99 / 187
『タフネス』と『銃』
第99話 22ロングライフル弾
しおりを挟む
「じゃあ撃て」
かなめの合図で誠は引き金を引いた。
何も起きなかった。
「誠ちゃん……弾が入ってないんじゃない?」
アメリアが呆れたようにそう言った。
誠は慌ててマガジンを抜くがそこには銀の弾頭と金色の細い薬莢が入っていた。
「貴様……素人か?薬室に弾を装填しなければ弾は出ない!リボルバーじゃないんだからな!」
今度はカウラがそう言って誠の頭をはたいた。
「はー……慣れないもので」
軍人失格の一言を吐いて誠はマガジンをグリップに刺して素早くスライドを引いて弾を装填した。
ゆっくりと銃口を的に向け、静かに引き金を引く。
『パン!』
軽い反動とともに弾が発射された。弾はそのまま的の左側を通過していった。
「当たらねえのかよ……」
かなめが吐き捨てるようにそう言うのを聞きながら誠は引き金を続けて二回引いた。
『パン!パン!』
反動はパイロット養成課程で撃った東和宇宙軍制式拳銃のそれよりもはるかに軽かった。
「撃ちやすいですね、この銃」
二発とも的を外したものの誠はとりあえず大外れでは無かったので笑顔で三人に向き直った。
「やはり、22口径で正解だな」
「これじゃあ9パラなんて撃った日にはカウラちゃん達の後頭部が吹き飛ぶわね」
カウラとアメリアまでも完全に軽蔑の視線で誠を見つめていた。
「22口径?なんですそれ?」
誠はそう言って銃に詳しそうなかなめに目をやった。
「こいつは『グロックG44』って言う22口径ロングライフル弾用の拳銃なんだよ。まあ、22口径なんて帽子も何もかぶってない頭にでも当たらないと死なないから安全だってことで選んだんだが……正解だったな」
「それじゃあ意味ないじゃないですか!僕に一撃で帽子も何もかぶってない敵に当てろっていうんですか!」
かなめの投げやりな言葉に誠はツッコミを入れていた。
「だって……こんな距離、エアガンだって当たるぞ?実銃だぞ、これ。これメイドイン・オーストリーだぞ。地球人みんなこれ見たら涙目だぞ」
「でも……僕、利目が右だったり左だったりするんで…」
誠はこの場を切り抜けようと何とか言い訳をした。
「大丈夫よ。まあ、かなめちゃんがなんで『グロックG44』を選んだかは……想像がつくけど」
アメリアは意味ありげに笑っている。誠はその言葉の意味が理解できずにただ銃を持って呆然と立ち尽くしていた。
かなめの合図で誠は引き金を引いた。
何も起きなかった。
「誠ちゃん……弾が入ってないんじゃない?」
アメリアが呆れたようにそう言った。
誠は慌ててマガジンを抜くがそこには銀の弾頭と金色の細い薬莢が入っていた。
「貴様……素人か?薬室に弾を装填しなければ弾は出ない!リボルバーじゃないんだからな!」
今度はカウラがそう言って誠の頭をはたいた。
「はー……慣れないもので」
軍人失格の一言を吐いて誠はマガジンをグリップに刺して素早くスライドを引いて弾を装填した。
ゆっくりと銃口を的に向け、静かに引き金を引く。
『パン!』
軽い反動とともに弾が発射された。弾はそのまま的の左側を通過していった。
「当たらねえのかよ……」
かなめが吐き捨てるようにそう言うのを聞きながら誠は引き金を続けて二回引いた。
『パン!パン!』
反動はパイロット養成課程で撃った東和宇宙軍制式拳銃のそれよりもはるかに軽かった。
「撃ちやすいですね、この銃」
二発とも的を外したものの誠はとりあえず大外れでは無かったので笑顔で三人に向き直った。
「やはり、22口径で正解だな」
「これじゃあ9パラなんて撃った日にはカウラちゃん達の後頭部が吹き飛ぶわね」
カウラとアメリアまでも完全に軽蔑の視線で誠を見つめていた。
「22口径?なんですそれ?」
誠はそう言って銃に詳しそうなかなめに目をやった。
「こいつは『グロックG44』って言う22口径ロングライフル弾用の拳銃なんだよ。まあ、22口径なんて帽子も何もかぶってない頭にでも当たらないと死なないから安全だってことで選んだんだが……正解だったな」
「それじゃあ意味ないじゃないですか!僕に一撃で帽子も何もかぶってない敵に当てろっていうんですか!」
かなめの投げやりな言葉に誠はツッコミを入れていた。
「だって……こんな距離、エアガンだって当たるぞ?実銃だぞ、これ。これメイドイン・オーストリーだぞ。地球人みんなこれ見たら涙目だぞ」
「でも……僕、利目が右だったり左だったりするんで…」
誠はこの場を切り抜けようと何とか言い訳をした。
「大丈夫よ。まあ、かなめちゃんがなんで『グロックG44』を選んだかは……想像がつくけど」
アメリアは意味ありげに笑っている。誠はその言葉の意味が理解できずにただ銃を持って呆然と立ち尽くしていた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!
仁徳
SF
この物語は、カクヨムの方でも投稿してあります。カクヨムでは高評価、レビューも多くいただいているので、それなりに面白い作品になっているかと。
知識0でも安心して読める競馬物語になっています。
S F要素があるので、ジャンルはS Fにしていますが、物語の雰囲気は現代ファンタジーの学園物が近いかと。
とりあえずは1話だけでも試し読みして頂けると助かります。
面白いかどうかは取り敢えず1話を読んで、その目で確かめてください。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて、やさしくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
【完結】傷モノ令嬢は冷徹辺境伯に溺愛される
中山紡希
恋愛
父の再婚後、絶世の美女と名高きアイリーンは意地悪な継母と義妹に虐げられる日々を送っていた。
実は、彼女の目元にはある事件をキッカケに痛々しい傷ができてしまった。
それ以来「傷モノ」として扱われ、屋敷に軟禁されて過ごしてきた。
ある日、ひょんなことから仮面舞踏会に参加することに。
目元の傷を隠して参加するアイリーンだが、義妹のソニアによって仮面が剥がされてしまう。
すると、なぜか冷徹辺境伯と呼ばれているエドガーが跪まずき、アイリーンに「結婚してください」と求婚する。
抜群の容姿の良さで社交界で人気のあるエドガーだが、実はある重要な秘密を抱えていて……?
傷モノになったアイリーンが冷徹辺境伯のエドガーに
たっぷり愛され甘やかされるお話。
このお話は書き終えていますので、最後までお楽しみ頂けます。
修正をしながら順次更新していきます。
また、この作品は全年齢ですが、私の他の作品はRシーンありのものがあります。
もし御覧頂けた際にはご注意ください。
※注意※他サイトにも別名義で投稿しています。
あなたは親なんですから--養育義務遂行施設--
多々島アユム
SF
『そこは子どもの人生をお金で償うための施設』
2037年、監護及び教育の権利義務について法改正が行われ、養育費未払問題の解決策として「養育義務遂行施設」が開設された。そこは子どもに対して親の責務を金で償う事実上の刑務所だった。
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
悠久の機甲歩兵
竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。
※現在毎日更新中
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる