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『タフネス』と『銃』

第96話 機械の体の女神による解放

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「やっぱすいませーん」

 ランに見送られて走り出そうとする誠に声をかけるものがあった。

 そのハスキーな声が気になって振り返ると、そこにはかなめが立っていた。

「なんだ?オメーも走るのか?」

 そう言ってランは近づいてくるかなめに目をやった。

「そいつと一緒に作戦行動するのアタシ等なんで、銃とか一応あてがおうと……」

 かなめは頭を掻きながらそう言って苦笑いを浮かべた。

「銃だ?こいつ左利きでド下手だぞ?何を使っても変わんねーだろーが」

 明らかにやる気がないランだが、誠はこの根性論訓練法から逃れることができるのではないかと二人の会話に聞き耳を立てた。

「まあねえ……だから銃を選ぶんですよ、姐御。姐御だって手がちっちゃいからそのソ連が生んだ珍銃『PSMピストル』使ってんじゃないですか」

 かなめはそう言ってランの腰のちっちゃな銃を指さした。

「まーな。こいつは隠して持ち歩く為に開発されたらしいけど、ちっちゃすぎて子供しか撃てない為にKGBから総スカンを食ったいわくつきのちっちゃな銃だからな……まーこうしてアタシのようなちっちゃなガンスリンガーの手に収まるべく開発されたと考えりゃー納得もつく」

「別に姐御の手のちっちゃさに合わせて開発したわけじゃねえと思うんですけど……500年も前の代物ですから」

 呆れながらかなめは一人納得してうなづいているランを見下ろしていた。

「じゃー今日は許してやる。神前!行ってこい!」

 ランはそう言ってグラウンドから立ち去った。誠はこのランニング体力強化地獄から逃れることができてホッとしながらかなめのところに歩いて行った。
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