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人類最強のちっちゃいエースとの遭遇
味噌とたらの白子と冷奴と酒
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握手が終わり、呆然とした表情で目の前のちっちゃな女の子を見下ろした。
どう見ても育ちの悪い雌ガキにしか見えない。
「理解できないのはわからねーわけでもない。テメーみたいな落ちこぼれ、どうしてオメーみたいな落ちこぼれを必要とする部隊があったかってことだろ?」
腕組みをしてただ立ち尽くす誠をにらみつけながらランは言う。
「あのー『特殊な部隊』って、幼女趣味の変態が喜ぶんですか?その人達。僕、そう言う趣味は無いんで」
『特殊な部隊』と言われて、そう言う意味で性癖が『特殊』なのかと思い口に出してみた。
「うーん。ショタなら運航部の部長がそうだぞ。幼女趣味は………」
ランは急にとんでもないことを言いながら天井を見回す。誠は呆然と立ちつくす。
ゆったりとした時が流れる。ホトトギスのSEが流れるくらいのおまぬけな空間。
ランは気が付いたように誠を見つめ。大きくため息をついた。
「そこはツッコミだろ?笑いの分からねー奴だな……。脳みそ、八丁味噌でも入ってんじゃねーか。無能な上に空気を読めなきゃ、組織じゃ出世できねーぞ。まーおつむに醗酵する別の味噌でも入ってんなら、開けて食えるからいーけどよ。世の中、組織って奴は厳しーんだよ」
誠の前で呆れたというポーズをとる。
「クバルカ中佐ですよね、貴女は」
もう一度繰り返すように誠は言った。
ランは呆れたように真面目な顔をして誠を見上げる。
「アタシはクバルカ・ラン中佐。あの長い長い遼南内戦でアタシの国が負けたのは、アタシが落ちたからだ。だけどよー、そんな過去いーどーでもいーじゃねーか。過去なんか気にすんな。目の前のリアルを信じろ。アタシはクバルカ・ラン中佐だ。そして、こーしてオメーを迎えに来た。それだけは事実なんだ」
「リアル……事実……」
誠はランの言葉を繰り返しながら立ち尽くす。
「目の前のリアル、現実を信じろってことだ」
「で、無能なただでかいだけの落ちこぼれ。オメーここでさっきから何してる?おちょくられて気分が悪りーか?だったらちゃんとつっこめ」
馬鹿にするのは飽きた。そんな感じで笑顔に切り替えた少女がそう言った。
「でも、その『特殊な部隊』にそんな英雄がいるんですか……」
とりあえず、目の前の少女が只者でないことだけは分かったので、誠は丁寧にそう言った。
そして、誠に背を向けてランは歩き出す。
「ついてこい、車に乗せてやんよ。麦味噌が詰まってるおめーにゃ、不向きな後部座席に乗せてやんよ。ああ、味噌だから、トランクが向いてるか。ポリ公に見つかっても、味噌でごまかせるからな。そーしてやんよ。それがいーや」
ほとんど味噌扱いされながらもランを見失わないように誠は走り出した。
ランは超高級のドイツ製の車の運転席のドアに手を掛ける。
「僕は……」
ランの言葉を真に受けて、誠は後部のトランクの前で立っている。
「味噌は味噌でも高級味噌みたいだな。あの駄目人間……が、必要なんだと。あの脳ピンク、味噌汁でも作るんじゃねーか?高級品だから後部座席だ。乗れよ」
まるでやくざの親分が乗るような高級外車である。左側の後部座席のドアが自然と開いた。
誠が乗り込んだところで自然にドアが閉まる。
「ドイツ製高級外車だ珍しくもなんともねーよ。あと一つ言っておく。人の過去は詮索するもんじゃねー。テメーの過去を詮索する権利なんざ誰にもねーよ。それがわかりゃー……味噌頭であるオメーの味噌が変わるんだ……」
ランはそう言いながら、左のコンソールに移る後部の風景を確認する。
誠はその見事な運転に感心していた。そしてちょっとどういう反応をするのか聞いてみたいことがあった。
「味噌じゃなくて、何になるんですか?」
ちょっと聞いてみた。ランは見事な運転を見せながら、地下駐車場の出口に車を進める。
「タラの白子にポン酢かけた奴か……アタシは好きだぜ。あれを肴に熱燗なんて、最高じゃねーか、それと、夏なら良い豆腐で奴か。あれで冷やしたの。これは日本酒だけじゃねーな。焼酎。それもイモだな。芋焼酎。あれがいい。という訳でオメーの頭の中は豆腐に決まった……」
ランの車はゲートに向かう。見事な運転で車は大通りに出た。誠はこんなお子様が食通気取っている事実に呆然とした。
「今は酒のアテの話をしてんだ。詮索屋は嫌われると相場が決まってる。言いたくねー人間にはそいつが心を開くまでだまって、空気読んでそいつの話をきいてやれ。そんだけだ」
ランの黒い高級外車はそのまま信号の右折車線で止まる。
「詮索屋……」
誠は黙って高級外車の後部座席でじっとしていた。
どう見ても育ちの悪い雌ガキにしか見えない。
「理解できないのはわからねーわけでもない。テメーみたいな落ちこぼれ、どうしてオメーみたいな落ちこぼれを必要とする部隊があったかってことだろ?」
腕組みをしてただ立ち尽くす誠をにらみつけながらランは言う。
「あのー『特殊な部隊』って、幼女趣味の変態が喜ぶんですか?その人達。僕、そう言う趣味は無いんで」
『特殊な部隊』と言われて、そう言う意味で性癖が『特殊』なのかと思い口に出してみた。
「うーん。ショタなら運航部の部長がそうだぞ。幼女趣味は………」
ランは急にとんでもないことを言いながら天井を見回す。誠は呆然と立ちつくす。
ゆったりとした時が流れる。ホトトギスのSEが流れるくらいのおまぬけな空間。
ランは気が付いたように誠を見つめ。大きくため息をついた。
「そこはツッコミだろ?笑いの分からねー奴だな……。脳みそ、八丁味噌でも入ってんじゃねーか。無能な上に空気を読めなきゃ、組織じゃ出世できねーぞ。まーおつむに醗酵する別の味噌でも入ってんなら、開けて食えるからいーけどよ。世の中、組織って奴は厳しーんだよ」
誠の前で呆れたというポーズをとる。
「クバルカ中佐ですよね、貴女は」
もう一度繰り返すように誠は言った。
ランは呆れたように真面目な顔をして誠を見上げる。
「アタシはクバルカ・ラン中佐。あの長い長い遼南内戦でアタシの国が負けたのは、アタシが落ちたからだ。だけどよー、そんな過去いーどーでもいーじゃねーか。過去なんか気にすんな。目の前のリアルを信じろ。アタシはクバルカ・ラン中佐だ。そして、こーしてオメーを迎えに来た。それだけは事実なんだ」
「リアル……事実……」
誠はランの言葉を繰り返しながら立ち尽くす。
「目の前のリアル、現実を信じろってことだ」
「で、無能なただでかいだけの落ちこぼれ。オメーここでさっきから何してる?おちょくられて気分が悪りーか?だったらちゃんとつっこめ」
馬鹿にするのは飽きた。そんな感じで笑顔に切り替えた少女がそう言った。
「でも、その『特殊な部隊』にそんな英雄がいるんですか……」
とりあえず、目の前の少女が只者でないことだけは分かったので、誠は丁寧にそう言った。
そして、誠に背を向けてランは歩き出す。
「ついてこい、車に乗せてやんよ。麦味噌が詰まってるおめーにゃ、不向きな後部座席に乗せてやんよ。ああ、味噌だから、トランクが向いてるか。ポリ公に見つかっても、味噌でごまかせるからな。そーしてやんよ。それがいーや」
ほとんど味噌扱いされながらもランを見失わないように誠は走り出した。
ランは超高級のドイツ製の車の運転席のドアに手を掛ける。
「僕は……」
ランの言葉を真に受けて、誠は後部のトランクの前で立っている。
「味噌は味噌でも高級味噌みたいだな。あの駄目人間……が、必要なんだと。あの脳ピンク、味噌汁でも作るんじゃねーか?高級品だから後部座席だ。乗れよ」
まるでやくざの親分が乗るような高級外車である。左側の後部座席のドアが自然と開いた。
誠が乗り込んだところで自然にドアが閉まる。
「ドイツ製高級外車だ珍しくもなんともねーよ。あと一つ言っておく。人の過去は詮索するもんじゃねー。テメーの過去を詮索する権利なんざ誰にもねーよ。それがわかりゃー……味噌頭であるオメーの味噌が変わるんだ……」
ランはそう言いながら、左のコンソールに移る後部の風景を確認する。
誠はその見事な運転に感心していた。そしてちょっとどういう反応をするのか聞いてみたいことがあった。
「味噌じゃなくて、何になるんですか?」
ちょっと聞いてみた。ランは見事な運転を見せながら、地下駐車場の出口に車を進める。
「タラの白子にポン酢かけた奴か……アタシは好きだぜ。あれを肴に熱燗なんて、最高じゃねーか、それと、夏なら良い豆腐で奴か。あれで冷やしたの。これは日本酒だけじゃねーな。焼酎。それもイモだな。芋焼酎。あれがいい。という訳でオメーの頭の中は豆腐に決まった……」
ランの車はゲートに向かう。見事な運転で車は大通りに出た。誠はこんなお子様が食通気取っている事実に呆然とした。
「今は酒のアテの話をしてんだ。詮索屋は嫌われると相場が決まってる。言いたくねー人間にはそいつが心を開くまでだまって、空気読んでそいつの話をきいてやれ。そんだけだ」
ランの黒い高級外車はそのまま信号の右折車線で止まる。
「詮索屋……」
誠は黙って高級外車の後部座席でじっとしていた。
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