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朝の出来事
第40話 いつものかなめの癇癪
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いまだ火の手がおさまらぬ王城の門前にて、兵士達が整列していた。
全員が銃を持ち、パワーアーマーを着ている。
先ほどまで戦っていたかのような風貌であり、実際その通りであった。
いまだ銃身が熱を帯びていると錯覚するほどに、兵士達の心はまだ火照っている。
その熱を帯びた視線は、前方に歩み現れたある一人の男に注がれ始めた。
その男は普通の風貌では無かった。
明らかに量産型とは違う、漆黒のパワーアーマーに男は身を包んでいた。
細かな装飾が多く、高級感すら感じられる。
しかし背中に背負った巨大な銃剣がその高級感を打ち消し、黒い威圧感だけを残している。
何者なのか、それを答えるように、兵士の一人が声を上げた。
「ガタノトーア元帥様に敬礼!」
その声が響いた直後、整列している全兵士が一挙一動そろえて敬礼の姿勢を取った。
そんな兵士達の前に立ったガタノトーアは大きく声を響かせた。
「諸君、ご苦労であった! 諸君らはいま、歴史の転換点に立っている! ここが新たな始まりの場であり、それを成しえたのは諸君ら一人一人の奮戦によるものである! ゆえに私は誇りに思う!」
言いながら、ガタノトーアは近くにある壁に視線を誘導するように手で示した。
その壁には、十名ほどの人間が並び立たされていた。
全員が縄で拘束されている。
麻の袋を頭からかぶせられているため顔はわからない。服装から性別だけは判別できる。
ガタノトーアはその者達を手で示したまま、再び声を上げた。
「その誇りと共に、最後の仕事をかつての英雄の末裔(まつえい)である、アーサーに任せたいと思う!」
その声と共に、『かつての英雄の末裔』と称された者が前に歩み出た。
その者もガタノトーアと同じく、量産型とは違うパワーアーマーに身を包んでいた。
ガタノトーアとは対照的な銀色の装甲。中世の騎士を思わせる形状をしている。
兜は着けておらず、端正な顔立ちがあらわになっていた。
その顔は、既に知る誰かに似ていた。性別が違うが、たしかに似ていた。
アーサーは壁の前に立ち、拘束されている者達に向かってライフルを構えた。
そしてアーサーは引き金に指をかけながら思った。
(この場にクラリスがいなくて良かった)と。
こんな姿を妹に晒すことにならなくて本当に良かったと、己をなぐさめながらアーサーは引き金を引いた。
第八話 ちっちゃいはかわいい。かわいいは正義。ゆえにちっちゃいは正義 に続く
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