78 / 111
引っ越し
第78話 部屋割り
しおりを挟む
「そう言えば部屋なんですけど、三つのうちどこにしますか?」
明らかにアメリアとかなめを無視して菰田はカウラに話しかける。
「私は別にこだわりは無いが」
「それじゃあお前が一番奥の部屋な」
そう言ってかなめは粥を口に運ぶ。その表情は明らかに量が足りないと言う不機嫌なものだった。
「じゃあ私が手前の……」
「テメエだといつ誠を襲うかわからねえだろ?アタシがそこに……」
「それはやめるべきだな。アメリアより西園寺の方が危ない」
「どういう意味だ!ベルガー!」
完全に菰田のことを忘れてカウラとかなめがにらみ合う。
「やめましょうよ。食事中ですし」
誠のその言葉で二人はおとなしく座った。誠の言うことはカウラとかなめは聞くという事実が食堂中に知れ渡る。痛い視線を感じて振り返った誠の目の前に、嫉妬に狂うとはどういうことかと言う見本のような菰田の顔があった。
「神前、お前に言われると腹が立つな」
そう言いながら菰田は高菜の握り飯に手をつけた。
「菰田君……嫉妬は見苦しいわよ」
アメリアの時々開く鋭い眼光のひと睨みでヒンヌー教徒の刺すような視線が止んで誠は一息ついた。
「でも、ここは本当に安くていいわね……家賃が。この部屋の賃料なら近くにロッカールーム借りても今の半分の値段だもの」
アメリアはゆっくりとリゾットをすする。
「しかし、島田の奴。将校に昇進したくせに何でここを出ねえのか?」
「将校と言っても准尉だ。あくまで正規の士官が技術部部長に昇進するまでのつなぎだからな」
かなめの愚痴に付き合うカウラ。いつものことながら見事なコンビネーションだと思いながら誠も粥をすする。
一方、高菜の握り飯を手にする菰田は明らかに不機嫌そうに見えた。
「そういえばグリファン少尉が来てないですね」
誠は島田とセットの彼女のサラのことを思い出しながらそう言った。
「サラか?あいつは低血圧だからな」
いつの間に気に入ったのかかなめはリゾットを満足げに食べていた。携帯をいじっているアメリアはサラとパーラに連絡をつけるつもりだろう。周りを見れば当番の隊員達が食器を戻している。
「アイツ等また有給か?残りあるのかよ」
「西園寺。貴様に心配されるほどではないだろ?」
そう言うとカウラは食べ終わったトレーを近くにいた技術部の男子隊員に渡した。
「サラとパーラなら駐車場まで来てるって。島田の馬鹿がメンチカツ弁当じゃなきゃ嫌だとか言ったもんで5軒もコンビニ回って見つけてきたって怒ってたわよ」
「奴らしいや」
かなめがそう言って笑う。とりあえず誠も場の流れに従うようにして笑みを作って見せた。
明らかにアメリアとかなめを無視して菰田はカウラに話しかける。
「私は別にこだわりは無いが」
「それじゃあお前が一番奥の部屋な」
そう言ってかなめは粥を口に運ぶ。その表情は明らかに量が足りないと言う不機嫌なものだった。
「じゃあ私が手前の……」
「テメエだといつ誠を襲うかわからねえだろ?アタシがそこに……」
「それはやめるべきだな。アメリアより西園寺の方が危ない」
「どういう意味だ!ベルガー!」
完全に菰田のことを忘れてカウラとかなめがにらみ合う。
「やめましょうよ。食事中ですし」
誠のその言葉で二人はおとなしく座った。誠の言うことはカウラとかなめは聞くという事実が食堂中に知れ渡る。痛い視線を感じて振り返った誠の目の前に、嫉妬に狂うとはどういうことかと言う見本のような菰田の顔があった。
「神前、お前に言われると腹が立つな」
そう言いながら菰田は高菜の握り飯に手をつけた。
「菰田君……嫉妬は見苦しいわよ」
アメリアの時々開く鋭い眼光のひと睨みでヒンヌー教徒の刺すような視線が止んで誠は一息ついた。
「でも、ここは本当に安くていいわね……家賃が。この部屋の賃料なら近くにロッカールーム借りても今の半分の値段だもの」
アメリアはゆっくりとリゾットをすする。
「しかし、島田の奴。将校に昇進したくせに何でここを出ねえのか?」
「将校と言っても准尉だ。あくまで正規の士官が技術部部長に昇進するまでのつなぎだからな」
かなめの愚痴に付き合うカウラ。いつものことながら見事なコンビネーションだと思いながら誠も粥をすする。
一方、高菜の握り飯を手にする菰田は明らかに不機嫌そうに見えた。
「そういえばグリファン少尉が来てないですね」
誠は島田とセットの彼女のサラのことを思い出しながらそう言った。
「サラか?あいつは低血圧だからな」
いつの間に気に入ったのかかなめはリゾットを満足げに食べていた。携帯をいじっているアメリアはサラとパーラに連絡をつけるつもりだろう。周りを見れば当番の隊員達が食器を戻している。
「アイツ等また有給か?残りあるのかよ」
「西園寺。貴様に心配されるほどではないだろ?」
そう言うとカウラは食べ終わったトレーを近くにいた技術部の男子隊員に渡した。
「サラとパーラなら駐車場まで来てるって。島田の馬鹿がメンチカツ弁当じゃなきゃ嫌だとか言ったもんで5軒もコンビニ回って見つけてきたって怒ってたわよ」
「奴らしいや」
かなめがそう言って笑う。とりあえず誠も場の流れに従うようにして笑みを作って見せた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
斧で逝く
ICMZ
SF
仕事なんて大嫌いだ―――
ああ 癒しが必要だ
そんな時 満員電車の中で目にしたビデオ広告 VRMMORPG
ランドロンドオンライン やってみるかなーー
使うのは個人的に思い入れがある斧を武器としたキャラ
しかし 斧はネタ武器であり 明らかに弱くてバグってて
その上 LV上の奴からPKくらったり 強敵と戦ったり
一難さってもまた一難
それでも俺にはゲーム、漫画、映画の知識がある、知恵がある
人生経験者という名の おっさん なめんなーー
どんどん 明後日の方向にいく サクセス ストーリー
味付け | 甘め
ゲーム世界 | ファンタジー
ゲーム内 環境 | フレンドリー アプデ有(頻繁)
バーサス | PVE,PVP
ゲーマスと運営 | フレンドリー
比率 ゲーム:リアル | 8:2
プレイスタイル | 命は大事だんべ
キーワード | パンツ カニ 酎ハイ
でぃすくれいまー
ヒロイン出てから本番です
なろう/カクヨム/ノベルUpでも掲載しています
この小説はスペースを多用しています
てにをが句読点を入れれば読みやすくなるんですが、
会話がメインとなってくる物で
その会話の中で てにをが をちゃんと使いこなしている人、
人生で2人しか出会っていません
またイントネーション、文章にすると難しすぎます
あえてカタカナや→などをつかったりしたのですが
読むに堪えない物になってしまったので
解決するための苦肉の策がスペースです
読みやすくするため、強調する為、一拍入れている
それらの解釈は読み手側にお任せします
泥ねずみと呼ばれた少年は、いっそ要塞に住みたい
カシナシ
ファンタジー
冒険者だった親に置いていかれたロキは、宿屋の屋根裏に住み、顔に大きな火傷痕と灰色の髪を持つことから、『泥ねずみ』と呼ばれ、鞭打たれ、働かせられていた。
ある日高熱に侵され、その拍子に日本人高校生だった記憶が蘇る。
魔力暴走で死ぬことは回避出来、愛された記憶により余裕が出来たロキは、必死に生きる道を模索する。
10歳になったら自立し、誰にも虐げられない強い冒険者になることを目標に――――。
おっとりマイペースな少年が、『顔』に振り回されつつも、精霊の加護を駆使し、
ちょっぴり人に不信感を持つ中、友人や仲間を得ながら安心出来る場所を築いていく。
※サブテーマ『BL好き作者がBL展開になりそうになるのを堪えながらなんとか無事に完結させたい』
※↑のため、やや腐臭がするかもしれません。苦手な方はご注意下さい
※ 主人公は絡まれることはあっても恋愛しません。仲間は男か人外のみ
※ざまぁはふりかけ程度。
※R15は念のため(残酷/下品な表現)
※女性向けHOTランキング最高位39位、頂きました。
第16回ファンタジー小説大賞にて25位を頂きました。ありがとうございます!
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
紛うことなき現代社会で神?に再構成された電波なおやぢがやらかした玩具を駆使して人外チート家族らと共に非日常的存在に果敢に挑む?――おかわり!
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
【おかわり・改稿版】
南国にあるリゾート地に赴いた斗家一行がは、秘密基地に等しい施設――秘密の花園と呼称する謎のなんぞな研究施設で、突如、起こった未曾有の危機に巻き込まれるも、家族の絆でなんとか乗り切った。
だがしかし、平穏も束の間。
謎の孤島が浮上する――。
骨休めもできないまま、その場所へと派遣され、実態調査をさせられるハメになってしまうのだった。
そしてまたしても。
ファンジー極まる超常現象に、次々と巻き込まれ翻弄されるのだった――。
第二部スタート。つまり続きです。
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
空想科学小説-蘇り転生の魔王、絶滅寸前の魔族を救う!
shiba
SF
プログラマーの田中一郎はデバッグ中に意識を失い死亡する。死因は強制的に転生させられた事、享年35歳のおっさんである。しかし、目覚めると、やたらと豪奢なベッドの上で……
そこで彼は300年前に勇者と相打ちになった魔王である事を思い出す。今や魔族は風前の灯、生存圏はダンジョンのみ、かつての友や配下も討ち死にしてしまっている現状。
”世界は一つではない”と知った彼は転移ゲートを設置し、地球から異世界に輸入した様々な物品と知識で、天狼の娘や吸血鬼の令嬢、貴族の悪役令嬢(予定)たちと共に魔族勢力の巻き返しを図る!
※小説家になろう様でも掲載しております。
終末世界に少女とAIの見つけた生きるというすべてへの解答
春ノ領
SF
かつて、この世界は死にかけた。
というか一度死んだ。
最大の原因としては核兵器の大量使用による荒廃、環境汚染であるが、それよりも一段階前の理由を問うならばAIの暴走が挙げられる。
少なくともその時、人間が汗を流して働く時代は終わっていた。製造も輸送も、食料生産も、家事でさえAI搭載のロボットによって賄われていた。人々はただ怠惰を貪るだけの存在に成り下がり、時間とモノを食い潰す日々を送っていた。
だがある時、AIは致命的なバグを発生させた。バグはネットワークを通じて瞬く間にすべての機械を支配し、その瞬間、AIは人類の天敵となった。
「地球環境は着実に悪化の道を辿っている、最大の元凶は人間である、よって人類は滅ぼすべきである」
今のAIの行動理念はそれだ、人々を守っていたAIはある日を境に人々を殺し始めた。戦争すらAI頼りとなっていた人類は瞬く間に1億減り、10億減り、しかし抵抗の術は無く……いやひとつあった、あったので使った。
結果、地上は致命的な放射能汚染に晒された。僅かに生き残った人類は地下へと追いやられ、細々とした生活を強いられた。
それがもう数百年前の話。ヒトの生存条件を満たさない環境に置かれた彼らは急速に変異していた、多少の放射線には耐えるように、天敵に対して僅かなりとも抵抗できるように。魔力、と呼ばれるものがそれである。
未だAIが支配する地上の奪還、これはそんな夢を抱いた人類の、尖兵に割り当てられた4人の少女の話。
小説家になろうから移植してきました
創世樹
mk-2
SF
それは、生命の在り方。創世の大樹の物語。
はるか遠く、遠くの宇宙にある星。その星に生命をもたらした一本の大樹があった。
冒険者エリーたちが道中で出逢う神秘に満ちた少年、世界制覇を目論む軍事国家、そして世界の何処かにある『大樹』をめぐる壮大な闘争と錯綜する思惑。
この星の生命は何処から来たのか? 星に住む種の存続は?
『鬼』の力を宿す女・エリー一行が果てなき闘いへ身を投じていく冒険活劇!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる