7 / 54
実験
第7話 観測
しおりを挟む
一方、管理棟で観測機器のデータをスタッフに収集させているひよこの仕事はこれからだった。次々と設置された観測機器からのデータがひよこの端末に流れ込んでくる。
「観測機器のデータは?」
画像一杯のピンク色の光線が消えるとランは指揮席に腰を下ろしてオペレータ達に指示を出す。
「各ポイントのセンサーのアストラルダメージ値、すべて想定威力を越えています」
オペレータの言葉にランは椅子に座りなおす。
「これで威力に関しては十分ってことか……」
そう言いながらランはモニターを眺める。彼の法術の指南でここまでのデータを出せて安心しているようにコックピットで首をひねっている誠を見つめていた。
「この結果に見合う予算は出しているんだから……。当然このくらいの成果は無いと困りますよ」
高梨はそんなシンを見ながら次射の準備の指示を出しているひよこを眺めていた。
「指揮官としてはこの兵器はどうなんですかね?クバルカ中佐」
そんな高梨の言葉に、ランは少しばかり表情を曇らせた。
「運用が難しい兵器だよな。確かに攻撃範囲やその効果を考えると、使い方によっては非常に有効な兵器であることは間違いねーが、チャージの時間が長すぎる上に使えるパイロットが限られてくるとなるとそうそう前線に出せる代物じゃねーし……それに菱川の最新機の07式じゃあ法術対策の鉛合金のシェルをコックピット外周に張り巡らした装置まで積んでるらしいじゃねーか。それなりの軍隊相手に一戦するときに使える兵器じゃねーな」
ランは高梨を見つめながらそう言って頭を掻いた。
「やはり厳しいですね、中佐は。ただうちはあくまで司法執行機関で戦争をする軍隊じゃないですから。テロリスト相手なら問題は無いでしょう。こなれてくればうちの出動が予想される大概のケースには対応可能だと思いますよ」
高梨の言葉にランは渋々うなづく。
「そうなると、余計あの馬鹿娘達の教育が必要になるわけだ」
そう言うランは手元の端末を操作して05式乙型の隣のテントの下で、まるで子供のように言い争いをしているかなめ達を映した。
「まあ、そこはクバルカ中佐の腕の見せ所じゃないですか?彼等だって素質的にはかなりなものがあるそうじゃないですか。問題のなのは、どういう方向で育てていくかですよ」
高梨の言葉にランはそのまま椅子の背もたれに華奢な体を預けた。
「鍛えがいが有るってことだな。まあそのほうがアタシとしては面白いけど」
大画面の中でかなめがアメリアにヘッドロックをかけている。隣のコックピットの中の映像では、誠が頭を下げながら二人をなだめていた。
「観測機器のデータは?」
画像一杯のピンク色の光線が消えるとランは指揮席に腰を下ろしてオペレータ達に指示を出す。
「各ポイントのセンサーのアストラルダメージ値、すべて想定威力を越えています」
オペレータの言葉にランは椅子に座りなおす。
「これで威力に関しては十分ってことか……」
そう言いながらランはモニターを眺める。彼の法術の指南でここまでのデータを出せて安心しているようにコックピットで首をひねっている誠を見つめていた。
「この結果に見合う予算は出しているんだから……。当然このくらいの成果は無いと困りますよ」
高梨はそんなシンを見ながら次射の準備の指示を出しているひよこを眺めていた。
「指揮官としてはこの兵器はどうなんですかね?クバルカ中佐」
そんな高梨の言葉に、ランは少しばかり表情を曇らせた。
「運用が難しい兵器だよな。確かに攻撃範囲やその効果を考えると、使い方によっては非常に有効な兵器であることは間違いねーが、チャージの時間が長すぎる上に使えるパイロットが限られてくるとなるとそうそう前線に出せる代物じゃねーし……それに菱川の最新機の07式じゃあ法術対策の鉛合金のシェルをコックピット外周に張り巡らした装置まで積んでるらしいじゃねーか。それなりの軍隊相手に一戦するときに使える兵器じゃねーな」
ランは高梨を見つめながらそう言って頭を掻いた。
「やはり厳しいですね、中佐は。ただうちはあくまで司法執行機関で戦争をする軍隊じゃないですから。テロリスト相手なら問題は無いでしょう。こなれてくればうちの出動が予想される大概のケースには対応可能だと思いますよ」
高梨の言葉にランは渋々うなづく。
「そうなると、余計あの馬鹿娘達の教育が必要になるわけだ」
そう言うランは手元の端末を操作して05式乙型の隣のテントの下で、まるで子供のように言い争いをしているかなめ達を映した。
「まあ、そこはクバルカ中佐の腕の見せ所じゃないですか?彼等だって素質的にはかなりなものがあるそうじゃないですか。問題のなのは、どういう方向で育てていくかですよ」
高梨の言葉にランはそのまま椅子の背もたれに華奢な体を預けた。
「鍛えがいが有るってことだな。まあそのほうがアタシとしては面白いけど」
大画面の中でかなめがアメリアにヘッドロックをかけている。隣のコックピットの中の映像では、誠が頭を下げながら二人をなだめていた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》
EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。
歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。
そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。
「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。
そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。
制刻を始めとする異質な隊員等。
そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。
元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。
〇案内と注意
1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。
3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。
4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。
5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
Night Sky
九十九光
SF
20XX年、世界人口の96%が超能力ユニゾンを持っている世界。この物語は、一人の少年が、笑顔、幸せを追求する物語。すべてのボカロPに感謝。モバスペBOOKとの二重投稿。
非武装連帯!ストロベリー・アーマメンツ!!
林檎黙示録
SF
――いつか誰かが罵って言った。連合の防衛白書を丸かじりする非武装保守派の甘い考えを『ストロベリー・アーマメント』と――
星の名とも地域の名とも判然としないスカラボウルと呼ばれる土地では、クラック虫という破裂する虫が辺りをおおって煙を吐き出す虫霧現象により、視界もままならなかった。しかしこのクラック虫と呼ばれる虫がエネルギーとして有効であることがわかると、それを利用した<バグモーティヴ>と名付けられる発動機が開発され、人々の生活全般を支える原動力となっていく。そして主にそれは乗用人型二足歩行メカ<クラックウォーカー>として多く生産されて、この土地のテラフォーミング事業のための開拓推進のシンボルとなっていった。
主人公ウメコはクラックウォーカーを繰って、この土地のエネルギー補給のための虫捕りを労務とする<捕虫労>という身分だ。捕虫労組合に所属する捕虫班<レモンドロップスiii>の班員として、ノルマに明け暮れる毎日だった。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
異世界に転生したので、とりあえず戦闘メイドを育てます。
佐々木サイ
ファンタジー
異世界の辺境貴族の長男として転生した主人公は、前世で何をしていたかすら思い出せない。 次期領主の最有力候補になるが、領地経営なんてした事ないし、災害級の魔法が放てるわけでもない・・・・・・ ならばっ! 異世界に転生したので、頼れる相棒と共に、仲間や家族と共に成り上がれっ!
実はこっそりカクヨムでも公開していたり・・・・・・
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~
秋鷺 照
ファンタジー
強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる