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『特殊な部隊』の『真の敵』と『遼州人』の悲しいサガ
第52話 デカすぎてモテない女の復讐
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誠は自分がモテないことは『胃弱』からだと思っていたが、周りの女子も男子も『モテなかった』と言う事実を知らされて唖然とした。
「モテないこと……それ自慢になります?」
そう言うのが誠には精一杯だった。
「自慢になるわよ。まず、『愛』が非常に生まれにくい!」
さらに誠は目が点になった。全然自慢ができる話ではない。『愛』がフィクションだという説は友人ともよく話し合ったが、きっとあるんだろうとあこがれていた『童貞』の誠にとってそれは認めがたい現実だった。
「もっとはっきり言うわね。『愛』の発生を『全力で阻止』する民族性だから、『愛』の結晶である『子供』があまり生まれないのよ!」
誠は地球の似たような国で起きた『少子高齢化』と言う現象を思い出した。親の世代が多くて子供が少ないと結構社会が大変だということは小学校の授業で習った。『東和共和国』ではそもそも親の世代も少ないので人口は地球から独立してもほぼ増えていない。
「子供が増えないと社会が発展しないじゃないですか。だからこの国はいつまでたっても20世紀末状態なんですよ」
子供のころから社会を非難する常套句『世紀末状態』と言う、誠にしては珍ししい文系の言葉を使ってアメリアをいさめた。
「でもおかげで、『遼州人』には『人口爆発』が起きないのよ。資源の奪い合いも起きない。土地の奪い合いも起きない。人口が増えすぎないから『戦争』も必要ない。『愛』は『たくさんの子供』と『戦い』を生むの。だから私達は全力でこれを『潰す!』」
アメリアはそう言って右手を握りしめて誠を細い目でにらみつけた。
「そんなに一方的に、『モテない現実』を肯定するための理論武装をしないでくださいよ、アメリアさん」
少し余裕のある反応を誠はすることができた。
それは誠は自分が『モテない』のは『胃弱』のせいだと信じていたが、周りのみんながモテていなかったという事実に少し安心したからである。
「そう、私達には『モテない』宇宙人として全宇宙の『モテない奴等』を結集して『モテる奴等』の愛を片っ端から破局に追い込んで『人口爆発』を防ぎ、宇宙の恒久平和を実現する義務があるのよ!」
誠は完全に呆れていた。確かに誠の同級生達も見合い以外で結婚した人間はいない。だが、それにしても夢が無さすぎる。
「アメリアさん……意外と婚活とかしてます?」
ここで冷静に戻ってツッコミを入れるのが自分の役割だと察してきた誠はそう言ってみた。
「豊川市役所の幹部って……ほとんど見合い結婚済みなのよね……そうなると意地でもモテる女を潰したくなるじゃない?」
「やっぱり?」
誠の予想通り、でかすぎる女、アメリア・クラウゼ少佐はモテなかった。
アメリアの『モテない宣言』は続いた。確かにあの『女芸人気質』と『糸目』と言うツッコミどころが気になる男はアメリアには近づいては来ないだろう。
「でも……モテないことによる『恒久平和』は要りません……僕はまだ夢は捨てきれていないんで」
誠は少しは『モテたい』と思っているのでアメリアの理想には賛同できなかった。
「すでに誠ちゃんと『愛』が芽生えそうな『女子二名』と『野郎数名』の目星はついているわ。私達は『愛を破壊する平和の使者』として誠ちゃんの『愛』が絶対成就しないようにがんばるから!」
『女子二名』との『愛』が芽生えるかもしれない。アメリアの言葉に誠はつばを飲み込んだ。
「僕を好きな人がいるんですか?この『特殊な部隊』に」
誠はアメリアに縋るような瞳を向けて尋ねた。誠はモテたかった。
「女二人は境遇から見て誠ちゃんに同情しそうだから……できるだけ誠ちゃんと遭遇しないように『部長権限』を駆使して会わせないようにしているの」
非情なアメリアの言葉に誠は言葉を失った。
完全な『権力乱用』で誠の『愛』を粉砕するアメリアの意思にこの遼州が『特殊な星系』であることを再認識した。
「あと『野郎数名』なんだけど……」
アメリアがニコニコ笑って誠に話しかけた。
「いいです、そっちの趣味は無いんで」
すげなく断る誠だが、こんなことで引き下がるアメリアではない。
「みんな技術部の整備班員よ。きっと、いい男がつなぎを着て『やらないか』とか言ってくるんじゃない?面白そう」
誠には一名、整備班員のつなぎを着たいい男に心当たりがあった。
「島田先輩ですか?」
確かに『いい男』であり、最後に見たときはつなぎを着ていた。
「はずれ!島田君は『純情硬派』が売りの『愛と性の完全分離に成功した宇宙初の存在』だから、彼女一筋なの!うらやましいけどあれはあれで結構笑えるわよ。馬鹿馬鹿しくて」
誠は暴力をかさに島田に欲望のままに蹂躙されて何かに目覚める危機から救われたという事実にほっと一息ついた。
「いいです。遼州人である自分が恥ずかしくなったんで、席に戻ります」
アメリアの馬鹿話に疲れ果てた誠はこういって『モテない教祖』、アメリアが部長を務める『運航部』の詰め所から逃げ出すことにした。
「モテないこと……それ自慢になります?」
そう言うのが誠には精一杯だった。
「自慢になるわよ。まず、『愛』が非常に生まれにくい!」
さらに誠は目が点になった。全然自慢ができる話ではない。『愛』がフィクションだという説は友人ともよく話し合ったが、きっとあるんだろうとあこがれていた『童貞』の誠にとってそれは認めがたい現実だった。
「もっとはっきり言うわね。『愛』の発生を『全力で阻止』する民族性だから、『愛』の結晶である『子供』があまり生まれないのよ!」
誠は地球の似たような国で起きた『少子高齢化』と言う現象を思い出した。親の世代が多くて子供が少ないと結構社会が大変だということは小学校の授業で習った。『東和共和国』ではそもそも親の世代も少ないので人口は地球から独立してもほぼ増えていない。
「子供が増えないと社会が発展しないじゃないですか。だからこの国はいつまでたっても20世紀末状態なんですよ」
子供のころから社会を非難する常套句『世紀末状態』と言う、誠にしては珍ししい文系の言葉を使ってアメリアをいさめた。
「でもおかげで、『遼州人』には『人口爆発』が起きないのよ。資源の奪い合いも起きない。土地の奪い合いも起きない。人口が増えすぎないから『戦争』も必要ない。『愛』は『たくさんの子供』と『戦い』を生むの。だから私達は全力でこれを『潰す!』」
アメリアはそう言って右手を握りしめて誠を細い目でにらみつけた。
「そんなに一方的に、『モテない現実』を肯定するための理論武装をしないでくださいよ、アメリアさん」
少し余裕のある反応を誠はすることができた。
それは誠は自分が『モテない』のは『胃弱』のせいだと信じていたが、周りのみんながモテていなかったという事実に少し安心したからである。
「そう、私達には『モテない』宇宙人として全宇宙の『モテない奴等』を結集して『モテる奴等』の愛を片っ端から破局に追い込んで『人口爆発』を防ぎ、宇宙の恒久平和を実現する義務があるのよ!」
誠は完全に呆れていた。確かに誠の同級生達も見合い以外で結婚した人間はいない。だが、それにしても夢が無さすぎる。
「アメリアさん……意外と婚活とかしてます?」
ここで冷静に戻ってツッコミを入れるのが自分の役割だと察してきた誠はそう言ってみた。
「豊川市役所の幹部って……ほとんど見合い結婚済みなのよね……そうなると意地でもモテる女を潰したくなるじゃない?」
「やっぱり?」
誠の予想通り、でかすぎる女、アメリア・クラウゼ少佐はモテなかった。
アメリアの『モテない宣言』は続いた。確かにあの『女芸人気質』と『糸目』と言うツッコミどころが気になる男はアメリアには近づいては来ないだろう。
「でも……モテないことによる『恒久平和』は要りません……僕はまだ夢は捨てきれていないんで」
誠は少しは『モテたい』と思っているのでアメリアの理想には賛同できなかった。
「すでに誠ちゃんと『愛』が芽生えそうな『女子二名』と『野郎数名』の目星はついているわ。私達は『愛を破壊する平和の使者』として誠ちゃんの『愛』が絶対成就しないようにがんばるから!」
『女子二名』との『愛』が芽生えるかもしれない。アメリアの言葉に誠はつばを飲み込んだ。
「僕を好きな人がいるんですか?この『特殊な部隊』に」
誠はアメリアに縋るような瞳を向けて尋ねた。誠はモテたかった。
「女二人は境遇から見て誠ちゃんに同情しそうだから……できるだけ誠ちゃんと遭遇しないように『部長権限』を駆使して会わせないようにしているの」
非情なアメリアの言葉に誠は言葉を失った。
完全な『権力乱用』で誠の『愛』を粉砕するアメリアの意思にこの遼州が『特殊な星系』であることを再認識した。
「あと『野郎数名』なんだけど……」
アメリアがニコニコ笑って誠に話しかけた。
「いいです、そっちの趣味は無いんで」
すげなく断る誠だが、こんなことで引き下がるアメリアではない。
「みんな技術部の整備班員よ。きっと、いい男がつなぎを着て『やらないか』とか言ってくるんじゃない?面白そう」
誠には一名、整備班員のつなぎを着たいい男に心当たりがあった。
「島田先輩ですか?」
確かに『いい男』であり、最後に見たときはつなぎを着ていた。
「はずれ!島田君は『純情硬派』が売りの『愛と性の完全分離に成功した宇宙初の存在』だから、彼女一筋なの!うらやましいけどあれはあれで結構笑えるわよ。馬鹿馬鹿しくて」
誠は暴力をかさに島田に欲望のままに蹂躙されて何かに目覚める危機から救われたという事実にほっと一息ついた。
「いいです。遼州人である自分が恥ずかしくなったんで、席に戻ります」
アメリアの馬鹿話に疲れ果てた誠はこういって『モテない教祖』、アメリアが部長を務める『運航部』の詰め所から逃げ出すことにした。
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2020.03.21_掲載
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