどんぶりを叩きつけるような音がかなめの席の付近からしたので、誠は驚いてそちらに顔を向けた。
「アタシなら……そうだな。うちご用達の『沖縄料理、みやこ』の一択だな」
これもまた尋常でない速度で食べ終えたかなめがそう言った。
「あそこは出前やっていないぞ」
カウラがこれもいつの間にか取り出したコーラのペットボトルを飲む合間にそう言った。
「なあに、島田をこれで脅せば一発。アイツ直下の兵隊がなんとかするだろ……ふっふっふっ……」
ニヤニヤ笑いながらかなめはショルダーホルスターの銃を抜く。誠は三人の顔芸に付き合っても意味がないと思ってカレーを食べることに集中した。
「撃つなよ……頼むから撃たないでくれよ……」
さすがにいかにも撃ちそうな雰囲気をかなめが放っているのだろう。カウラが心配そうにそう言った。
「島田の馬鹿は、撃っても復活するから大丈夫。フルメタルジャケット弾で手のひらとか撃てば……ほら、貫通するから。摘出とかの手間がかからない。アイツならすぐ再生するだろうからあとは何もなかったようになる。おびえたアイツと、おびえたアイツの兵隊。そして弾が当たった壁が残るだけ。コンクリで跡を消して、口裏合わせるという事で結局は目的は……果たせる」
かなめのとんでもない謀略に、プラナリア並みの生命力を持っていても不思議ではない島田の行く末を心配しながら誠はカレーを混ぜながら口に運んだ。
「そうか、島田を脅せば何でもありなんだな」
今度は機動部隊長であり、本来ならかなめの危ない発言を止めてしかるべき地位にあるランがとんでもないことを言い出す。
「じゃあ、島田の兵隊で、ここの近くに下宿している連中から、一番おいしい店を上げさせて、上位10位から選びます」
カウラは完全に島田がこの三人に怯えていることを前提に話を進める。
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